下書き。・・ アスカはネルフの生き残りと合流でき、ヘリで移動。その際、サードチルドレンは知らないという。ミサトとあってからもそう・・・しかしシンジが生きていることをしると殺したはずと話し始める。 「どうして?」 「どうして?笑わせるわね、偽善者が!最後までシンジだけ可愛がって!アンタなんか嫌いよ。シンジはもっと嫌い。あいつは前から嫌いよ、私を殺そうとしたしね」 「そう・・・」 どうして、生き返らせて殺そうとするのかしら・・・アスカと何があったの?シンジ君。 「まずいわ」 「もし生きていたら。敵の手に落ちたら。アスカのいるネルフに躊躇無く攻撃をするでしょう、現に中国支部とロシア支部の動向が怪しいのよ。それにアダムもリリスも失われたというのにエヴァが稼動するなんて・・・まだ私たちの知らない何かがあるのよ、エヴァには」 一人の生活、まずは何キロか歩いて生物生存可能地域へ。 水と食料を探すが見つからず、不思議と空腹にはならないので寝床を探す 適当な住居を見つけ決めた、一日の終わり。夕日を眺めながらこれからの事を考える。誰も居ないのか、アスカは何処へ行ってしまったのか? 「・・・。・・・・・・。・・・・・・アスカ」 住居に入り眠る。 次の日は住居を中心に半径5キロの範囲を捜索、食料を見つけ大体の空間地図を知る。水はまだ手に入らず。空の容器を見つけてがっくりとする、そして思いつく。気が進まないがLCLの海がある。昼を過ぎて暑さの中、海岸へ行くと驚く事に青い海があった。アスカと居た時は気がつかなかったが山ひとつ超えたところに川が流れ込んでいるようだ。 そこへ行くと。 「え?」 「あ、・・・人?」 「はぁ?・・・・・・まぁ、Yesよ」 間抜けな質問に律儀に答える女の子、見た目は小学生。 容器が二つ、水を調達していたようだ。 少しの時間観察しあっていた、容器を持った少年と水を汲む少女。 「それ以外何に見える?・・・・・・貴方もしかして一人?」 「うん」 「私たちのキャンプに来る?と言ってもこんな状態だもん、協力しないとね。ついて来て」 「あ、うん」 自分も水を汲んで少女のあとを追う、すぐに追いつき話を切り出す。 キャップを付け忘れているシンジに注意して、根がしっかりしてそうな娘だ。 「水、こぼれてるわよ。ほら」 「あ、ごめん。名前、名乗っておくよ。シンジ、一応一人だけど」 「そう。じゃあ、とりあえずついて来てよ。7人のキャンプだけど増えているの、ここらの生き残りはまだまだ居るようよ。あ、あと名前はコトミ」 キャンプ、コミニュティ・・・シンジ、戦闘経験少なくなす術なし。 小さな怪我をしても血は出ないまま超回復。昼の労働と夜の談話。親しくなる少女が一人年下の妹みたいな存在になる。コトミ。 人は20人そこそこが3つほどの難民キャンプ、コトミ以外も何人か子供が居た。一人っ子だったシンジは嬉しい。年齢は小学校入る前、その両親はみつからずと知る。リーダーは相沢という25歳の男。 夜眠るときはいろんな事を考えてしまう、これまでのこと。これからのこと。 アスカのこと、理解できなかったこと。できたと思ったこと。 「アスカは僕の事、最低だって見限ったんだ。ぼくももう諦めよう、エヴァがなくなってネルフにも必要とされないだろうから、もう会う事もないよ」 一週間、何も無く過ぎていく。救援やラジオ。日本はどうなっていくだろうとか、話し合う日々。そして朝はやく、ここの生活にも慣れてきて川に顔を洗いに行くとコトミがいた。 「いい日になりそう」 笑顔のコトミ。 昼、少しの遠出していたシンジと数人の男たち。 帰ると中国の特殊部隊の奇襲があった、惨殺されていた人。人。人・・・人?酷い血ばかりの。 逃げる。 「確保」 日本語じゃない、わからない。でも何だ?こいつら何なんだ?こんなにして、僕の居場所をこんなにして。憎い。嫌いだ。お前たちなんか・・・ 「嫌いだ。嫌いだよ。消えろっ、全部!