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そのひとは綺麗な宝石でした。 白い髪は光に輝いて紡ぐ言葉は鈴音の軽やかさ、大人のように落ち着いた態度は神聖な印象を与える。 私はけっして手に触れてはいけないと思いました。 川向こう、丘の上の教会に住んでいる正真正銘のシスターなのだと知り、十年前孤児になって言峰に 名前を変えたとそう聞いたときは、養子という共通する境遇なのに羨ましくまた皮肉を感じていました。 でも私とは全然違う生き方をしていました。彼女は分け隔てなく誰とでも話しますが、特定の人と親交が あるとは聞かなかったので、たぶん友達はいなかったはずです。 私と似ている、と言えるでしょうか? 孤児院でもある教会の仕事を手伝っているとも聞いたので、私生活は忙しいようです。 早退や欠席も日常茶飯事だと、彼女の担任で弓道部の顧問で親交ある藤村先生に聞かされていました。 何かを手に入れる努力をしていたのでしょうか? そして、私もするべきだったのでしょうか? 「どなたですか?」 藤村先生だろうか、祖父と兄は戦争に出かけていってから私独りきりで家にいる。 長男害虫を針で採集するきれーパパは誘拐犯へと。 身に飾るものを自分で していない様子だと聞いたときは、なんとなく予想通りだと思いました。勿論、私は親しい人間では なかったので分かりませんが 私とは大違い、せいっぱいのお洒落をしても髪がくすんでいて姉さんのようには颯爽と歩けません。 猫も寄りつかない間桐の家に、来る虹彩 23.あたりの始まりの詩。なにかの暗示。 ◆事象後... この世界では純粋にはなれない、勇者せいぎのみかたには正義と悪の手鏡が必要だったのだから 魔法使いに頼ることが出来ない哀れな街人に血の洗礼を施して夢、理想、現実を切り分けることも 自分が誰かも知らされない。なまえもないそんざいになることも。こわくない。 言峰 「正義の味方でさえあればいい、あとは何もいらない。 魔術師でなくてもいい。 マスターでなくてもいい。 人殺しでなくてもいい。 私が望むのは、なれの果て。無力のその先に何が産まれるかということだけだ」 人間は尊いものになれるというが、現実は過酷だ。 だから、正義を目指した男が殺人鬼に堕落した。 「かわいそうな人間だ救わねばなるまい?さあ救って見せろ」 毎日寝に入った場所の直下、 偽りの白い部屋、 見覚えある壁と構造、読み取りに長けた私の回路は部屋の内部を生き物が存在した痕跡を掴んだ。 その生き物は・・・手が、足が・・・小さく、骨と血で出来てて・・・人間であるはずで。 っ!あ。あんな・・に・苦しくて・・ぅ悪、そんなものだった。 今を読んで過去を知る私でもまるで見ていたようには情報が目に浮かぶ事など在り得なくてだから、それ を憶えていないのだと。 私が誰かに命を与えて死にもしないまま死なせて貰えないままの生き様があって、それを 忘れていないだけで。 記憶が、曖昧で、焼けてて、それで・・・だから私は誰かに持ち上げられ生を得たのだと。 焼き焦げたカタコンベ、ここには死の跡があった。それしかなかったとも言える。 「ここはお前の生まれた場所、そしてお前は我の為の餌に混じった猛毒・・・いや劇薬だったぞ」 どんな概念なのだろう生まれる前を例えるなら、生きてはないというのなら死である。だが、何処 から何処までが生きていると仮定するのだろうか、心臓が動き出した時か?脳に血液が行き渡った 時か?それとも、人が人であると認識し、された時だろうか? 言峰士陰は何度も命を落としては、拾い拾われ引き上げられた。 死が命を失うだけなら、もうこれは零へ還るとは言えない。不完全な言葉となるだろう。 『起源』なんてものは『後から』やってくる、追いつかれて『上書き』されるつまらないものだ。 『何度も』『何度も』『何度も』『何度も』『生まれた』シオンには『生んだ』経験もある。精神と 身体が『耐える』なんてことは『ただ、ただ』あたりまえの極々普通のこと。 シオンの手は今さっき月の光さえ喰った。 だからサーヴァントなど、月の真下に立つシオンの影踏みさえできるはずがない、影の見た目の異様さで それが既に違う理で存在しているとわかる。 「それでも私を父と呼ぶのか」 「ええ、娘でいさせてもらうわ。せっかく柱から人へとなってしまったのだから、それに帰るあてもない。 だから、だから、誰も彼もが化け物の私と関係ないという世界、だからこそ」 「なんだそうだったのか私は求められてしまっていたのか。 