ブラックコメディ系攻め黒祐巳さまと二条乃梨子の対決。ちょっエロス






{野ばら・魔王}ケース01















「あれ?まだ志摩子さん来てないんだ。
せっかく生徒会室に一番に来て紅茶の用意しようと思ったのに、無駄足だったか」



急いで来たのに。
でも用意はしておこう、足音が聞こえる。誰か来たみたい。



「あーあ、黄色い声がようやく聞こえなくなった。ここは静かでいいね。
やっぱり新聞部は厄介かも真美さんは固いからなぁ・・・あれ?
なんだ乃梨子ちゃんか。ずいぶん早いね?」



「あなたですか」



「ごきげんよう、挨拶ぐらいしてくれたっていいのに。
邪険に扱っていい相手じゃないでしょ?」



そう来ますか、この腹黒狸。
リリアンでぬくぬく暖まって陰謀企んできたんだから、ここいらで世間の荒波を教えてあげないと。
よし、素っ気なく冷たくしてやる。



「志摩子さんなら心労で早退、花壇の世話してあげてだってさ」



「くっ・・・先手を、また何かしやがったんですね。
本当に大丈夫かな山百合会。
来年、あなたのせいで活動停止にされないか心配です」



「紅薔薇さまになるんだからしっかりするよ。
心配しないでも私情を持ち込まないよ、祥子さまの後継ぐんだから紅薔薇の名に恥じないように」



二股どころか何人と噂あるんだか・・・親友の見た目だけは美少女の島津由乃に
抱きついて胸揉んでたエロ薔薇さまの間違いじゃ・・・?
勝手気まますぎるのも、どうかと思いますよ。妹できるのかな?



「私がしたいから?それは違うよ白薔薇さまにされてたことお返ししてるだけ
いっぱいお世話になっていたから」


声に出てたか、あの馬鹿女にも困ったものだけど、黒狸め佐藤聖のセクハラわざと受けてたな。
きっとそうだ。
わたしだって志摩子さんに、違うっ、この福沢祐巳に思い知らせてやることできたらいいだけで。



「志摩子さんの復讐?先輩に酷い言い方するよね、今のはグサッときたよ。
でも決めつけは良くないよ、もしかしたら私だけのけ者にして由乃さんと親睦深めてるんじゃないかな」



がちゃ



「あら居たの?二年生は何かあったらしくて早退と聞いたのだけど」



「お姉様ごきげんよう。でも山百合会に一人でも出ないと、二人に頼まれていますし
乃梨子ちゃんだけだと大変ですよ。
三薔薇ファミリーひとりずついるとは言え、つぼみの妹一人に薔薇さま二人だと」



「そうかしら、でもそれなら由乃ちゃんがいた方が話が早いのに。うるさいけど」



うわ今日はとくに酷い扱いですよ。令さま。
邪魔者あつかい以下、廊下の足音止まりましたが聞こえていましたか・・・。
それにしても百面相の切り替えは絶好調ですね、黒い祐巳さま。
黒狸から天然装った黒さに代わると思わず、敬称つけたくなってしまうほどだ。



「そんなことありません。
私が由乃さんにOK取らせますから、いちいち直接聞かなくてもいいです」



あぁ…またあっさり切り捨てた。
由乃さんはあなたの無意識の隷属化ですか・・・恐い人だ。














そんな祐巳さまは好きですか?

何故か大好きです。
























ごめんなさい。
私のお姉さま、純白の白薔薇さま。
藤堂志摩子さんの宿敵ですよね、この黒い悪魔って。
黄薔薇のつぼみの親友でもありますよね、この悪魔こと紅薔薇のつぼみ。

福沢祐巳の本当の正体に気がついているのは多分わたしだけだろう。
知ったときの衝撃は凄かった、心乱されてじぃっと見つめることが多くなってしまって
相手にも訝しがられ気がつかれてしまった。

今は悪口の応酬とは言わないけど皮肉ばかり言い合う悪友みたいな関係だ。
わたしだけが一方的に、ただこの人の強い黒さに惚れてしまってること。
志摩子さんには言えないよ。
マリアさまみたいな心に負担をかけてごめんなさい、乃梨子はこの人とは戦えません。



「はい。お姉さま何でしょうか」



「いい?ここは令に任せておけばいいけど、志摩子や由乃ちゃんには伝えておいて」



「あの祐巳さま、お茶が入りましたけど」



「ありがと乃梨子ちゃん。
私甘いのが好きなの、祐麒も好きなはずなのに男の子だからかな
大人の真似して我慢してるのよ。もう可愛いんだから」



「それは・・・そうかもしれませんが・・・あの」



そう言って私の分にも砂糖を入れる。
親切?
違う。
志摩子さんに習ったおいしい紅茶の入れ方、それなのにトポトポ砂糖入れてく、その冒涜は何回目か。
最初は内心怒っていたけど、紅薔薇さまが甘いものが好きなのよ。ほんとうに子どもなんだから
と言うから一度は納得したんだ。この超お嬢様が世間知らずの妹馬鹿とも知らずに。



