遠坂凛が望んだ最良のサーヴァント・セイバーの召喚は既にされていた。
しかし、その直後に瀕死の重傷を負って戦線離脱している。その事実を確認できる唯一の教会では、あの神父が
珍しく機嫌悪そうに聖杯の監視とサーヴァントの動向を評して怠けていると言っていた。

思い起こせば十年前・・・・誰にも心を許してはいけない殺し合いが行なわれた。味方なんて己が体とサーヴァ
ントのみ、決して今のような街にも人にも混乱がない。策略もない。こんなに堕落した聖杯戦争なんて考えられ
なかったものだ、まして全員揃った訳ではないとはいえ、『あの』セイバーが召喚されたのに静かなものだ。

言峰綺礼には確信があった。

前回と同じ役者であると、あの時のセイバーはエサを与えられずバーサーカーでもないのに、暴走してマスター
である衛宮切嗣が勝利を背後からこっそりもぎとっていた。
それを見ていた師匠殺しの在りし日の青年。
同属であると気がつき、遊び仲間になる。最後は互いに確信していた。こいつを殺せば聖杯が。
金。
酒。
女。
・・・そして聖杯。
懐かしい悪事の数々、あのヘタれた浅ましい笑顔、本当に軽蔑できるいい人間を亡くした。
おもわず神父であることを神に感謝したものだ。せいぎのみかたと言うあの偽善の前には自分は少しも汚れてな
どいない。そんな、理解をさせてくれたうす汚いキリツグはもう居ない。
居残った相棒は金ヅルとはなったが、親友にはならなかったので寂しい日々だったし、弟子にせびり小間使った
がめつい師匠の娘もやっぱり血統だろうか。自己中心的な性格とジャイアニズムに手を焼かせてくれた。
そのムカつく態度ゆえにシオンの存在を教えていない。まぁ同じ学校に通っているし・・・すぐに、気がつかな
かった。・・・さすが師匠の娘、実力はあるのに穏やかな日常生活での不意打ちに弱い。
戦場では正々堂々として戦えない奴らとは相性が悪そうだ。
その点、衛宮キリツグの娘のあり方、育ち方は面白かった。
魔術に関しては本人の自覚がまるで無いのも魔術に傾倒する凛とは正反対で興に乗った。

「うむできあがりだ。あとは犬にエサを用意しなくては・・・なにがいいか地下の十年ものの干物か。
・・・それにしても改心の出来だ」

「今日は何だ、もうマーボーは食い飽きたぞ言峰。・・・と、またか?」

「何を、どこへ行く?イヌの餌やりなら私が」

街を偵察させられていた青い影が教会に入ると主の姿はなかったので、どうしたものかと思っているとすぐに
異変に気がついた。戦場で鍛えたられた第六感が反応する方向に向かうと異臭がしてきた、ますます酷くなる
空気の先には地獄の池。目が痛くなり息を止める。これは何なんだ!?あいつは毒を食らってやがるのか!?
まだ暖かい。
すぐに戻って来るだろう、重要なのは・・・三つ皿が出されていたこと。
捨てた。

「おう行ってきたぜ収穫は無しだがな」

「帰ってきていたか、一人であれを食したとは素晴らしい。褒美を・・・なに?捨てた?」

いきなり無表情になった外道マスター。
人間とは思えない力で引っ張られて地下室に閉じ込められた、寝床だという隣りの部屋の怨念を聞きながらライ
ンを通じて聖杯戦争の状況説明がなされ、貴様はそこで反省していろ出てくるなと令呪での脅しさえも貰う。

「・・・な、なんだそりゃ!?おいっ」

『セイバーは聖杯に汲み取られていない。しかし戦線離脱している、その観測データは誰にも知らせるな。
冬木の魔術師にも伝えるな、特にオーナーでありマスターになる予定だがしかし』

「関係なくない!早くここから出せ、あいつが調査なんて出来る訳ねぇだろ」

犬の遠吠えと言っていたギルガメッシュは気に障ったのか、独自に調査を開始した。
言峰綺礼は戦争の監視を続行して、逐一ネガティブ情報のみを伝えてはランサーをへこませて楽しんていたが
前回のセイバーのようになればいいと思い直して、途中から精神的に追い詰めたり魔力ラインを削ったりして
戦闘状態のまま放置して欲求に対して飢餓状態になるのを促す。