血のつながりもなく、情をかけたわけでもないのに娘というものを得てしまっていたのだな。 くく、はは・・ははひゃっひゃぁぁっ」 「困ったお父さん」 「ひっ、ひっ、ひぁぁっ。来るな、お前は理解できないものだ。娘だ、だが理解できない。それは」 「困ったお父さん」 「」 退くというのか?見逃すというのか? 令呪は確かに無いが、彼女に近しい者がマスターなら・・・私は最善の事をするだけだが。 戦争のさなかに智謀無き行動は命取りだ、 なら切嗣が取引材料にして、兄であるマスターを殺すだろう。 ●桜は 何故、恋愛感情かと言えば『せいぎのみかた』だしそれでいて助けてもらっているし 蟲は魔術師のなれの果てとはいえ、魔術師殺しの切嗣に軽く殺され 本体ではないけど・・・・桜は恩があり間桐から少し離れれて、虎と仲良し・・・。 でもそれは大事の前の小事になってしまう。 結果的に蟲を焦らせ、虎が桜の弱点になりうるのだろう。 ●帰宅する二人 昨日は邪魔が入って、ランサー・・と知らないサーヴァントの。 キリツグが知っていた。 あれは前回の残り、因縁の相手だと。 ●帰宅する姉妹 桜は一日家に帰っていない、数日前から姿見せない祖父の事も気になる。 兄の欠席も、サーヴァントどうなっているのかも。 ライダーは消えてしまった、と思い込んでいた。 それなら結界が消えるだろうに、維持されていてキャス子に小細工されない限り弱まる事はない。 セラが切嗣を見取った、そしてまた手にかけた。 イリヤは受け入れ、桜は、狂う虎と姉に、恐怖を用いて間桐の娘となる。 「聖杯以外の確保対象?なによそれは、綺礼が持っているって、嘘でしょ?」 ただし、アインツベルンにも手を出していたので士郎のことは知らずまま。 イリヤと間桐、同時に・・・正義の味方。 どちらも中途半端と言えばそうなる、しかし桜は蟲とは無縁で居られたしイリヤは父親に会えた。 ただし、ライダーはタイガーを人質にされて召喚だけ行った。 あとでアサシンをルール破りで出すのに。 間桐まとう→まきりが元の名 臓硯ぞうけん ○死者の論理で迫る。絶対無比だから、正邪を問うてはならない。全面否定になければならない。 ──────────────────────────────────────────────── アーチャーを撃破しキャスターが宝具で死蔵する。 その間のアーチャーは考え事、シオンを見たときに感じたこと。分かったこと。 私の彼女は同一の存在であると直感した。 藤村大河を忘れていた、正確には英霊となった■■■は大河が死ぬ時期を知っていたにもかかわらず。 第一犠牲者としての彼女を受け入れていたこと、間違えているパズルのピースなのにはまってしまう ・・・それは違う絵ではないのか? そんな疑問をもつようになり、今こうしてキャスターと共に居ると 自分の使命を完全に理解できていた。 あの言葉。 「SCHWARZWALD!!」 「Un Limited ...」 不思議な気持ちだ、私は非常に落ち着いている。 異質な同質者と戦える喜びに満ちている、せいぎのみかたを続ける理由を見つけたのだから。 ★シオン・アインツベルン・言峰・エミヤ この世界に来たときに「調整」されて、それでも身体は違う生物になりたがった。 ボキボキガギギッガリガリガギ 何でも食べた。何でも壊した。何でも取り込み同化してわたしは化け物そのものだった。 「調整」そのあとに「殺害」された。 アインツベルンが持て余したが「殺害」のあとに残った死骸、常識では「死」は絶対。 魔術でどうなるものではない。 でも「世界の外」から来ているわたし、イノセンスを抽出されてまた「生まれ」た。 ────────────────────────────────────────────── アーチャーが考えている事。 何故切嗣が生きているのか、何故聖杯の中身で死ぬ運命だった人間が生きているのか そして・・・士陰とは誰なのか? 前回のアインツベルンは、二班、つまり切嗣以外に予備を送り込み監視をし 聖杯を手にしようとして失敗した。聖杯を前に欲を抑えきれず暴走した魔術師に より、自動人形■■が行方知れずになり 結局、今回は前回予想以上に活躍した切嗣を使うことにした。 娘であるイリヤを作った技術で、短命と判明した切嗣を助けて・・・。 セイバーは人の心がわからない、誤りは正さなければならない。重要な要素の一つとして防衛がある。 前回のアーチャー、令呪があれば二度目のリンクだろうが可能。 虎殺し、桜の夜、イリヤと間桐・・・・夜は。 ◆ここから下、本文19だった予定。 