長い金髪を揺らして廊下を歩いていた少女。 連れもおらず今はひとりだった。 別行動している従者がつくる夕食を楽しみにしていたが目的の部屋に着くと、立ち止まってじりりと扉が焼けるほど睨んで眉を寄せた。 事前連絡がない学園長の用件は厄介ごとだと経験していたし、警備のシフトや魔法先生との軋轢がたいして面白くもない牢獄の余興としてだされるだけだったからだ。 「前回の『待て』を無効にでもするつもりか? ゲームに賭けたものが手に入らないとかじゃないだろうな、私の好きな甘味だったのに」 授業はサボるが部活は比較して真面目にしている。 将棋の約束はまだ先だったし、心当たりは無かったので厄介ごとか愚痴につきあえとでもいうのだろうか。あと、関東各地の茶菓子を取り寄せさせている。 わたし?私は不承不承この学園に住み着いてる吸血鬼さ。 「わざわざ来てやったんだぞ、用はなんだ。 ん、何を見ている?」 「来たか。孫の見合い写真じゃ、待っておったぞ。 なかなか来ないから吟味しておったところじゃ、一緒に吟味してくれんか?」 「そんなもん知るか!」 いつも怒ってやるが反省しない狸じじいの相手は飽き飽きしてるのだ。 まだ、バカ弟子を叱っていたほうがマシだな、ああ見えて子供らしくシュンとした顔は可愛げがある。 「まぁ座ってお茶でも、ん?絡繰くんがいないが・・」 「買い物だ。 それと猫に餌やりと言っていた、帰りにクラスの奴らと行くみたいだな」 「ふむそうか。 まぁ別にいいじゃろ、授業は出とるかね。 言わなくてもわかるが顔くらいだしてやってくれ高畑くんが気にしとってな。ネギくんはよくやっているかとな」 こんな呪いが無かったらガキどもと一緒に授業など出るものか、半分はフけてる自分が言うのもなんだが。 魔法先生たちの手前、のびのびとすっぽかし続けるのはやめてるんだ。いいだろう? 「良くないんじゃが、それより弟子としては出来てきたかね」 「・・・成長はしてるんじゃないか?最初は逃げてたしな。 あと、孫の面倒も見てやってるんだ有難く思え」 「たくさん押し付けて悪いとは思うが」 「神楽坂明日菜がネギの保護者きどりで来てから、本当に大量に一般人だったクラスの奴らが 見習いとして続々とログハウスに侵入してるぞ。どうにかしろジジイ」 魔法をこんなに知られて一番まずいのはネギだが、次はこのじじいなのに少しは困れ。 いくら修行のためとはいえ立場上、責任監督者はこいつ以外にいない。 ククッ、虐めておこう。 「粒ぞろいの魔法生徒が増えるだけじゃ、一人ずつの報告書が来とらんし把握しておきたいんじゃ」 「おい・・・全員ウルスラにでも入れたらどうだ。 ここは学校が違うだろ、ネギ絡みには随分いれこむな何を企んでいる?」 椅子から立ち上がって窓の外をみるジジイ、答える気は無さそうだ。 「・・・さぁのぅ」 「報告はあとで茶々丸に届けさせる。 それで本題はなんなんだ。わたしがネギをどうにかしないか試すのはやめたのだろう」 血の代償で修行をみているだけだ、サウザンドマスターが生きているから、ナギの子どもだから みているわけじゃない。ぼーやの出入りは認めてる。 それ以外で、思いもしないところで起きたことで必要だから呼んだくせに回りくどいぞ。 聡い私の相手をするんだ隠し事はやめにしてもらおうか。 「実はのう、女の子をひとり近々クラスに京都の詠春からマホラに入れてくれと言われてな」 「関東のお前が学園長務めるマホラに珍しいな、ウルスラではなく?西からだと?」 「すこし変わっておっての。 気が合うと思うんじゃ、案内してくれと」 京の詠春といえば西の長をしているエヴァンジェリンも面識がある男で、不幸にもこのジジイの息子だ。 公式依頼か・・・気になるな。 西と東の関係に影響があるはずだが、私には関係ないが近衛木乃香と桜咲刹那と同年代ということは 知り合い同士だろうか? それをわたしに押し付けるのか。 