一方調査している金髪のにーちゃん、我様王は冬木の一部しか行ってなかった。十年もいてすっかり確立して
いる生活圏は夜のバーやら高級ファッションとパーティに使われる一流ホテルと本当に街の一部。
この世すべての富を持ちえた頃に比べると他愛も無い遊びで暇を潰して来てた、十年も避けてる某中華店はや
っぱり行っていないまま。
こんな調査では勿論、探しているサーヴァントやマスターとは間一髪のすれちがいも起きたりしない。その中
で会う機会がありそうな衛宮シオンとは遊び仲間だったりするから、もうそれは探すとか正体を暴くなんて言
葉がモノの見事に空振っている。

そもそも、呼びだしたマスターがあの衛宮シオンなのだから魔術師の常識を求めてはいけなかった。
セイバーの不慮の死にかけも九死に一生を得たのも衛宮シオンの仕業であるのだし。

その犯行時間は一昨日の未明、場所は何処かの組の刺客に乱入された終末の宴会場。
死因は至近距離からの一撃。
勘違いしたマスターからの令呪使用の一撃は『死ね』という一言と一緒に、強大な魔力は補給にもなった。
悪運と幸運がせめぎ合った結果。
セイバーは辛うじて現世にとどまり休眠状態へと移行する。そんな衝撃的な展開をみせていた。

はじまりの原因は見つけてしまったこと。
場所は歓楽街の一角。
たまたま衛宮シオンが寄ったしみったれた居酒屋、生前に養父・衛宮キリツグが行き着けだったことを思い出し
珍しく安酒を飲もうと入った事。
壁に飾られた価値ありそうな董品が一品に目が行く。『えみやきりつぐ』とサイン入りの溜まってたツケ代わり
の質草らしい。・・・もしかしたら、オヤジがちょろまかした雷河所蔵の骨董品かもしれない。
シオンが色気とドスきいた声でおねだりして頂いてきて、所持したまま宴会へ。

「問おう、・・ここは?」

「チッ!新手?死ね」

よりにもよって召喚は組み同士の抗争中、臨戦態勢のシオンが狙われてた最中に行ってしまった結果。
間違えて殺ってしまいました、えへ。

「ぐっ・・・ぅ、はっあ、がは」

「この子・・・・・間違いっぽいわね、虫の息じゃん。これはもう死んじゃったわ」

何とか敵を皆殺しにして検分していくと、一人だけ見に憶えないのがいた。気まずい。

「慌しい、なに?お上が来るの?チッ、ズラがるわよ」

それとともに警察に連絡がいってしまったらしい。
致命傷を与えた彼女が悠長にメイク直しするはずない、けど鎧は消えていた。
そんな不思議現象には慣れっこのシオンだったが、良いドレス着ているのを確認すると
敵の鉄砲玉ではないと理解した。

「場違いだけど綺麗な洋服とブロンドだわ、マズ・・・。
うぁ、もしかしたら外から来てる名士んトコの娘だったりするとヤバイなぁ・・・運んで逃げないと」

手にある凶器にはシオンの指紋べったり、突然現れた不審人物だったとはいえ間違えて殺しちゃった。
・・・せめて証拠隠滅しないと。
死体ひとつ適当に用意して身を隠すなりして、替え玉用意しても消されちゃうなあ。
では、済まない。

とにかく、ビルからビルへ跳んで隠れ家のひとつに身を潜めた。
一夜明けると死んでると思ってたセイバーさんが暴走して、ライン無理矢理繋げてくれましたが
他人に、しかも女の子にされるのが意外と良かったのはシオンだけの秘密です。

そのあとは、死にかけ混乱しているのか恥かしいその記憶がばっさり抜けてる金髪の美少女が残されました。
もちろん外道のシオンが美味しい素材を目の前にして料理しないはずがなかった。