虎に蟲、桜の役割を分散し、慎二にも色々動いてもらうおうかな。 「人の形をしたゴミ、その内訳は多少の腐敗した肉と蟲からなる」 「ふぅーん蟲?間桐慎二、わたしあんたのこと嫌いだった。悪い子だったけど生きていれば 誰かに言うわ、もっともっと早く死んじゃえばよかったのに。そうすればよかったのに」 彼らの情報は伝えられる。弓によって、凛へと。 あの学園教員免許は殺しのライセンスにもなるのか、本当に間桐は祖が動いたのか・・・ 桜は・・・桜は・・・ ライダーと会う凛、マスターが誰かは臓硯に聞かされ推測していた。 「あんたもアサシン?あんな罠持つなんて性格悪いわ、蛇のようなやつね。 臓硯の命令に従った慎二と気があったんじゃない?」 「逃げないのですか?」 「アーチャーもいない、私だけで抵抗するとでも?・・・ああ居たわね、そんなやつ」 シオンのことを思い出していたランサーに言われ、次に会ったら何か言っておかないと 気がすまない。ありがと、でも。すまなかったわね、でも。 「我がマスターは別にいます、彼とは教会で別れましたが・・・保護されずにいたのですか?」 「なに、ちょっと待って。何か話が違う・・・キャスターの宝具を使われたの? 役目を果たしていないあのエセ神父め、どいつもこいつも私の聖杯戦争を汚して壊して 身勝手に捨ててくれちゃって!許さないわ!」 「」 「長い  舌の先二つに裂けて」 -----------------------------------------------------------------------------------------


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emiya no 夢 金  理想 黒  現実 紫 ki_tyguy 「この世界の話ではない」 「ゼルレッチね、それがどう彼女と繋がるの・・・確かにあなたと同じ魔術の使い方をしたけど」 「私は数ある未来のひとつで英霊になった存在だ、だから誰も私を知らない。 それだけではない、シオン・・言峰に育てられた娘など私の体験した世界にはいなかった。 影も形も。切嗣に育てられた私はせいぎのみかたを目指し、そしてここにいる」 異次元。交配種。 つくられた生命。 アーティフィクト、人工物。 それでさえない。 ナチュラル、あらゆる可能性のパズル、構成物のかけら、 ★「言峰士陰は生きた神秘である」「生まれも神秘である」「育ちも神秘から離れることはなかった」 「決して堕落しない神秘だった、それはまったく人間的ではない」  シオンの  自然に治癒し傷つき成長さえする身体、真っ白な    冬木、寺の池  透明な魂、色は血の赤が反射していた。  聖杯に注がれるべき汚れた魔力を、殺菌し浄化して吸収する体。    赤く染まる髪に抜け落ちる瞳の虹彩、真白の森を表すにはとてもよい状態になる。          ここで汲み取られたサーヴァントの骸を手にする。←内緒あとでアチャ戦で 「まさかね、そんな姿になってまで続けていたんだ」 正統の最古で原初がギルガメッシュならば、偽物の最後で終末がエミヤなのだ。 サーヴァントとして最強でないはずがない。 しかし大した役割が担えなかった、この世界には起源に辿り着けた本物が居たのだから。 「決着は私がつけよう」 「ちょっと、待ちなさいアーチャー」 一歩遅かった。 ライダーも地に這っている今、マスターのシオンは一人で令呪を守らなければ資格を失う。 それが分かっている凛は、もうここでの戦闘は終わったと安心してしまったのだ。 前回のシオンを逃がした轍を再び踏もうとしていた。 それを理解し、禍根を残さない為アーチャーは魔術を行使した。 「un」 limited blade worksと唱えた声の後にアーチャーの姿は掻き消え、世界が霞んでいた。