お世辞も愛想もふりまかないぞ、私を案内役にするのか? そんなつまらんことを誰がやるか! この学園に住み着かされて以来、ピリピリする魔法使いたちと同居する羽目になった私がテリトリー守る猫みたいに見てまわったから詳しくはなっているがな。 新しい建物や店が出来たりすれば一度は行ってみたりして、楽しんだりしてるわけじゃなくてな。・・・・まぁ、茶々丸が完成してからは下見などは任せきりだぞ、私ほど麻帆良案内のエキスパートはいないからといってガキのお守りしてやるほどお人よしじゃない。 厄介モノ連れて歩くなどしないぞ。 「気があうかどうかは会えば分かる、が・・・案内はパスだ。 茶々丸にでも頼んでおけ」 「してやったほうがいいと思うがの。 これが詠春からの手紙じゃ、ホレ読んでみてはどうじゃ」 「フン・・・・・・なんだ相変わらずじゃないか、うん・・・で、そうか。 なにもネギのこと書かなくてすまん、だと私がまだここに居るのを分かってるらしい。 昔からだな。 HASEGAWA TISAMEこいつか。こいつは魔法使い・・・ではないのか」 『長谷川千雨』 生まれは不明、関西呪術師協会に籍をおき活動は表向きのみ。写真には巫女姿で笑う少女が 数人と一緒に撮ったものからだろう縮小コピーされて写っていた。 「クラスに来るのか、わたしには関係ない話だがあのクラスのことだ。 勝手に盛り上がるのだろ。それがわざわざ、なに!推定年齢一千歳とあるが笑えないジョークだぞ」 「大戦のころに戦力を欲した呪術師たちが遺跡で封印された彼女を見つけたそうじゃ、 施された結界を調査した結果は後見人となった京の守護しか知らぬと、わしも裏はとれておらん。 だが、身柄は内裏が争っているうちに上賀茂預かりなった、と聞いておる」 「生きていたわけじゃないのか、ただの人間か」 「それがわからんのじゃよ。 成長していないらしいがの、関東と関西の関係もあって今まで情報がこなかったからのー」 コラまて、この時期に厄介ごとを増やすのか。 千年も眠っていたというから封印もわたしみたいに無茶苦茶なものじゃないだろう、消去法でいくと時の権力者の娘か 高位の司祭である可能性が高いと思う。どちらにしろ、わたしは弟子たちに手がかかっていて引き受けるつもりはなかった。 爺が自分で面倒みればいい、爪伸ばし手紙はびりびりに破いてはっきりと拒否しておく。 手紙のかけらを拾い集めてパズルと化した手紙を並べる。 「まだ読み終わってないのに酷いのう」 「お前のとこの家系は変人揃いだ。読んでから渡せばいいだろう、見合い写真ばかり見て暇潰していると 変人になるぞ、心配したほうがいい。孫もあれだしな!」 「恋文ならいざ知らず、書類は見飽きてるんじゃもん。 木乃香は婿の貰い手には困らんぞ」 「読んで、分かって私に渡したのか? ・・・・・あぁそうだな興味は持てたよ、歓迎してやる。泣いて喜ぶぞ!あはは」 ネギが見たら恐怖で震える高笑いをあげて出て行くエヴァ。 タイトル「」 やってきた転校生を桜咲と近衛が驚いているのを見ると知らなかったようだ。じじいもイタヅラ好きだな・・・ 歓迎パーティが企画されたりとやはり騒がしいので早めに抜けることにした。 「マスター。彼女の案内を学園長から依頼されていますので」 「遅くなるなよ。 今日はうるさい弟子たちもパーティで来ないようだし、久しぶりにゆっくりできるからな」 そう言って送り出した茶々丸が手土産持って帰ってきた、ケーキだった。 パーティで五月が用意したものらしい。 それは良い。 楽しみだった。 それはいいが、余分な人間まで引き連れて来たのだ。 長谷川千雨。 本人である。 茶々丸を主人と思っているらしく、私を妹呼ばわりして無礼極まりない、こらっ! 頭をなでるな、本当に詠春の教育受けているのか? 「詠春め甘やかしすぎだろう」 神なんて馬鹿らしい。 力の一端も見えないし、殺気出してみたが鈍感にもほどがある。 