全部だっ!」 アンチATフィールド発生。 パシャ 「好きでいたいのに、伝えたかっただけのに!」 また一人。 ・・・・・・。 全てなくなってしまった。あの笑顔も、兵士たちも水タマリに。何処までも青いソラ、惨殺の証の血。シンジひとりだけ・・・また、また少年は心に傷を負った。 「作戦は失敗、証拠隠滅を図る」 数キロほど離れたところで急襲舞台の生き残りがN2を起動させた。 シンジはその奔流に飲み込まれても、死を回避する。 「ぅ、ぅ・・」 だが回復までは時間がかかった、一日たって服を探し水を飲み命をつなごうとする。そこで気がついた。もはや食べ物は必要ないと。ああ、あの時コトミにパンをあげていれば笑顔が見れたのに。こんな僕が生き残ったって、あの娘にはもっと幸せになれたのに。 どんな事があろうとも時は戻らない、生きてゆくしかない。 「パターンホワイト、MAGIは判断を保留しています」 「どうなってるの?ここからそう離れてない・・・この地点は幾つかの民間人のキャンプが存在していた場所・・・何?」 パァッと光、攻撃? 「N2」 「サードインパクトの混乱で、戦自からの流出も考えられるけれどこれは故意に・・・中国支部ね。抑えないと今の弱りきったネルフは瓦解する、アメリカに交渉で切り札を出させないと」 エヴァの製造と力の誇示をしないと。 司令と副司令は生きていた、エヴァ初号機や国連との折衝をしてアメリカと密約。 下書き。・ エヴァの残骸。 そこから生み出されたもの、依代の力。アンチATフィールド。 半径数百キロ。 中国支部、降伏。 日本以外の国々はサードインパクトの悪影響を受けていた、混乱で孤児やレイプ強盗集団誘拐人身売買、狂気が蔓延し猟奇殺人が件数で一番になっていた。狂ってしまった人々の多くはあちこちで倒れふし、自殺は朝日が昇るたびに選択肢として大きくなっていく。 見渡す限りの死海に、アヤナミレイと呼ばれる母の死体が目に入るのだ。 キリスト教国は特に酷く、人口が半減し国が消滅したところも多い。 反面、精霊や多神教は人々の信仰を集めつつあった。 無政府状態のところも多く、捨てられた地域では無秩序が生まれそこでは力が全てであった。 「酷いところ」 「見たままよ、明日にはここの様なところが増えて国が滅びるかもね」 「国連は中国をどうするつもりなのかしら?」 「自分のところで精一杯よ、ネルフを頼ってくると思うわ。N2も使徒戦とネルフ侵攻で使い切ってしまって補給が出来てないらしいもの。もうここに用はないわ帰りましょう」 爆発と悲鳴、そして銃声。 基地の近くだというのに、軍の威圧感も効いていないようだった。 「本当に治安悪いわね」 リツコはそう言うと、最新鋭のVOLTに乗って去っていった。 「エヴァと同じ、それって使徒ってこと?」 「S2機関、コアはないわ。不死というわけじゃないの、不老よ。役目を終えた依代とはそういう存在なのね・・・この後の事なんて予定になかったもの、MAGIもフル回転よ」 「始めて見たときはびっくりしたわ、瞳が一番ね」 「推測でしかないけれど、たぶんココを作ったモノたちと同じだと思う。黒き月・・・リリスにアダム。私が作ったエヴァなんて彼らの作れたモノに比べたら、と思うわ」 そう、私だって神を信じてしまう。 目の前に碇シンジがいるのだから、神とはまさに彼のこと。何もを見通す目と触れれぬ体。 多くの惨事があった、あまりにも多くの事があり過ぎた。 変わっていく体、アルビノ化。瞳とDNAは刻々と変わる。 一度の検査でもDNAの意味などない。 「どうなっていくだろ・・・」 世捨て人のような雰囲気、シンジはもぅ・・・ ロシアがたくらむ、先手を打つが・・・・ ロシア支部。 サードインパクトで帰ってこなかったゴマスリ司令に代わって現れた新司令は、ゲンドウ並の外道だった、愛人は5名。そのうちクローンのレイが二人。持ち出された技術、そして綾波レイ。 