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遠くで ゆっくりとしたリズムで 重い音がしていた。 その響き、それはとても悲しい。 聞く者すべてに孤独を知らせる音楽になっていた、一人置いて行かれたように感じた。 「捕獲されたのか」 「これは・・・・どうして、あなたはアーチャーだったはず!?」 「わかっているとは驚きだな、いや当然というべきか。 そして、問おう。 この魔術を使えるとしたら今まで何処から魔力を吸っていた?」 「私の職業を忘れたの?誕生を祝い亡びに祈りを捧げる・・・墓場の管理者なのよ。 綺礼は他の企みに忙しかったからね。ちょっと目を盗んでラインをひいたのよ。 ・・・・・・・・・さて、キャスターの名前でも宝具は形あるものだった、ならば アーチャーだと言って魔術が宝具であってもどう?納得できない? ライダー休んでなさい、こいつは私が片付ける」 「墓場か、戦場即ちとは明快だ」 地面にささる無数の、サーヴァントシステムが許さないだろう数の宝具。 肩に担ぐほどの大きなものから、手のひらほどの武器・・・すべては剣に属していた。 シオンとライダーが取り込まれた世界には実に様々な武器があった。それしかなかったとも言える。 「いいのか?瀕死とはいえサーヴァントへの絶対権である令呪は残っているのだろう?だがしかし、これ を知るということは言峰に拾われた時点で予想していたが、お前程度の魔力では書き換えは出来まい」 「ええ」 「・・・マスター逃げる事は出来ないのですか?残念なことに私には力が」 「いいの今逃げても何処かで決着つけないと、ライダーと合流した時からストーカーしてたみたいだし」 「注目していたと認めよう、せいぎのみかたが生存している世界で、私という存在がいない世界で、異質 な存在はただ一人お前だけだったからな。今でも納得はしていない・・・一体何者なのだ?」 「間違いなくあなたと同じ存在」 「確信を持って言うのだな」 「ライダーは分かってる、私と契約した時から魔術が似ているどころでなく」 「見かけの違いで同一の存在を間違えるほど目は曇っていません。しかしシオンがいつか話し てくれると思い色々と想像はしましたが・・・まさかこんな形になってしまうと思いませんでした」 ライダーとして聖杯戦争に参加した理由はただ、召還した目の前にいた女の子の健気な顔に 好意を持ってしまったからに過ぎない。 あれからたった数日で、主を変えてまで現世に居たいと思うのは不思議だった。 「切嗣に語られた事、それがすべてではないのよ。薄々感じていたのでしょ」 「まぁな、エミヤとなる前に興味無かったからでは済まされない程の、忘却と逃避が心を狂わせていた」 おかしかったのだ、始めからして士郎が本当に真っ白だったといえるのか、魔術師ではなく魔術使いなど と呼ばれた男に助けれた人間が無垢であるはず無いのに。先回の聖杯戦争に巻き込まれた人間が、一時期 までとはいえ普通に生きていけたのも考えれば首をかしげざる得ない。 「」 「救うと同時に傷つけもする、それは私が人間であるから不完全な損なう英霊には勝てる」 「凛に負け逃走余儀なくされた者が言うのか」 「その前にランサーと戦ったからね、あなたより強敵だったわ。 生前は仲間、死に際は世界、現世ではマスターまで騙した卑怯者。」 シオンの足元から生えてきた金属の光沢のそれは、向日葵が太陽を見るように相手に向かって開いた。 中には雑に並んだ無数の剣。 マキリは令呪をアインツベルンは聖杯を、そして遠坂は冬木という土地を用意した。 アインツベルンの第三魔法は失われたけど何も残らなかったわけじゃない。 相変わらず冬木の地(竜脈)は膨大な魔力を生み出していたし、マキリは知識としての魔術は三者 の中では飛びぬけていた。極東から遥か彼方の森で聖杯を創り続けた結果、おぞましい副産 物が生むことになる。血に染まるアインツベルンの魔術師にとっては、その化け物も 雇ったキリングマシンにも極秘裏に、先回の聖杯戦争に投入され失われたと信じられていた。 「せいぎのみかたが如何して負けなかったのか、ここではエミヤキリツグは魔術師だったし、それでも 強かった」 「物事の強弱でない。勝つべくして勝つ、敵を窮地に追い込む状況の構築に長けていたからだ」 「それを卑怯と呼ぶなら、愚か者は賢者を理解できないだろう」 「魔術は無駄だ、この場所にはすべてがない。マナがない。身を隠せるものがない。霊がいない。 水も、光もない。言峰シオンの死に場所に相応しくないか?」 「」 「あ、はは・・・はは。本当にそれだけなんだ?せいぎのみかたに憧れた?くっ、あはっ。はは・・・褒 めてあげるわ、私をこんなに笑わせてくれた人はいない。 本当はそんな高尚なものじゃないのでしょう?見殺しにするしかなかった自分を騙し通せる口実が手に入 った。うれしいうれしい。ただしいただしい。 自分は圧倒的に孤独だけど独占している、他人に渡さない。せいぎのみかた。だからそれを否定なんて今 更出来ないだけ」 「今までお前のやってきたことは悪事ばかりだ、開き直るな。ここまで血に汚れて、それに酔う様を見る のは我慢ならん、お前に遠慮は要らんな!