一笑にふしておけば良かった。あのジジイに感づかれたのが今更むかついてきた。 「それにしても・・・」 ケーキもディナーも好みのものだったが、リビングでつくろいでる少女はいつまでいるつもりなんだ。 野良猫じゃないんだから寮に送ってこい。 気に入らないが我が家に茶々丸がネギや神楽坂など入れてしまうのでコレも仕方ないが、わたしは願わないし大体あつかましくケーキ食べて、わたしの人形たちを手にとるな。 「おい、茶々丸。 あいつはいつまでここにいるんだ、わたしのコレクションに触るのも許可してないぞ」 「ん〜?」 「マスター、聞いてないのですか」 「ちょっと待ってろ茶々丸。 この不心得者に」 「んー?何だよ遊んでほしいのか。 人形を取ってほしいなら私より背の高い茶々丸ネーチャンに頼めばいいじゃん。 ドレが欲しいんだ、自分でとりたいなら肩車だな。ちいさいし〜」 キノコの形、模した人形と睨めっこしていた千雨。 なでてエヴァの背伸びを微笑ましそうに相手する、ロリ吸血鬼は半分切れかけていた。 「生返事をするな、乱暴に人形の腕を引っ張るな。ちぎれるだろーが。 フン、寝ている間に仕返しされるぞ。 ん、そうだ。 イイことを思いついたぞ、私が歓迎としていい夢みせてやる長谷川千雨」 「あーはいはい、っと。 夢はおっきくみておけなー茶々丸さんみたいにおおきくなれー」 さっさと家から追い出すつもりなのに、長谷川千雨ときたら人形から手を離したと思ったら 担いできた荷物からノートパソコンを出して、ゴロ寝してネットはじめる程くつろいでいる。 憤怒の表情のエヴァを前にしてマイペース、木乃香とは比べられないほど図太いらしい 麻帆良の魔法関係者、誰もが恐れるであろうエヴァンゲェリンの視線を勘違いする。 「この人形が欲しかったのか、ほらよ」 「いらんわ、ちゃんと在った場所に置いてこい。こいつは・・・」 「ああそうだな。ん?乗るなって、言っても、お前は軽いからいーけどなー」 「おいっ、ここで荷物を拡げるな。投げるな」 「だめ。どーせ使うんだからな」 人形はしっかり元の場所に戻したが、またソファーで寝て千雨はバッグから色々取り出す。 その背中に座って邪魔をする。 雑然と散らかった荷物に手を出して、バッグに詰め込む。 自らこんなことをするのは性に合わないがくだらない与太話を詠春から聞いていたし、千雨の傍若無人さに呆れたのもある。 青筋が浮かばせて、とりあえず今夜の悪夢は人形に押しつぶされるやつで逝かしてやるぞと 悪い笑顔でエヴァは見下す。 「フン」 一宿一飯の恩も感じてなさそうな、明日の朝おきたらすぐにご飯食べさせず追い出してやる。 そう心に決めるエヴァだった。 実際には千雨は茶々丸には礼を言っていたし、エヴァが同級生とは知らないのだった。小さいし。 「しっかし、この人形屋敷いいよなー。 外国行ったこと無いから分かんねーけど。日本とは思えないな」 高慢な金髪ロリ子に使用人のように甲斐甲斐しく世話する同級生のロボっぽい子、千雨は感心している。 本棚の上でゼロがケケケケッと笑うも気がつかなかった。 茶々丸はテーブルを片付けてマスターにお茶を出して、ようやく話を伝えた。 「それで茶々丸、話とはなんだ?」 「学園長が彼女をここに泊めるようにとおっしゃっていました」 「はぁっ!? 呼んで確認しろ、あのひょうたん頭がボケようだからな!」 電話越しに近右衛門に噛み付くエヴァンジェリン。 ネギたちが来ても、夜には全員帰っていくエヴァのログハウスは従者姉妹とマスターのものだったのに。部外者を入れてたまるか。 「コラじじぃ。 わたしの家に住まわせろと言うのか?家主の許可を得ずに押し込むな!」 「いきなりなんじゃ、声がでかくてビックリしたじゃろ。 じゃが、寮の方はネギくんが居るしのぅ」 「空き部屋はいくつかあるはずだがな!孫の幼馴染なんだろう? 