侮辱、虐待、洗脳と三拍子揃ったイイ感じの退廃どころ。 エヴァは2機、隠していたもの。 町はセカンドインパクトもサードインパクトも直接影響なかったにも関わらず、人の業で 人は倒れ枯れた建物ばかりが目立つ・・・墓場。 モスクワに立つ近代的で金を使った建物がネルフ支部、乞食が溢れるのを横目にリムジンで外出するレイ。着飾ってよく愛人を務めている。 記憶は空っぽ、サードインパクトの時まではただの素体の一つに過ぎなかったがソレ以降は大きな野心持つ新司令によって教育されていた。 シンジの苦悩と、ネルフのひとときの歓声。 白き月で孵らせようとする、綾波レイと使徒の細胞とエヴァの混合物。槍が引き寄せられ、初号機が帰る。急遽、弐号機の再建とロシアへの国連軍の侵攻。 弐号機の再建に忙しい。 実験づけの日々、学校にはこれない。 アスカは学校で再開の日々と和やかな日々を送る。 その時はシンジの場所はあった、確かに。 そのことにいらたつアスカ、クラスメイトたちは当然のようにその場所に帰ってくると信じていた。 でも一ヶ月がたち、二ヶ月がたつとトウジもケンスケも忘れていく。ヒカリも、いつ戻ってくるのと聞いてこなくなった。そして徹底的な事件が起こった、ケンスケが告白してきたのだ。アスカの心に波が立つ、そしてトウジもヒカリに飽きたと言って無理やり迫ってきた。盛る男たち。嫌いっ、だいっきらい、ヒカリとも口を聞かなくなって・・・ 馬鹿な保護者とは切れたつもりだったけれど、様子見だといって夕食を貰いに来る。適当にあしらっていたがリツコ来るようになって仕方なく未来の上司に飯を出す。 アスカは簡単なものなら作れるのだ。 リツコはマヤを伴ってきて技術部に勧誘、ミサトは来なくなった。 ふんいい気味。 そしてネルフへの就職を決めた。そこで知るシンジの生活、そして今のシンジ。惨めで目をむけることができない・・・私がしてきた事の結果、私の罪がそこにあった。 「ああ、あの」 「見た?あの状態でも生きていられる。エヴァもそうだったが今度は人間の皮かぶった化け物だ。ここは気味悪い所になったな」 「そう、知らなかったのか?あれを技術部は嬉々としてやってるんだぜ」 「そうそう、見かけたよ。せっかくの気分が台無しになったぜ、で〜気分直しに」 まるで人ではないような言われ様。 サードインパクト以前はシンジを最低だと考えた事は少なかった、無かったわけじゃないし多かったわけでもない。でもサードインパクトは私の心を徹底的に変えてしまった。言葉のナイフでシンジの心を切り裂く事に歯止めをしなくなって・・・そして最後は命まで。でもそれはあっちも同じだと思った。 でも・・・ こんな世界をシンジが望んでた?違う!私があのサードインパクトの中で見たのはシンジの心、ひたすら優しくて、暖かくて、そして笑顔でいれる世界。そんな最高に偽善的で吐き気がするけど、理想の世界。私も笑っていれる世界のはず。 そう・・・ こんな世界を望んだのは私。シンジが不幸になってボロボロになってくれたらいい、ママと引き離した憎いアイツ。復讐を続けて、続けて、続けた・・・復讐の果てに何があるなんて考えもせずにしてた。今は空しさだけが残って、私は一人ぼっちになっちゃった。 それに・・・ 周りは大人ばかりで気軽に話す相手は居ない。学校は子供ばかりだった、同世代の奴らは私の容姿ばかり見て騒いでた。本当に子供・・・シンジの方がまし、同じ事してるとしてもエヴァという同じ苦しみを味わった戦友であるシンジなら許せた。あいつらは私の事何にもわかってないくせに私の全てを分かった気で居る。その上、私がさも自分のものであるように言う。する。思い込む。 ヒカリさえも私に男をあてがおうとする。「碇君のこと諦めなさいよ、好きだった。それでいいじゃない。加持さんだっけ?同じよ」「違う」「違わないって、アスカならすぐに見つかるって」「違う違う違う違う違う、ヒカリはいいわよ。