自分の血で溺れる覚悟は出来たか?」 「自分が味方し理解した正義のために、殺戮を行うと言った切嗣を、ぎりぎりの妥協で信頼していたんで しょ?ならいいじゃない、綺礼が何したって正々堂々と後(うしろ)から襲えば?」 シオンが投影するのは装飾が施されていない短刀、それを両手に逆手に構えた。アーチャーの夫婦剣はエ クスカリバーほどの神秘と比べれば落ちる武器だが宝具なのだ、対抗できるとはとても思えなかった。 エミヤは自分の結界内にある武器から慣れたものを選べば良かったが、やはり夫婦剣を持った。そしてシ オンの武器を見て怪訝な顔をし皮肉を述べた。 「無名の剣だな、それとも私の知らない英雄談に纏わるものか?」 「性根叩きなおしてあげる。 来なさい、批判されない大ばか者」 これはそもそも名前のあるものではない、神話の時代の武器など現存しないのだからバーサーカーの武器 であった無垢なる道具を模しているだけ。何故誰も見ていないサーヴァントの知識があるかというと、聖 杯のために蓄えられた魔力の泥に触れたからだが、シオンも無意識だったろうが原始的で無骨な武器ほど 投影では存在強度の比するものないだろう。 エミヤの問い掛けには答えない、魔力で髪をするすると編んで、全身から魔力を吐き出して 全力で闘うと告げた。 「喜びなさい、自分を裏切る経験は中々出来ないのだから。途方もない歳月、せいぎのみかたという終わ っている者として、世界と自分を欺き続けた。その罪科を清算してあげましょう」 「認めない、お前のように私が落ちていた者だったなど!」 「何を言うの?自分の本質さえ忘れたくせに。 あなたは殺したかった、仲間も家族も殺し尽くしたかった。憧れたのは切嗣なんかじゃないんでしょう? 自我喪失者となってしまっても、血を見たかったんでしょ?」 「・・・そんなのはお前だけだ、確かにひとめ惚れし純粋に愛した理想は地に落ちた。 運命に弄ばれたが今ならば私という存在を蝕んだ正義への憧れを許せる、聖なるものに囚われた心は 不滅だと」 「だから勝てる、だから負けないんだよね?」 「そうだ」 魔力に満ちている殺す相手の問いを肯定し剣を向けた。向けられた方は、初撃を受け止めるが力負けし地 面に倒された、連なる斬撃から逃げて致命傷を辛うじて避けた。やはり、生身と英霊とのスペックは隔絶 したものだった。 「さっさと諦めろ、お前はここで終わる」 片手で振り下ろされる死の鎌をやっと両腕で支えた。 「ぎっ、ぐぅぅぅぅ、ぅぅぁ」 歯を食いしばり壊されていく己の武器を鍛えて耐える、そのおかげで芯は折れないし砕けない。 それに苛立つのは、やはり最後まで信念を貫く自分自身を見てしまうからだろうか。 「名も無い剣でよく堪える、楽になるといい」 「言峰の生き写しでしか出来ないか」 止めを刺そうとした直後、飛びのくエミヤの体を剣が襲う。飛び道具、それなら力を最小限にして女性で も楽に扱える。教会の武器は綺礼からいくつか貰ったが似合わないと使用は控えていた、傍から見れば立 派なシスターであるシオンは炎などの魔術の方が扱いに慣れていて、対して黒鍵は相手を殺す時に神のみ なにおいて罰する、と言わないと駄目らしいしので好みではない。 それに譲り受けた相手が相手なので、何となく一度も使用せずに戦って来た。今はそんなこと言ってられ ないから使った、黒鍵が無かったら切り抜けれなかったろう。 「素手だと?」 信じられない事に今度守勢に回ったのはアーチャーだった。 「く、このっ!」 力は受け流され、地面に投げられて肺に真上から打撃を加える。 だが、そこまでだった。 攻撃の手を休めてシオンは距離を取る、立ち上がるエミヤにはダメージは少ない。 「・・・」 「ほう余裕かと思ったが、今のは驚いた・・・何だそのふて腐れた態度は?」 「服が汚れた」 「な、に?」 「そう言ってたギルガメシュの気持ちが分かったの、でも私はあそこまで唯我独尊じゃない」 「弱音か?素手では私は殺せない、ライダーに令呪を使ったらどうだ?」 鉄火場とまるで対照的な黒の森、それは燃えて灰となりアーチャーの攻撃を防ぐ火炎の元は無く なった。 黒の森の展開、灰への変化、そして・・・倒れこんだシオンに放たれる宝具。 「・・・」 「なんだとっ!」 その攻撃は防ぎようが無かった、それが何故届かなかったというのか。 立ち上がるシオン、足元には灰に埋もれていた植物の芽があった。その変化が何だというのか。 「未来を・・・私の未来をこんな所で潰えさせない、過去の亡霊はいらない。