近衛木乃香は・・ネギと神楽坂アスナがいるが、桜咲となら一緒にしておけるじゃないか!」 そうだ。 興味があるとは言ったが、家に来る邪魔者増やしてくれとは言ってない。 私のところにまともな人間なら住もうとはしないだろうし、魔法関係者にこのことが 知られたら複雑な事態になるのは目に見えてる。 こいつに、よっぽどな能力が無い限り『闇の福音』と同居させる意図がないのだ。 「知ってるんだろう話せ。 あの手紙にはなかったが能力持ちなんだろ、こいつは」 「にわかには信じられん話じゃろ? わしも会ってみないことにはどうとも言えんし、エヴァがなにかしない限り大丈夫だと 考えておるが、既になにかしておるのかな長谷川くんは問題児とは聞いてないが」 「するか。・・・猫飼いならしているイイ性格の奴だよ。 それは今関係ない。 いやだぞ、エクソシストとかセイントだったら住居が荒れる。すぐ追い出すぞ」 人間に負けるとは思ってないし、詠春がそんなのをよこすとは思わない。 どうせ、また魔法使いの見習いが増えるのが面倒なだけだ。 魔法教室と化している場所で暮らすからすぐにばれるし、木乃香と刹那の仲間入りしたがるはず。 サウザンドマスターに封印されてからは彼の情報だけを気にしていた、学園から動けなかったので 外部世界とは完全にシャットアウト状態だった。 ただ、超と博士の協力で新たな従者を手に入れてからは多少マシになった。 木乃香と刹那の共通の友人が一般人とは思えない。それが普通だ しかし、どう調べても少し変なだけの少女だった。 茶々丸いわく同志でありライバルだと言う、ファッションセンスがどうとかネットのジャンク屋がいい。 猫エヴァたんの画像が・・・・コラ!何の情報交換してるんだ! 魔法を使っていない。 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇パターンC4444 ◆重要要素 ☆千雨を裏アスナとしていくお話。 (まず魔法キャンセルをアレンジ。魔法はつかえない方向でよし。) ☆住みかはエヴァのログハウスとハカセの部屋、すこしコスプレから放してネット少女に ☆超編は超側に。むしろ裏ボス希望、たぶん似合いまくりだw ちう「おーっほっほほーっ」 明日菜「なんであんた泣きながら高笑いあげてんのよ」 ちう「て、てめえらにゃ借りがいっぱいあるんだ。一人残らずひん剥いてやるっ! やっちゃえー」 明日菜「うわっ切れた!?」 ☆ひねくれた性格は重要要素。 このか  せつな 刹那 ちさめ 千雨 三人は幼馴染。 ちびちう。 産地よいとこ。 育ったところ主に関西。 最初は正真正銘の一般人と思われていたが詠春と一緒に出かけた先で神様一柱隠しちゃいました。 「信じられない。雷雲が晴れていく・・・妖たちも」 「ねー。大きいのやっぱり雲だったねー?」 無邪気な本人に自覚なし。 やがて成長すると行動範囲が広がって、歩く非常識として関西呪術協会を大混乱におとしいれた。 実の娘よりも活発で目を離すと何をしでかすかわからないのもあって、刹那にほのかを任せて 大戦の傷跡残る西日本各地を一緒に視察旅行することになる。 バイクで二人旅は行く先々で妖怪悪魔地獄などばかりでなく妖精、道祖神、聖域の 不思議を無効化。 無力化。おとなしくさせる。 鮮やかな長の手際に、ますます千雨が何者で、どうして陰謀との噂が流れてしまう。 「いったい何が狙いなのだ。というか、あの子はいったい何者なんだ」 「あのー関西呪術協会ってこちらですかー?ウチの神さま家出してしまいまして原因を 調べてくれませんかね」 「おうちにかえりますー。私の秘儀がこんな子どもに効かないなんてー」 天ヶ崎千草などは愚痴っていたが、厄介者の千雨を東に送ってしまうことを考え付く。 それにせっかく拾った神様。 長は戦争の惨禍の復興には役立てる気らしいが、知ったこっちゃない。 両親仇討ちに使う。 後は野となれ山となればええ、いい気味や。