鈴原といちゃついて、もう鈴原を他の女の子に取られるじゃないかって心配しなくなったもの」「そんな事ないって」笑顔で言ったヒカリ、でも心通じ合ってなかったみたいね。「ワシんのモンになってくれ!シンジ帰ってこへん、なんで拘っているんや?」そんな事言って迫ってきた奴、もう誰も信じれない。ママの時以上にかたくなになる私のこころ。 シンジに会おう、会ってみよう。 私を確かめよう、私の気持ちをはっきりさせよう。 私をわかってくれるかもしれない。 でもシンジはまた裏切るかもしれない。死を直接与えた、私の事を憎んでいるかもしれない。でも寂しい、寂しくて仕方がないの!他の誰かじゃ私の中のシンジの代わりなんてできない!父や兄代わりだった加持さん、姉を演じようとしたミサト。代わりは居ない、初めて対等でいようとしてくれたシンジ、あんたは特別だから。私の中に居て欲しい。 そして訪れたシンジの部屋、不在だった。何も無かった。シンジの荷物はなく。シンジの匂いのしない部屋、前は無個性的とはいえチェロやDATがあった。ここには何も無い。 かぎも閉まっていなければ、掃除した様子もない。 ネルフの寄宿舎、その1F。 _ 部屋、扉。 「どうして会いに来たの?」 そう私はどうして、シンジに会いに来たの?復讐を続ける気などない、あんなに色々されたコイツ。哀れなシンジ。もう憎んでない。もう何の感情もないはず・・・あんなに酷く痛めつけて人形みたいになったコイツに。私を見ているようで見ていなかったコイツに。 「・・・。こんな所じゃ、落ち着いて話せないか。・・・森林散策でもしながら話そう、ついて来て」 「笑えるんだ」 人形じゃないっ!こんな笑顔できるはずない、私とは壊れ方が違うのか・・・。それともまだシンジは私のこと・・・。 豊かな森、水も何処からか取り入れて本部の隣には人口湖がある。 そのほとりで二人の中学生、服はラフ。 先に口を開いたのはシンジだった、実験続きででも疲労知らぬ「依代」はいつも白い服。まるであの世からの迷い人のよう。 「無駄だよ、死ぬ事かなわないんだ」 「違うわよ、殺す気持ちなんてもうなくなったの」 「そう?でも一応言っておくよ。もう、君が心ざわめかせる物は持って無いよ。あるのはこの無様な体だけ・・・こんな」 そう言ってなんでもない事のように指を千切る、信じられない速度での回復。 残った手に指を持ち、つぅーとLCL化して指だったものが体内へと還っていく。同化していく? 「・・・使徒?エヴァ?戦ってきた末、こんな哀れな結末とはね」 我ながら冷めた声を出せたと思う。 心ざわめかせる物は持ってないというけれど、アンタの存在自体が私の心の狂わせるの。孤独を癒してくれるかもしれない。まだ優しさを私に与えてくれるかもしれない。あの奔流の中でも心溶け合わせる事ができなかった私たち、だからこそ・・・。 「そうだね。でも違うらしいよ、エヴァでもなければ使徒でもない。まして人でも。依代がこんなだなんてリツコさんでも分からなかったって珍しがって、ほらここも。あ、そろそろ時間だ。」 シンジが目を指差した途端、ゆっくり砂時計のように上から下へ黒が抜けていき、黒が入っていく。その瞬間、見えた瞳には聞いたとおりのモノ。人じゃない。 「さようなら惣流さん」 その寂しそうな瞳、嫌いじゃないのよ?惹かれるの。 さよなら?・・・惣流か・・・そう惣流。アスカって呼んでもいいのはママだけから、戻っただけ。会った頃に。・・・ただそれだけ。・・・それだけよ。 「またね」 下書き。・・・ 私はシンジから貰うばかりだった、糧にしていたのは私。シンジは私から何ひとつ貰ってない。 「シンジの話聞こうとした?進んで触れ合おうとしなかったのに。私はシンジにできない事ばかり望んでた・・・シンジがジェリコの壁を崩せると思ってた?シンジがシンクロ率で私を抜くと思ってた?お子様と馬鹿にしていた通りの結果と私が否定される結果、両方ともシンジなのよ。