遅かったじゃないの、審判 は適当に早くそして一ミリ秒の途惑いもなく・・・強制力が働き始めたわ、宝具を貯蔵する固有結界には 驚かされた。でもここまでのようですね」 今までの凄まじい殺気が全て嘘だったような声で士陰が言う、ここに至って顔に浮かぶのは余裕ではなく 哀れみだった。眼前まで来ていた偽カラドボルグUは空中で停止し、カランと軽やかな音を立てて地面に ち消えた。鉄は錆びていき、自然は伸びていくアーチャーの結界は消えていき、シオンの世界は力増して 若葉が茂り光に満たされる。 「アンリミテッドブレイドワークスはあなたの持った信念、『せいぎのみかた』の為に生み落とされた魔 術にすぎない。あなたは人の幸せとは何か考えたことが無かった、それは家族の中にある。偽者の家族で あるイリヤさえを拒絶し、自分さえ騙してきた結果、いつしか『せいぎのみかた』という詐欺行為を行う ようになってしまった哀れな存在、英霊になってさえ後悔し続けている存在」 「何故失われたお前が勝る?」 「当然じゃない、起源だからこそ私は正しく間違ってはいないだけのこと。在り方として歪なあなたは見 捨てるにも、本当にあなたの意思で見捨てたのかしら?誰かに言われてしてきたのでしょう?私は違うわ 確信を持って人を救えるし殺せるの、かりそめの理想よ朽ち果てよ」 剣を失ったアーチャー、対してシオンには光と芽が滴る水さえある。命の大元である水には、火と違って 天敵となる相手がいない。魔力で満たされた水は、エミヤの呪われた世界を完全に押し流す、光は生物を 創りまた無に帰す事もする。仰向けに倒れた相手に止めを刺すべくシオンは手を振るった。火と水とエー テル、それが押し寄せて英霊を構成する全てを無に返す。 「正義なんて信じて行うものじゃない、あとづけの言い訳なのよ。それに騙されるなんてあなたってよっ ぽど頭が悪かったのね・・・バイバイ」 「消え去るのか、仕方ないな。紛れでも最強と口にした罰か。半端者が到達者に勝てるはずなかったか」 「そうよ」 守護者としての地位があればこそ士陰を攻撃できたのだ、しかし今の闘いで世界が認めたのは士陰の勝利 であり、存在として格下のエミヤなど手も触れてはならないという事実だった。 「」 「完結してしまいそうだったが・・・そうかまだ私には進む道、先あるのだな」 「むしろ自然なのだろう実に正しい世界だ、ここには心を否定し続けたエミヤシロウなる 堕落した存在はいない。せいぎのみかたは存在さえしなかった・・・っ!そうだこれが在 りのままの道筋」 「切嗣は口にしていただけ、それを真に受けた子どももいなかった。 何より、私はそう聞いただけで綺礼という救えない相手に手一杯だった」 アーチャーばーさすシオン 傍観者としてのライダー「未来が過去に追いつかれ、越えていったのは」 未来は過去に復讐する、その未来も過去へと逆襲する。 ■バトル 「なん・・だ・・と?」 救う者であるシオンからの魔力が繋ぎとめていた体、人が作り出した人でないもの。 フランケンシュタインは、この世に『繋ぎとめるもの』を失った瞬間に存在的に死んだように。 「これは、くそ」 止まることなく崩壊していく体、砂のように形失っていく。 「意味を失ったのよ、私に記憶を思い出させるまでが仕事だったの。 あなたは十年前に受肉しなかった、サーヴァントであり続けていただけ」 「・・・なんだそうか、既に定められていたのだな」 ただそれだけ、英雄王だろうが征服王だろうが生前の力は幻で現世においては夢の中の事でしかない。 与えられた役割を演じ終わったら舞台を降りるのみ。 指の動き、あまりに早くそれでいて正確に複雑、残像しか目に残らない。 「打つは的のみ」 シオンは宣言し、実行し、ついでに埋葬さえする女。 偽りの真実、→カタコンペ→アインツベルンの森       死なない死体のやま    血の池、黒い木々、突き刺さる槍剣類 半身は神、半身は人。赤い世界で第二の予備としての聖杯、ギルガメシュとのライン、そして陰と陽。 ●End少し前 アサシン→セイバー VERSAS1 綾子・・・アーチャー+凛→キャスター ライダーVSランサー(ここでランサーがライダーの生存をシオンのせいだと推測できるように、綺礼に) VERSAS2 凛→葛木 アーチャー←キャスター アサシン死+アーチャー仮+慎二死+キャスター死・・・イリヤの制裁。 イリヤの死。 ギルとアーチャー、凛は裏への道へと。  