東も混乱せえや。 「ウチの札ようさん駄目にして、この子は使いもんにならん。長も東側に縁あるからよて 関西を粗末せんでもええやんか・・・でもいい気味や。 ええか千雨ちゃん。 麻帆良には幼馴染の二人が居るで。長に頼んで行ってき」 「行ったのか?」 「安心しはったん?そやなー、くっくくく。触らぬ神にたたりなしとはよう言うたもんや」 「くっ・・・・絶対許さない。ぼくに恥をかかせるなんて」 「お尻ぺんぺんされるとこ見れるとは思わなんだで、腕の立つ西洋魔術師て言うたけど まんま子供扱いやんか。 なんもかんも無効化しすぎやもん千雨ちゃん。ま、その調子で関東の西洋魔法使いも 壊滅させてや」 協力者であるガキの魔法使いが千雨を試そうとしたが、悪戯小僧と決め付けられて 子分扱いされた。 完敗だった。 強い弱いの次元じゃあらへん、洒落にならん。 気に入らんことに東びいきの長の狙いどおりに育ってることや・・・・関西呪術復興に 一役かってるのはえーけどな。 「でもほんま、ちうちゃんの書くお札は御利益ありすぎやで」 「お守りも欲しいって人がいてはるんや、いつもチクチク縫って誰にあげるん?長と幼馴染に?」 いつも失敗続きで嘘つき呼ばわりする呪術でも一般化している部分、その仕事は別領域。 例えば正月などの行事、例えばおみくじなどは手伝ったりしてる。 ・・・・・ちうのかいたものは特別になるけど。 幸運の舞い込み方が異常に高かったり、家内安全と書かれれば持ちつづける限り効力は続くのだ。 千草の言葉を素直に実行する物分かりの良い子。 擦れてない千雨ちゃんである。麻帆良に転入してきて、早速幼馴染の二人に挨拶。 「ち、ちさめーっ!?お前たしか西にいたんじゃないのか。 家出してきたんなら帰れ、私が一筆反省文書いてやるから、一刻もはやく長にあやまりに」 「どんな目で見てたんだ。え。こら。 またラクガキしてやろうかぁ?おでこに」 「どこ触ってるん、やめて」 「うーん。ラブリー」 不用意にぎゅむーと抱きつかれた刹那は千雨にされるがまま、ねこ可愛がり。 うーむ。 あいかわらずフレンドリーすぎる千雨、気に入った相手には遠慮なんてしてくれない。 「はなせ、見られてるだろう」 他の人間には無関心というところは付き合いやすいんだが、悪いんだか・・・・しかし、 魔法やら超科学などの裏を知っている刹那は久しぶりに会う幼馴染の噂に恐怖していた。 この歳になっても自覚無しの『神殺し』の名前は響き渡っていて、彼女を送り込んできたということは 遂に非情なる我らが長が東を壊滅させるのかと慄いていた。 お、お嬢様だけはわたしがお守りせねば! 思い起こせば過去、木乃香に強烈なつっこみしていた幼き頃の千雨。 そのイメージが強烈に残っていて、今改めて会い観察するとワイルドでお嬢さまを 毒牙かけそうな気がした。 男っぽいと言っては変だと思うが・・・心配だ。 この第六感は当たって欲しくないが、なんかかっこええなぁ・・・・・はっ! うそやウチが!?いくら女子高とは言えっ!? 「あは、あははは。あいかわらず刹那は固いなー。 んー?ところでこのかは一緒じゃないのか?」 「話せるところ行くまで口きかないぞ」 「ほー、ふんふん。分かった」 周りに人がいないところまで来たせいか、体の距離が近くなっていた。 刹那が引く、近づく千雨、引く・・・・。 諦めて話し始める。 自分は近衛ほのかとは距離をとっていること、理由があるが話せないこと。 それに・・・・・千雨が信じるとは思えないこと。 ひねくれた性格は周りが千雨を嘘つきよばわりしたから出来上がったもの、ここでは 千雨のまわりの呪術師が 一度も奇跡を見てあげられなかったので反面教師として実に大人っぽい性格になって しまっている。 「駄目だぞ喧嘩なんかして、どーせ頑固者の刹那が一人で怒ってるだけで 原因は知らないけど木乃香を困らせてるんだろ。私が仲直りさせてやる。