碇シンジという一個の人間なのよ?私どうすれば良かった?正解が見つからなかったの・・・好き嫌い決められなかった。・・・・そして、ようやく簡単な出てきた設問。Qシンジが殺そうとしました。Aシンジを殺してあげる。」 そして、私とシンジは今の状態。 感情に振り回された私は、心に嘘をついた私は、シンジの胸に飛び込むのに躊躇するようになった。もう否定されたくないから逃げてるの、シンジから。 ミサトに会って、シンジとの面会をとる。 ミサトからの無駄話、助言。 「好きでいてくれた、懐に包み込んでくれた。 そんな相手から不意打ち、致命傷を与えられるなんて人間不信になっても仕方ないわよ」 「シンジと私のこと?」「加持のことよ、学生時代に私がふったの。その理由が父さんに似ているから・・・それがつきあい始めた理由でさえあったのにね。馬鹿よね」 「・・・(馬鹿か・・・私も)」 「・・・」 返事はしてくれない、もう会いたくないの?・・・嫌だ、嫌だ、いや・・・好きだってようやく正解をだせたのに。時間切れなんて!イヤ、もう一度アスカって!呼んで・・よぅ・・・・・・。 「シンジぃ・・・」 去っていくシンジ、追いかける事のできない私。 理由が無い、今まで嫌いつき離して傷つけ殺そうとまでした人を突然愛しているなんて。きっとシンジは私がまだ憎んでいると思うだろう。罠だと思うだろう。信じ込んだところで裏切って嘲笑を浮かべると・・・・・・・・。 迷惑ばかりかけていた私。本当は強くなかった私。そして醜い私。一度も無かった、私がシンジに本当に、心のそこからの優しくしたことなんて。嫌な奴、見下しながらシンジの優しさに甘えてた。 「ぅ、ぅ・・・」 シンジの後姿がぽつんと見える、シンジの白と森の緑と河畔のあお。 涙で一緒くたになる。 シンジの姿は変わらない、あの頃のまま。 でも心はもう既に私のものじゃない、違う!私のものにはならなかった、人形には。 針を。 _ 「抱きしめてくれなかったくせに」 本当に抱きしめられても良かった?好きでもない穢れてる僕に。 「私の見てる前でやってみなさいよ」 もう後戻りできないよ、そんなに知りたい?僕の心の汚い部分。アスカのことを好き勝手にして都合が悪くなったら鞍替え、日和見の臆病者だよ?君はそんな奴の事は裏切り者と罵るだろうね。あ、僕がそうなんだね。それで?知ってどうだった?知りたくなかった? 「全て私のものになってくれなきゃ、いらない」 良い所だけ、気に入るところだけ見て。君が僕の何処を欲しがってるのさ?家事洗濯と言いなりになって、いざという時はエヴァごと捨て身になってくれる、とでも思っていた?嫌な顔せずに愛想を振り撒くって嫌がってたよね?都合のイー奴と思っていたんでしょ? 「私、知ってるのよ。オカズにしてたこと」 だから何?加持さんを好きだったアスカがそんな事を言うなんて不思議だよね、襲って欲しかったんでしょ?セックスしたくない?子供の恋のままなら傷つかずに済むから、僕のオナニーも見ない振りして今になって糾弾する。汚いことばをぶつければ僕が傷つくと知ってる、頭いいよねアスカ。 「・・・だいっきらい」 ほら、嫌いになった。 そう、・・・そうだね。サヨナラ。 _ 胸に痛みが走った。 夢だった、起きると暗い部屋の中。ただの宿舎なので簡素で暗闇の中でも転倒等ありえない。ここに来て数日、夢を見る。昔の事、今の事、これからの事。どの夢にもアスカが現れては消えていく繰り返し、望んだ悪夢だ。 過去を切り捨てようと少年は想いを封印した。 _ ニンジンを切ったり、肉を切ったり・・・そんなに風に愛用して使っていた包丁を手に取る。まだ二ヶ月も使っていない、その少ない期間の間も一人暮らしを選んだせいか出来物や定食ばかりだった。それでも人を招待した時は役に立ってくれた。 「これで最後か」 明日は彼女が来日する、もうするべき事はひとつだけ。 選択を任せる・・・使い捨ててくれるのか声も聞かせてくれずに躊躇なく殺してくれるのか。 