「また嫌がらせですか?」



「そんなまさか、仲間でしょ?おすすめだよ」



本気で激甘が好きで好きで仕方が無い、だから知ってほしい。強要してまで。
ちょっと困った先輩だな。
でも可愛いし、それなら仕方ないなぁ・・・そう思ってた。

この悪魔の正体を知ってからは、ここで切れては相手の思う壺だと考えるようになってる。
志摩子さんの教育不足と言われてはかなわないし、ここで本性を暴露してやっても
言い負かそうとすると涙簡単に流して本気で泣くこと出来るんだ。きっと。
それに信じるに足る証拠などありはしない。
私はただの人間なのに悪魔になんて勝てやしないよ。
ごめん。
頼りない妹でごめん。
藤堂志摩子さんはあんなにもいい人なのに、だから福沢祐巳に笑顔でコロリと騙されているのに。



「これは、直接言ってこないとダメね。
祐巳でてくるわ、令と少し外すから冷めると不味いから下げておいて」



「わかりました。行って来て下さい・・・行ったね、残りものどうしようか?」



「捨てますよ・・・なんですか、その笑いは」



「ううん馴染んでるねって思うだけ、飲んでみようかなーって言ったことあってね。
・・・なんだか容子を思い出すわ」



「また、ですか。
いいかげん刺されますよ、っーか志摩子さんのかわりに刺します」



また切り替わった。
要注意、ここまで本音で言うのは安全を確保した後でしかありえない。
身の危険をひしひしと感じつつ様子を窺う。

今度は何になってる?
黒狸と黒祐巳さまならいい、でも話の通じない魔王さまとか子悪魔だと犯される。



「警戒したり吼えてみたり可愛いなあ」



ああ、そういえば前薔薇さんたちは知ってたらしい。
この黒い子に悩んだんだろうか、尻尾掴ませないから卒業でどんなこと思っていたのだろう?
この悪魔から逃げれる?とか。
更生させれず悔しい?だろうかな、容子さまって人は多分そうだ。他のは知らない。
えろおやじなんて知らない。



「白薔薇さまあたりはどうでした?」



「引いてた。意外に純情だったよ」



「そうですか。
悪魔の手にかかった人だっんたんだ、だから性格壊れたのかも」



「それ希望的観測だよ乃梨子ちゃん、最初っからあんなんだったよ。
それに言うに事欠いて紅薔薇のつぼみを悪魔とは乃梨子ちゃんも言うよね?
これでも一番馴染みやすいって言われたし、これで山百合会もお終いねとか・・・あぁそれはオフレコで
誰にも話しちゃだめだよ。・・・もちろん志摩子さんとかにも」



くすりと笑う様は別人だ。冷たそうだし、悪いこと企んでいそう。
前白薔薇さまと前黄薔薇さま、絶望をありがとう。
こんな悪がのさばるリリアン女学院にしてくださりまして、志摩子さん共々乃梨子は呪詛を
プレゼントします。

それにしても聖書読んでも苦しみそうに見えないな、この悪魔。
リクエストしたら指揮とって賛美歌も歌ってくれそう。



「変な趣味持ってる乃梨子ちゃんなら分かると思うの、それに偶にはさ。
甘ったるい紅茶飲んでみるのも面白いよ、クールな顔が歪むと思うとね。主に私が」



「それではこれは処理させていただきます」



砂糖入れすぎでカップ一杯までになったソレを流し台に持っていく。

がちゃん



「!?な、なにを祐巳さまっ」



「実はね。あの書類細工ずみでさ、もうしばらく二人きりなのよ。
だからね足りないの、志摩子さんとか由乃さんとか抑えててくれたけど・・・」



「う、うそです。
なんで私に、はなして、はなせっ」



「似てるから。容子もそうだったから、きっと待ってたでしょ。
志摩子さんには内緒にしてあげる。
騙したりなんてしないし、ただちょっと特別な関係になるだけだから怖くないわよ」



何だか様子がおかしい、あの紅茶に入れた角砂糖。
薬とかだったりしないのか?
わたしに飲まそうとしたのを自分で飲んでんじゃないのか!?

この色っぽさは危険だ。



「やめろって」



「いいなぁ、この抵抗チクチクって外組は棘があって抜くのが楽しいのよ」



「ほんとにさっきの、嘘じゃ」



「どっちが?細工のこと。
・・・・・好きだよ。・・・乃梨子が好き。本気だよ」



言われた。
や、やばい…なんでトクットクッって心臓鳴るんだ。
これはきっと病気、たちの悪い、福沢祐巳というウィルスが私にも感染したんだ。



なら仕方ないや。



うん、そゆことで志摩子さん多分そっちには帰れない。もしかしたら既に山百合会は
毒されてるじゃないかって思う、でも志摩子さんが白かったから信じたくないけど
残り一人が私だったりするかもしれないんだよねー。
私のいなかった時間が一年もあるわけだし、この人が見逃してるとは思えないわけで。



「いいのかな?」



「良くない」



でも抵抗できないってのは、いいってことで・・・。
前薔薇さんたち呼び捨ててるし、自分の姉には優しい嘘ついてるだろうけど、他の人間には
最初は優しくするのかな?
いえ優しくしててください。
きっと私も救われるから、アーメン。で良かったっけ?

もしも・・・感染拡がるのを止められなかったら、瞳子も連れ込んでやろう。可南子さんもそのうちに。
リリアンがこの悪魔のモノになっちゃうかもしれない。マリアさまだってモノにしちゃうかもしれない。
それは志摩子さんには申し訳ないけど・・・私って仏マニアだし冷たくてごめん。関係ないか。



「あ。んん、」



「ま。ぐ、」









ぉわる