ちうにお任せ!」 「別にいい・・・・私は」 「遠慮すんなよ。今なら馴染みの縁でタダでえーで?」 「違うんだ。 私とは違うんだ」 同じ年代はすべて子ども見えるし、騒がしくても大人の余裕を実践。 ただし、幼馴染の二人の前では地がでてしまう。というより、特別なのだ。 他人には面倒なので関わらない。 「」 魔法使いたち 「悠久の風」の「紅き翼」では詠春はあのメンバーの中では人格者で常識人だった。 戦後、それが理由で重鎮をやらされている原因だが本人はそれほど嫌でもないようで 四苦八苦しながら 関西呪術師教会をまとめていたはずだった。 組織内部でくすぶっていた火種に真剣に取り組んでいたのだが、衝撃は予想もしない ところから やってきた。預かった幼子が大騒動を起こすはめになるとは思わなかった。 「あの封印をといた、と言うのか?そんなはずはない。 腕の確かな使い手が十人もいないと無理だ」 「し、しかし長!竹林の様子があまりにも違います、幽鬼など一匹も見当たりません」 関東壊滅 神秘破壊魔、悪戯娘は『本物の悪魔』を『キグルミに中の人など居ない』と言って 手当たり次第に ファンシーワールドにしてしまう。 意外に可愛くデフォルメされてしまう悪魔たち、エヴァとその従者が籠に詰め込んでいた。 人形を狩りに来たわけではない・・・よな? 長谷川千雨の活躍が始まった。 ポストカード、封筒に写真が何枚か 日本各地を旅行している、羨ましい。 ジャポニズムを満喫している ガキが居たな?まさか 「わたしが気がつかないとでも思ったか、霊地だけでなく聖域にも寄っている。 これは詠春だからおかしくはないが子供を連れて行く場所じゃない、危険もあるはずだ。 もうろくしたな」 長谷川千雨。 だからこいつは一般人じゃない。 ログハウスかサーカスか。ザジはサーカスに。空き部屋はネギと先生たちの 『家庭訪問』部屋に。 長谷川千雨。 永久レジスト、キャンセルを無詠唱。それにより自分自身も他の魔法使えない。 その領域はすでに神、生きて神になるのは無意識があるため。 かみちゅーっwなわけで。 結局ログハウスに暮らすことになったが、魔法関係のものをガラクタに変えてしまう 千雨にエヴァがきれる。 直すのにも作るのにも時間は有り余っていたが居候されいなければいいのだ。 追い出すために色々観察していると千雨が周囲の異変にまったく関係なく生活している事に 気がついた。 「おい、そこは幻術で細工してあるから通れないはずだぞ。 貴様かべに突撃してるんだぞっ」 「んなことあるか。泣くな。このオカルトマニアめ、お子様の相手は大変だな 茶々丸も偶には息抜きしたらいいじゃないか」 ああ、マスターが不憫でなりません。 この人が来てから一度たりとして勝てないのですから、しかし幼児退行よりツンデレが よりお勧めです。 エヴァはついに千雨を利用できることがあると気がついた。 「おいっ、外出するぞ」 「いいけどよ。はしゃいでまた迷子になるなよ」 無理に決まってるだろ、学園の外に簡単に出られるのだぞ。 それを発見したのは千雨に無理矢理、学園都市を道案内させられてから気がついたという 間抜けっぷりだったが。 「ふふふ、今回こそは逃げきってやる。前回はログハウスに強制転送されたが、 何故か考えた末 あれは千雨が私が先に帰ったと解釈したからに違いない。神、と呼ばれるだけある」 桜通りの吸血鬼 「茶々丸、お子さまはもう寝かしつける時間だぞ。 はやくベッドにほうりこんで来い、甘やかしちゃ駄目だ。また吸血鬼ごっこ してまだ遊んでいたのか、エヴァ」 「違うぞっ、こら茶々丸も相手が千雨だからと律儀に挨拶するな。 今夜の私は一味違うぞ。犬歯だって立派に」 「またか・・・・その入れ歯で噛み付いてくるエヴァはいつも元気 よくていいけどさ、疲れて眠っちゃうだろ? わたしはイヤだぞ。