「うーん。美人さんだよねぇ〜私が囲ってみたいけど
お得意さんにご披露して売ったりするのは、そこまでいかなくてもいいか。一名確保」

「ダンサー?私に何をさせるつもりなのです?」

セイバーさんに衣装着せてみたりして、踊り子さんとかバニーさんとかに着替えさせてご満悦。
賭博客にエサとしてセイバーをぶら下げてシオンがイカサマするのもいいだろう。
大金巻き上げても、美貌で媚び売りコロリと追い返すのに使えそうだし。

血まみれの服は修復に時間がかかるとか分からないこと言うので、先週のサクラ・・・って誰か知らないけど。
いや本当に誰なんだろ?この頃新しい女の子捕まえたりしてないぞ?また変な娘を拾った程度の認識を持つ。

「いいですか、マスター」

「うん。マスターと呼ぶのはいいけど食い扶持ぐらい稼いでおいで
いくら親父の知り合いだからってね、何人分も食って寝床も用意しろってのは横暴イコール虎以下だからね」

「ですから、聖杯を目指して」

「はいはい。それじゃまず最初に今月の店のMVPを目指してくれるかな?売りはイヤだってんだから。
それに私に襲い掛からないこと。いいわね。
ラインがどうとかはイーから、金ヅル捕まえて自分の性癖満足できるくらい女買えば?」

「違いますっ何度説明したら分かるのですか?
下賎な話は戦場では致し方なしでしょうが、あなたは仮にも女の子だ。
あのキリツグの娘とはいえ」

「・・・・・ハァー説教なんてね。年食った奴のたしなみ。
身につけなくてもいいから、キリツグに買われて飼われたのは同情してやってもいいけど。
復讐にきたなら私、赤の他人だからね?あんだすたん?」

「あのグータラなど関係ありません。
ケチでカネに汚いうえに、セクハラして男としてサイテーなのは承知してます。
あなたが女で本当に良かった。そもそもですね、あのホラ吹きは口だけ立派なことを言い・・
女を簡単に・・だから私は単独で・・その間、あのグズは・・汚らしい・・わかるでしょう?」

愚痴と嘆き。
そして、シオンを何故か視姦してくれる。
わかるでしょう?と肩に手を置いてベタベタしてくるのは女同士だからではない、また身の危険を感じてセイバ
ーを投げ飛ばして壁にぶつけてチャカ手にとる。殺る気だ。

「コラてめぇ調子に乗るな!ちっ、男みたいな女だな。
埒あらない・・・・・・・セイバーさ、力自慢なら用心棒してみる?
なんかトーサカさんとかストーカーとか桜餅たゆんタンがねー、そのなんだっけ?聖杯」

「なんと言いました?始まっているのですか?
情報を集めなければ・・・・あの、シオン?」

「あー・・・・ごめん何か混線してるわ、電波とか。
とにかく仲間が見つかって嬉しいのはわかるのよ?
私も鬼じゃない、でもそれは今夜の食費稼いでからね?ね?」

「・・・・・・はいわかりましたマスター、やはりあなたは鬼だ」

絶対にわかってない!だからわかってなどやるものか!
あとで寝込み襲って犯りましょう、前回のマスターと違って女性であることが弱点になることを既婚者でもある
私の経験から理解させて上げます。その前に腹ごしらえは必要ですね・・・ふふふ。

床に座り込んでるセイバーからだだ漏れてくる怪しい空気に、顔をしかめて緊張するも軽口叩いて準備を促す。
着替えを一緒にする気持ちにはなれない。セイバーを退室させる。

「最高の褒め言葉をありがとう♪さぁ黒いスーツに着替えて、政財界のパーティー会場警備行くよ。
私は挨拶まわりしてるからちゃんとしてたら、ホテルに話しつけて最高級の料理沢山あげるから」

「なんと、それは素晴らしい・・・ハッ、わたし、自分に絶望しました。
食い気に負けるとは・・・」

「何落ち込んでるの行くのよ」

ズルズルと引っ張られて行くセイバーさん。
今はメイド喫茶で働かされてます。そこエンジ○ルモー○とかいいませんよ?