盲目的になっていると分かっていた、全てを捧げても遅すぎるとも。 でも愛している。 「ようやく会える」 オーバーざレインボゥ 迎えには行かず。 行けず。ひげのわがまま、なんとなくで。 個室、お隣さんは想いの人。 _ ごろんベッドに寝転ぶアスカ。 枕を抱えて目を閉じて、考え事。 もう出会ってから2年以上が経つ、最初はただの友達だった。戦友で同居人で・・・優しい顔した裏切り者のシンジ。男のシンジ。 それから憎む奴になっていって・・・今は。 シンジの体に触れる事さえできない、触れたからといってシンジは私を好きなってくれる訳でも愛してくれるわけでもない。触れ合いたい・・・それだけ。 「一生わがまま言わない、最後まで尽くすから・・・。駄目だよ、私。こんなじゃどんなに頑張っても結婚なんて恋愛なんて」 同じクラスに居ても、もう声さえ聞かせてくれなくなった、無口を通り越して私の全てを「居ない」事にされていた。遠まわしでも、傍らに居ても、どんな些細な事でも、「アスカ」と呼んではくれない「惣流さん」・・・そう呼ばれるたび私の心は寂しくなってしまう。シンジの言葉に一喜一憂なんて、私らしくないな・・・うそ強がりなの。本当は痛くて仕方が無いの。そんな私を知らず、外見で手玉に取ろうと一緒に寝たいとうっとおしいモーションかけてくる奴ら(主にさるの馬鹿と変態メガネの情報流失で私を知った奴)は叩き潰して大人しくさせた。 「シンジの作ったものたべたいな」 特別美味しかった記憶なんて無い、普通の腕で普通の食材だったから。それでも欲しかった、シンジに関わりある何かが。自ら捨てた絆をつなぎなおすために私はベッドから起き上がった。 _ _ _ _ _ ネルフの寄宿舎、アスカの隣。 _ 部屋、扉。 「どうして会いに来たの?」 以前と同じ言葉、それを無視して部屋の中に入る。変わってない、実験付けで浮世離れした経験を持っているからだろう。物が無い部屋。 「・・・何か用?」 扉のところで無表情に聞くシンジ、部屋の中が暗く逆光で顔が似合わない軽薄な感じがする。 ここで感情的になっても何ひとつ変わらないだろう、シンジは私の事をあきらめているのだから。好きなのに愛してるのに諦めている。 なんて悲しいんだろう、でも私にはそんな思いを抱く事などできない。できやしない。強要のは私。 そう仕向けたのは私。 「挨拶。となり私だから」 隣にいる事を言う、表情に変化なし。ばたんとベッドに倒れる。 「時々来られたら迷惑?」 「別に」 夕焼けを映す窓、周りには人。人。人。 大人ばかり、アスカ以外はキョウコが勤める研究所の職員ばかり。片親しかいないアスカ、忙しいキョウコに待ちぼうけを食らわされても我慢できる良い子だった。 「・・・」 ママを待つアスカ、サルの人形を抱えて大人しくしている。声をかけるものは居ない。 今日もいい子で居る、だからママが一緒に居てくれる。そう幼いうちから分かっている頭のいい子だった、だから・・・ いい子でいるから、ママをやめないで。 アスカが直接行っても何も進展はない、ミサトやリツコに頼み込んで お土産としてお弁当。 究極的に考えて僕が好きなのは、君の思考。心から出るもの。 「体じゃないの?」 手を伸ばしても絶対届かないもの、それが心だと思う。 愛は優しさに、優しさは愛に。神をも殺して祝福されますように。 君を不幸にした僕だから言えるんだよ、幸せになれるよ。 「さよならアスカ、幸せに」 もう君に望まないから、何ひとつ求めないから。僕の持ってるもの、自由になるもの全てあげる。そうすれば、君には笑っていられる?わからない、でもぼくはそう考えた。 身勝手な他人思い。恋はつまりそれ。 痛いのを我慢して尽くす事、苦痛は苦痛。ちゃんと駄目と拒絶しないといつか限界が来てしまう。 前回はそうだった、まさしくそのまま・・・だからすれ違った。だから憎みあってしまった。