また睡魔に負けたエヴァを背負って帰宅するのは」 「それは心配に及びません一緒に眠ってあげてくれて以来、マスターは成長されたのです。 ひとりで目覚まし時計のセットだってできるようになりました」 「・・・・そうか」 「呆れられてしまいました。マスター」 「こらっ!余計なことを言うな、あんな恥ずかしい経験は二度とだな。 二度、二度くらいなら・・・ その生暖かい視線をやめろちさめーっ!絶対血を吸わせてもらうぞ茶々丸いけっ!」 かわいらしいマスターを愛でる会、発足したばかりの公然秘密組織の会長・絡繰茶々丸は 長谷川千雨を 勧誘するため勝負を挑んだ。 「楽しい鑑賞会をひらきます、猫さんたちのメモリーも解放します。どうぞご加入ください。 すべてはマスターのため」 「・・・・それなんか違うだろ。最後だけとってつけた気がするし」 二人の攻防は互角。 「ところで成長すると思うか?」 「エヴァ、牛乳毎日飲めば伸びると思うぞ。白人は一気にレベルアップするからな」 吸血鬼の呪い、不老を神の言質で捻じ曲げる努力とかもしていた。 サウザンドマスターに相手してもらうためにスタイルいい女に成長するつもりらしい。 「いーもんだな。 なんか京都を思い出す、日本的な空間だから」 「貴様とようやく意見があったな。 京都か、行って見たいものだ。・・・・そうだ私と一緒に帰省とやらをしてくれないか? 頼む。千雨。」 「お前と?・・・・頼まれてやる、はじめて頭下げられたからじゃないぞ。 そこまで憧れを持たれると日本人として悪い気持ちなど持てないんだ、京都観光案内してやるよ」 「本当か!はははっ、好きだぞ千雨。優しいな。 そういう素直に恩を返すところは長所だぞ、男にはしない方がいい。 お前に男が出来ると私の自由が奪われるしな」 「な、なに言ってやがる。優しいっ、あ・・・もぅ、ん?最後なに言ったんだ男がなんだって?」 「気にするな。ほらできたようだぞ」 抱きついてくるエヴァを受け止める千雨、茶々丸が二人に和菓子をだして作法を説明しはじめた。 ししおどしと茶室、純和風に話しが花咲く3人だった。 あと、料理は手の込んだものを時々つくる。 それは郷土料理だったりお菓子だったり、詠春とバイクで二人旅した時に知ったところのもの。 「疑っていたのか?」 「あまり信じてない、と言うか四六時中遊ばれてる教師があいつ以外にはいないしな」 「それは駄目じゃないのか」 「」 やがて来るネギ。 エヴァに怯えていた時に、ログハウス組の千雨がこのかを訪ねてくるとパニックになる。 「な、なんで長谷川さんも来るんですかーっ僕はいないってエヴァさんに伝えてください」 「大丈夫だってネギ、長谷川は割と普通っぽいから安心しなよ」 「はあ?先生に用じゃないです。おい、神楽坂。このか呼んでくれるか?」 「はいはい。でも本当にエヴァンジェリンと関係ないの?」 「ルームメイトってやつだ。アイツいじめっこだからな頑張れ保護者、先生守ってやれよ」 いじめたって言われてもな。 あのチビッコはともかく、茶々丸は想像できん。 「ちうちゃん久しぶりやー」 「ちうちゃん言うな。わたしの用ってのはな刹那から聞いてないだろうから直接 伝言いいに来たんだ」 「あ・・・・うん。せっちゃんと話できてない、なぁちうちゃん。 わたし嫌われ」 「あほ。せっちゃんはナイーブやろ、ちゃんと付き合うならお友達からだ。 いいか?せっちゃんは小動物やから不意打ちに弱い」 「あうぅぅイタタぁ、手がはやくなってる。 なでなでしんといてー」 ちょっぷ、そして木乃香の頭撫で回してスキンシップする千雨。 つっこみとボケの二人を明日菜は微笑ましそうに見ていた。 長谷川千雨とはたいして親しくないが、木乃香は楽しそうだ。幼馴染ってのはいいものなんだな。 わたしといいんちょ はアレだけどさ。まぁ・・・友よ、友達。うん、それでいいじゃない。 「」 なんか、長谷川さんってアーニャって感じがするなあ。 色々教えてくれるし、