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昨日は本当にとんでもない奴と顔を合わせてしまった。
遠坂凛は勝ち残る自身はあるが、あのバーサーカー、そしてやって来たメイド・・・・セイバーだろうか。
セイバーだろうな、セイバーだったらいいな・・・ふふ。

「おいマスター、なにを一人で笑っている?」

「なっ、なにっ!?回復したなら言いなさいよ。
馬鹿みたいじゃないの、今日は様子見て敵との接触避けてあげたのに」

「あれは不覚をとった私が謝っておく、もういいすぐに行動に移ってくれ」

メイドセイバーに見惚れてやがったことを深くは追求できない。
だがこうして先手とばかり形ばかり謝罪をされるとムカッとくる、わたしだって見とれていましたけどね。

「衛宮に問い詰めていくわ」

「ああ、タイミング良すぎだろう。バーサーカーと会ってすぐにセイバーが来るなど」

彼女の家には魔術的な結界はなかった。
替わりに警備はいるかもしれない、私をなにか狂人の類と勘違いしている衛宮シオン自身が危険な人物。

着いてみると、夜は分からなかった趣ある立派な日本庭園付きの和風の家屋の全貌が把握できた。
おもわず価値試算してしまうのは、羽振りのいいと聞く藤村組の懐具合が気になったからであって、決して
僻みではない。それにしても呼び出し押しても反応が無い。
アーチャーは人がいるというので、無断で上がらせてもらい廊下を歩いてると、聞き覚えあるような
女性の甘い声が聞こえた。

「昼間から女連れ込んでる。あいつ!」

「・・・・・・・サクラぁ〜あんたの乳が劣情をもよおさせるのさ…

「な、なんですってぇっ!?衛宮!」

バーンッと襖破って登場。
いーかげんな輪郭、頭身、ラクガキの・・・遠坂凛が登場して慌てたのはシオンじゃなかった。

「ふぅ〜・・・んんん、あ?ね、ねぇさぁ・・・・ん?ん、んー!?
遠坂センパイ!?ですよね?」

「おぅ。・・・・っと、間桐さん早く私の後ろへ」

「はいっ」

口に挟んでたストロー後ろ手に隠して、素早く顔をなおす凛。
仁王立ちでシオンを睨み、桜が背中に回るとは反対方向から自然に魔法のストローを正面に、ピンッと
シオンに投げつける凛。
えげつない。
体裁整えてる乱入者をシオンは暇そうにひと目見て、飛んで来たストローに手元のジッポで遊んでいた。
こちらも度胸と慣れが感じられる、売られる喧嘩は買い叩く性根だからだ。

「これ何処のやつ、流れ?密造?ふーっウマ、それっでー?
呼んでないけど客として扱われたかったら、わたしのお楽しみ邪魔しないでくれる?」

「昨夜の話のつづき、昼間からやりあうつもりなかったわ。宣戦布告しにきただけよ。
ぎったんぎったんのボロボロにしてやるわよ」

狼みたいに牙むいて言う凛。

「おお怖い、私と今夜やりたいんでしょ。予約入れておいたげる、宝石は積み増してくれるわよね?
・・・・サクラともやりたいの?
けど凛サマの女王様プレイって凄くない?アレには私にも耐えられないかもー・・・くっくっ」

「ちがうっ!ちがうわよ、本気にしないで桜!ああっ!?」

「う、うわーーーーっ・・・ぁーーん!!」

あわてて振り向くと、裏切られたと勘違いして泣きだす桜。
アッというまに脱兎して行って、後姿にあげた手をさ迷わせる。
その手を握り、溜め込んだ冷たい怒りをシオンにぶつけた。

「あなた、最低よ。
もうあの子に手を出さないでくれる」

クックックッ
口元おさえて笑う。
いやらしい目で凛を見ていたが、きっと頭の中では桜と一緒に奴隷扱いされてるに違いない。

「へえ好きなんだあー?」

「わたし侮辱されるの嫌いなのよ。
わかってると思うけど、ここに来たのは都合良く別れた後、謀られたって結論に達したから
登校しなかったのもある。昼間からは人の目があるけどね」

