『しあわせの鳥かご』 昨夜は遅くまで借りたDVDを見ていた、内容はつまらないB級映画。 監督がとにかく無駄に頑張ったらしい。 超大作と銘打って売りだした長時間映画、それに誰も乗らなかったせいで駄作として有名だった。 一人で見るのは苦痛だったけど意地になって最後までみきったせいで朝がこんなに遅くなって、いまだ眠い。 時計は10時を過ぎたところだ。 ばかっぷる共は買い物と称したデートに出かける予定だったはずだから、誰も居ない静かなリビング。 そう思っていたら、うめき声みたいなものが聞こえてきた。 女の声? 見るのはいいが実際にはB級映画みたいな展開は好きではない。 ドコから聞こえる? 喉が渇いていたので水道水で我慢しようかと思ったがキッチンから聞こえてきていた。 「ふれんだぁ〜うぅ〜」 「うふふ、フレンダがかわいすぎて生きてるのがつらいわーマジつらいわー。くんかくんかしただけじゃないー」 いつもはゴミ箱がある冷蔵庫の隣、その狭い空間から聞こえてきた。 暗く狭い・・・その物陰には、少女から見れば既に一人前の大人の女性であるはずの麦野沈利が体育座りしていた。 見てしまってから、うわ関わりたくねえと目をそらす。 治療された頭のたんこぶはフライパンでやられたらしい、ただでさえ頑丈な麦野には致命的な致命傷は 細腕のフレンダには無理だったのだろう。むしろよくぞ押し倒されずに済んだものだと思う。 「なるほどセクハラのしすぎで家出されたと。 行き先は分かってるんですよね?」 「うん」 「ならいいんです。フレンダは行くあてが無数にありすぎて電話確認が大変なんですよね。それで家出とかばれたら 狼になってフレンダに会いに行くやつらが多いし、麦野がしっかりしないなら私がとっちゃいますよ」 「あぁぁぁぁ、うぅぅ」 「泣かなくても・・・冗談ですよ。もう。 でも今週は滝壺さんのバケツプリン、ソーメンですね。 おいしいんですけど量が半端ないんですよねー」 いじいじと落ち込んでいく麦野。 それをうっとおしそうに見ながら、家事全般の配分を考えて鬱になってしまった。 今ではフレンダにすべて任せきりになってないので住居が荒れることは無いが、料理の鉄人と化した滝壷が フレンダの貯めた食材を湯水のごとく消費するさまを見る羽目になるようだ。 麦野の暴走もやっかいだが滝壺の暴走は止めるすべが無い。 「孤児院に行くって、しばらくあの子達にも会ってないからって、わたしを捨てて行ったのよ。 ああもうだめなのよ朝から荷造りしてたから」 「それは、ご愁傷さまですね。わたしが会ってきて仲裁しましょうか?」 「そのまま帰って来ないつもりでしょ!?あんたまで行っちゃったら、滝壺が視線がねっ! またフレンダを実家に帰らせた無能め、って言う感じなの!二人でいちゃついて私の居場所がないの! あんなのイヤよ!女のプライド的にも耐えられない!」 「つまり軽く愛想つかされたと、」