メイド二人が事態収拾に動く、イリヤが消えた時にキリツグと共に動いてはいたが あまりに複雑になりすぎていて・・・凛が主、そしてシオンの闘争が軸になり キャスター、アサシン、ランサー、セイバー、ギルガメシュ、アーチャー、  イリヤ亡き後はセイバーは消えてしまうかも、と思った。イリヤほどの魔力あるのは凛のフル状態だし 「仕方ありません、サクラどうか許して欲しい」 「それは私の方です、騙してきた・・・自分の身だけが可愛くて。姉さんを、イリヤちゃんを、兄さんも 切嗣さんも、シオンさんも、ライダーも」 それでも聖杯を求めるセイバーは、魔力不足ながら桜と結ぶ。 予想外に魔力の不足はなくなったが、凛とはマスターになったことで今まで見逃してもらえていたのに 明確な敵対だろう。姉妹ということはセイバーは知らなかった。 「令呪を作り直すことが出来るとは、本当にマスターだったのですね・・・サクラ申し訳ありません。 イリヤスフィールに間桐と遠坂なら術があると教えられたものですから、無茶を言いました」 「いいんです。間桐の娘として聖杯戦争を終わらせます。 それでまた、ここでみんなと笑いあえたら、それ、なら、わたし、わたし・・わぁああああーーー」 つらそうに決意をサーヴァントとなった彼女に伝える、そうしないと臆病者の自分はランサーに 先生を殺された時みたいに何も出来ないまま、今イリヤの死を他人事としてしまうだろうから。 「泣いても良いんですよ」 シオン"の"ライダーは独自の動きをしていて戦闘には参加せず。 宝石剣はない、だから裏へと身を落とす凛とアーチャーの冷たくなった関係に。  柳洞寺。 しかし、鍵握る綾子はランサーの手にあり・・・キリツグと言峰綺礼の戦闘。  三度目の教会。 桜と凛は・・・メイド・・・そしてシオン。  最後の時 今までのサーヴァント、未見だったバーサーカーも・・・ ●End 聖杯は使ったほうが良いし、今までの全てを肯定してきた私というものを否定していいのだ。 なかったことにしてもいい。 それがとても楽な結論なのだから、死んだ神様に遠慮なんてしないで。 「すべてを捨てて自分を救おうと思った、限り無い他人の命より唯一である私をようやく救おうと思う」 魔法で全てを終わらせよう。 ここに聖杯戦争という魔術師の作った儀式は消えた。 遠坂もアインツベルンも間桐も、凛も桜もイリヤもそれぞれに生きてまたは産まれもせずに 時は流れ始めた。奇跡的にというか何時か出会う運命だった言峰綺礼と衛宮切嗣は、やはり 仲が悪いし、姉妹仲が悪い桜と凛は互いに罵り合っていた。藤村大河は教師であるがらしく なくアインツベルンで産まれるはずだった魔法の行使者本人は西欧の片隅で。 「汝迷える子羊よ、祈りなさい」 ただ身に染み付いた聖職者を続けた、その教会は暗黒時代を生き抜き学術を守った所で彼が 数十年後の後に魔術の四つ目の学び舎を開くまで平穏で在りつづけた。 「遠凛坂はただのオカルトマニアだし魔法なんて使えなくて、そう桜は そんな姉に引き回される幸薄少女。」 シオン・コトミネ・アインツベルン 3000万から4000万の魔術師を表に押し出して、裏世界を表と混ぜた。そうして彼女は永遠となる。 出自は、英霊エミヤのなれの果て。現世に生身で、ただし今より過去にて受肉し 何故幼いかといえば最盛期の姿だったのだけども。運がE-なので凛みたいにトラブルに ... 最後は異国の森を焼いて、冬木の聖杯に関わったすべてを消して終わりとする。 「」 アインツベルン 滅 ■あらすじ 先回聖杯戦争果てに起こった惨禍、唯一の生き残りだったわけではない、そんなことはわかっていた。 そして運命、出会いがまだ続く場合には・・・最後の時が訪れる。 FFTXのあの人をベースに朱い月を織り交ぜて、遠坂とも学校で表面上だけの付き合い。 一成とは仏教の男基督教の女として双璧、または比較対照として密かに。 この世の全てと交換する価値があるのだろうか?それは誰であろうと無理なこと。 それが「正義の味方」の行いと決して口にはしない、何故なら其れは嘘になるから・・・ それまでは私の心の部屋は灼熱の黒世界、真っ黒が満たしてくれる。 落ち着ける、何処までも果てが無い。 命を救い上げられたから、持ちえた信念だが記憶に無い赤い世界でも一度人でさえないものを救った。 『士陰は途中退場気味にして、髪の灰色は白銀になり、抜けた要素は真黒部屋へと埋葬された』 24時間の制限、反目、セイバー→切嗣+イリヤ ライダー→慎二→士陰 令呪 遠坂→同盟相手は桜+切嗣+イリヤ・・・でもアーチャーを失った結果であり 魔術師殺しの助力は、落ちた魔術師対策で・・・でも休戦協定といったところか。 