彼の心は石っころ
「ねぇ、僕を見てよ。僕にかまってよ、僕の持ち得る全てをあげるから、だから僕を見捨てないで!」
「あっそう、じゃ私の目の前から消えて!失せなさい、吐き気がするの!近寄らないで!」
「私は私、あなたじゃないし。あなたを分かろうとも思わない。だって、不愉快なの。・・・あなたがいるだけで」
「ねぇ、私イイ子だよね?そうよね?じゃ、悪いのはアンタ。だってそうとしか考えれないものね、そーいうわけで出ていって」
「思いを伝えるのは素敵、思いこむのもただそれだけで素敵、でも壊しちゃうのは醜いのよ?あなた」
「そうなのだ、そんなはずはない・・そんなはずは・・・・私が」
心はガラス、醜い形のガラス光がその物を照らさなければただの不要物。
壊れた心は悲しく痛いものだけどそれを血を持って修復しようとすることに意味がある。
心は軽く、価値がないけどある意味、気持ち悪い。
壊れた心は素敵、だってそれだけの存在だもの。
それ以上醜くならなくて観賞用には最適、だから殺風景な私の部屋には壊れた心を入れるためのビーカーがひとつあるの。
私は失踪する、疾走するこの果てのない暗闇をどこまでも一条の光が私を照らすまで。
いつまでも走りつづける。だけど、そこは、私が気づかないだけでいつまでも同じ場所で。
思いと我侭の棘
私のものだ!誰にも渡さない、このまま手足を引き千切ってでもここに繋ぎ止めておこう。
何を言っている?このまま、首に鎖をつけてでも私の邪魔になるものを殺してもらう。ユイのために。
私のものよ、あなたは黙っていて私のものなの。貴方は相手が誰でもいいんでしょ?
嫌い、その思いは我侭なものよ?子供よりも酷いものね。私は嫌いよ、そんな思いなんて。
「私の物になって、人形じゃなくてもいいわ。心があってもなくてもいいの、手に入れば」
紅い目でどこまでも求めつづけてあげる、貴方が死んでもね。嬉しいでしょ?その指もその皮膚も流れ出る鮮血も。
奪う?違うの、殺してでも裏切ってでも相手の意思なんか関係ないわ。私は私、あなたじゃないもの。そうでしょ?
その言葉は間違ってはいない・・・けど、嫌いよそんなの。フェアじゃないと。通じ合えないと。意味ないじゃない。
・・・・・・・・、くすっ。クスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスッ・・・・・・
!
出てくるわね赤い涙が、私は流せない物。うらやましいわ・・・ウフフッ。
ぐ、あんた・・・くぅ・・うぅ・・・うぅ・・ん・ぐ・・・・・・・
あら、・・・儚い物ね。冷たくなって行くわ・・そう、死んじゃったのね?ウフフ
失速する幻想
ユイの思いをとげさせることが、私をユイの傍につれて行ってくれることだろう。
怖かったのだ、全てが、だから・・・何にも目を向けないでいた。
「ヒトの意思?それは私の頭の中にだけあるの、他人なんて偽善と偽悪の生物に過ぎないわよ」
私は・・・ユイにどう写っているのか?他人だろうな、ユイ?だが、ユイと分かり合えるのら・・・
「人類補完計画、愚者のヒトという種には相応しくありません?あなた?」
この子はこの地獄を生きていくのか?
いいえ、だからこその新しい進化ですわ。心の統一と永遠の終焉をもって。
そうか、ユイの思いは凄いな・・・私にはそれを手助けできないのだろうか?
・・・・・・。
ユイが消えた。この後、私は自分が消えてしまう夢を見た。その中ではいつも私の分身たるシンジが
私に代わりに・・・いやそれ以上に活躍し、人望を得、ユイのように輝いて居た。
だからこそ、遠ざけ、シンジの思いを無視し、この計画を進めてきたのだ。
ただ、吐き気がするの
「うぅぅーーー」
「どうした?」
彼が尋ねる、イヤな事を・・・あんなことの後だってのに
「どーもこーもないわ、リツコの奴どうしたって?」
「また、カンヅメだってよ。りっちゃんもあんなにお堅くならなくたって」
そう・・・アンタもそういうの?やっぱり軽い奴ね、アンタ。
でも・・・私が一番オメデタイのかもね、こんな奴。
あいつの変わりでしかないのに、楽な方に逃げてて・・・アイツはわたしにしてくれたことは母の泣き顔を見せることだけ。
「そして・・私はアレに囚われたまま・・・か」
「んっ?なんかいったか?」
長くなってきているわね、その髪・・・イー加減切りなさいよ
「ううん、なにも・・」
「・・・・そっか」
いったいアレは何だったのか?全てがなくなっちゃった時、ただそれだけのことだけ・・・と思いこませているのかしらね。
「なーにも、よぉ?もいっかいする?」
「おいおい、一週間もずっとこの・」
抱きつく、そして奪う、その続きは?
同じ、やっぱり同じ、ずっと、このまま、何も変わらない、変わるはずも、変わる理由も、全てが・・・
停滞してる。
打破しなきゃ・・・私。
そして、私は彼と別れ・・・・今はこの場所で一つの目標に向かっている。
誰かの血に塗れた腕で、拳銃をとり、邪魔者を撃ち殺す、誰であっても。
そう、彼であっても。
無差別な愛こそ・・・
「しゅーきょー?勧誘なのね?」
「いえいえ、ですから私たちは・・」
ゴタゴタとしてないで、させないで、こちらとらソレの使いと戦うんだから
「せめてお話しだけでも」
「いらないわ」
身もフタもないでしょ?あたりまえじゃない、だって私の耳には届かない物だもの
「じゃ、縁がなかったと思って」
ゴクロウサマ、このマンション唯一の住民を探し当てたというのにね
「神サマね・・・そんなの自分のことじゃない」
散らかっている床、歩き冷蔵庫にゆきビールとつまみ。
夕食も味気ない物ばかり、しょうがないわね。
これが私なんだもの。
「ペンペンもそう思うでしょ?」
じっーと私を見るペンギン、分かっているのか分かっていないのか視線を私に向ける。
何か言った?
そんな視線、コンビニの弁当をつつく、もくもくと食べる。
「神か・・何もしなくても、ホントは良かったのかもね」
ペンダントをプチッと後ろではずす、じっと十字架を見る。
「復讐も、子どもを道具にすることも・・・だって私の感じる全てしか、感じれないこの世界じゃね」
上着を脱ぎながら、呟く・・・服を脱いでいき。
「誰の思いも、分からなかったし・・・一番知りたかった彼のことも欺瞞だったのよね」
命の洗濯をする、彼女。
命・・・それは大切な物。
愛・・・それは・・・・。
彼女にとって、それはいつか見つけれるものだろうか?
そして見つけた時、嬉しく感じるのだろうか?期待はずれだと軽蔑し、見向きもしなくなってしまうのだろうか?