「ああ、またその話?確かに人の目があるとやりづらいって言うのはわかるけどさ、三枝さんとか
狙ったのが気に障ったんだ?」

話が完全にすれちがってた。
凛は昨夜の橋の一件とマスターではないと偽ったシオンを。
シオンは桜で昼間から楽しんでいた事と凛に憧れてるクラスメイトがいること。

乱れてた服直していたシオン、不意にあらわになった肌に赤いあと、そして抽象的な柄の印。

「おっと。
やだなぁ桜、あとは残さないでって言ったのに積極的にキスしてきたから思わず食べちゃっ」

キスってソレ、たぶん虫が侵入を試みたんだと思いますよ?
でも失敗した様子、凛が来るまで虚脱状態で餅つきされてたし。

「あ、あんた!やっぱり令呪、隠してたのね」

「ああ、これ?
商売柄イレズミってポイント高いし必要だからねー、まさか藤村だからって虎じゃ間抜けだし
タトゥー海外で入れてもらったんだわ。いまどきのは便利だよねえ、ゴシゴシって消せるし」

いやあんたそれ刻印にも見えるし令呪混ざってんじゃないんか?
イタっ!?
ゴシゴシじゃなくて爪でザクザク、うげー。
本当に消してるし、なんか魔力だだ漏れてるけど痛くないんですか?気絶とかするでしょ?ねぇ?
自分の宝石に献血する注射病を棚に上げてシオンの腕を見ていた凛。

「あの、なんともないんだ・・・・?」

「痛そうに見えた?」

はい、肉とか骨とか血とか出てたじゃありませんか。ねぇ?

「私ね頑丈なんだわ。刺されてもすぐ治っちゃうし、子どもの頃から」

そりゃここまで魔力抵抗あるんなら基礎魔力は底なし沼なんでしょうよ、くそホルモン漬けか捕獲拘束して
魔力銀行とか金貸し業営んでみたい。すごく儲かりそう。
衛宮シオン、こいつってば夜の街を徘徊してるから内部に溜まりまくってやがるだろうな。
利子だけで砂金の価値並みじゃん、シオン本人しか使えないってのは・・・・・神も金も私が嫌いなんですか?

「あ〜、もういいです」

自分の使う宝石魔術に金額換算するのは15桁でやめた、懐とか心とか健康に悪いことこの上ない額になって
頭痛がする。こんなにも魔力を無駄遣いして、ムダに使うなんて・・・いくらになるのか考えたくない。
魔術をなんだと思ってんの!?タダじゃないのよ!?

立派な刻印がアホみたいに簡単に剥がされて消される様は悲しかったのだろう。涙が。
妹が居なくなった時も出なかった涙が・・・食い扶持が減るなぁとか思っても嬉し涙が出なかったのに。

・・・閑話休憩。

走り去っていった間桐桜、乱れた服なおしていた時ちょっと嫉妬したのが原因ではないのだ。
あの肉ウメラシィなんて思ってない!

「で、それで、どうして間桐さんがここにいたの?」

「責任とってねって諭してやったのさ。あのサクラちゃんの兄貴が迷惑かけたから
ああして身の周りのことさせてやってるわけ・・・なにか問題がある?」

「本当なの?脅してるんじゃないの?」

「疑うんなら確認したらいーよ。
美綴って部長だっけかな、それにも言ってあるしさ」

確かに顧問の藤村の実家とつながり有ることは知られていたが、良い子の桜が出入りするような家じゃない。
なにより危険な女だとシオンをみて渋ってた綾子。
善からぬ噂を知っていたし、あの慎二が原因でとは言え・・・桜からのお願いとは納得いかないが間桐家なら
もしかしたら・・・。

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前回聖杯戦争の勝利者、衛宮切嗣の動向気にしていた祖父。
偽ものの聖杯と関わりありそうな魔力がシオンにはあるようだし、本人だけがその実力で横暴している。
この状況は静観できないが、直系の慎二が使えず彼女が起こす台風の暴風の前には間桐臓硯の魔力はそよ風に
おなじ事。ならば、観測だけでもしておかなけば絶好の機会を逃すはめにもなりかねない。
遠坂も契約を守っているようだし、使える駒は使いきり捨て去る。