それでも独自の動きで幼き頃から意識していた、ライバル・・・サーヴァントなくした同盟を シオンとしつつ、相手の出かたを窺い隙あらば魔術師としてできること・・・つまり まさしく聖杯戦争、元々の純粋な戦いを仕掛けたりした。 ここを上手に描けば・・・よいと思う。 TENN NO HAI SION IRIYA KARA YUZURIUKE ■ステータス 強化 基本 破壊と灼熱 無限の酸化、燃焼、灼熱・・・ 変化 透明 治癒ほか用途は様々 照明修理 投影 結界 灰に火がくすぶる、剣製後の丘 平和という争うものが居ない、忘れられた墓場  +a 綺礼の治療、体術、黒鍵 綺礼との会話はどうしても朱い月のような、素ではないが構えてしまうというか・・・ 最初から敵で、しかも命救われたのだから特別であり続ける。 言峰士影(Sion Kotomine) 印象的なのはその眼、アーチャーと似て厳しい日常なんて甘いものは知らない。 本質は逸脱していること、歪ではない。固有結界(身体に依存) 最初は焼け焦げた部屋、原型。唯一の扉から外ら出ると焼け焦げた森林、今。 鎮火するまで佇んでいると生命の息吹、今と未来。 十年の歳月でようやく火が弱まり、片隅にナイフがひとつ突き刺さる。それは墓、シオンとなる前の 者たちの死を悼む、墓は死んだ後なんて常識は少し変だと思う。 『何度も命与えられた、だから私はただ救いたい。 そこは確かに自己があり、空虚な理想主義者はいない。あなたなんていない』 きっとあの赤焼けの世界を求めているのだ、決して届かないと知りながら私は恋焦がれていた。 「ここがどこか分かるかい?始まりの場所、ここは暗い森・・・アインツベルンの命の製造場所、血の池。 そのよどみからこそ・・・命は生まれる。そう、ここが母であり父が代わりの。起源。 ・・・既に辿り着いていたのだ、アインツベルンは・・・・しかし無くしてしまった、あまりの 期待だったから小さなアナタに目を背け、捨てた」 「奇跡」 暗い喜び、試して見たわけじゃない。ただ世の中の仕組みが、事峰基準なだけに アカシックレコード、神の記憶、ギルガメの半分人半分神、 ●days after あかいあくま、まくろのあくま、ましろのあくま 二足歩行動物は四足や六足の生物を理解できない。それは真理であり、摂理である。 魚の目は死人の目、タコとかの目は異星人の目。理解できないが死人よりも楽に考えれる。死人はまだ人 の形をしているだけ殺りにくい。 『愛にすべてを』→『私に愛を』『あなたに愛を』 "私"という言葉が抜かれた全くの『 』が表されたといってもいい世界。 それはトレースオンでさえない。黒い炎に焼かれる世界。 黒森や白森に至るまで不完全ゆえに 炭の『(失われた)黒の森』、   森と小さな火種、いつ全焼へと移るか分からない不安定な世界。 灰の『(死の)白の森』、   雪原?サーヴァントさえ恐れる死の灰が一面に積もる、死地だ。 やがて芽吹く本当の行き先、『(青の空)緑の森』    こくりん、はくりん、おのししかりん 黒い森(シュバルツバルト)、白い森、緑の森 ■ようやくみつけたえんでぃんぐ足りない。あなたていどのかなしみなど世界には満ち溢れているの だから足りない。けっして叶わない適わない敵わない。 --------------------------------------------------------- ■番外編劇場、短編をいくつか。 道路でタイガーにシオンが狩られていたとき、甘味どころの気絶した二人を見て凛。 「アーチャー家へ運んで」 「どうしてだ?」 「人の趣味にケチつけるつもり、ああーいつもあの高慢ちきシスターも地下牢で飼いたいなあ」 「魔術師として以前に人間としてどうかと思うが」 「何?犯罪したってばれなきゃいいじゃない、どーせ教会のせいしておけば冬木のセカンドオーナーとし て言峰いじめれるのよ。聖杯戦争中は勝者になる私が法よ!マイシスターなんてロリからおぢさんまで囲 ってアインツベルン乗っ取り計画をしてるに違いないわ。姉は妹に負けられないのよ!」 「黒いな。しかしあの神父は逆に喜ぶと思うのだが」 「ああっ!?そうだったーあっちゃーウッカリだわ・・・呪われてるのよ。うふふ」 「おい三枝のスカートの中覗きながら言うな、理想が汚れる」 「」 ----------------------------------------------------- 変なネタ。WeB拍手向き? 言峰シオン 「お前なんか異端審問に架けてやるんだからぁっ、二度と近づいちゃダメ」