プロローグ1

 

 

浜辺に2人、人がいる・・・2人とも身動きしない

一人の女の子の方は瞳に以前あった輝きが失われたようだ

もう一人の男の子もここに存在しないような

儚い空気をもっている、寄せてはかえす赤い波が2人の足近くまで来ていた




・・・・母さんいるんでしょ

シンジはさっきから感じている気配は母親だと確信していた

だから、心のなかで呼びかけていた

自分の特別な存在・・・母親に

・・・・・・・シンジ・・・もう良いの?

・・・・もういいんだ、アスカのためにできることをしたいだけなんだ

・・・さっき「気持ち悪い」って否定された・・・だからもういいんだ

・・・・でも・・・シンジ、私はあなたに幸せになってほしいの

・・・・・・母さん僕を消して、幸せはなくなってしまったんだ

・・・・・シンジごめんなさい、つらいけどがんばるのよ

・・・・・・えっ!!!!!

その瞬間、シンジは・・・シンジのこころは飛ばされた







アスカは静かに身を起こした。

やはり、瞳には生気というものを感じれないようだ

アスカは一人でいることに恐怖していた幼かった頃のようだ

すべて・・・すべて終わっちゃたんだママがいる・・・・

でも嬉しくない・・・ママは居るだけ・・・安心はするけど

自分にとってママはもう・・・幽霊になったみたい




「アスカちゃん・・・」


「・・・?・・・ママなの?」


「そうよ、この身体はもう魂がなかったから使っているの」


アスカもさほど驚く様子もなく小さな声で言った


「・・・・・ママでも、嬉しくない、まだ他人に・・・・ママにすがっても

裏切られるのが恐い、こんな私でも価値を否定されるのが恐い」


「アスカ・・・価値がそんなに大事?・・・違うんじゃないかしら」


「もう・・・終わったもの・・・ママも・・・シンジも・・・他人だもの」


「アスカ・・・違うわ」


「ママ・・・でもっ!わ・わたし・・・」


「アスカ、あなたには明日を与えてあげる

だから・・・だから自分を愛してあげて

だれも・・・だれも・・・あなたを見てくれなくなっちゃうわ」


「いい・・・見てくんなくても・・・こんな私嫌いだもの」


立ち上がりシンジとの距離を離そうとした


「人の温かさ知らないことは、悲しいことよ、だから・・・」


ギュッ・・・・・・・・・・・・・・・・

アスカはいつの間にか大きくなっていた

シンジに包まれるように抱きしめられた。

正確にはキョウコにだが・・・


「暖かい・・・ただ・・・あったかかい

ママ・・・これ・・・

とっても・・・とっても・・・うぅ・・・」


泣いてしまって声が声にならない・・・


「ママ・・・この暖かさ・・・この暖かさだけは

失いたくない・・・わがままかもしれないけど・・・」


少女は再び歩き始めようとした・・・


「でもママ・・・ここには何もない

明日はどこにあるの?」

「ここに来て・・・目を閉じて」


「?」


シンジはアスカの耳を両手でふさぐと抱き寄せた


「・・・っママ?」


「アスカ幸せになりなさい・・・そして、シンジ君を救ってあげて

私がこうやって話せるのはシンジ君の母親のユイさんが

シンジ君の願いをきいたから・・・」


「シンジは?どうなったの・・・」


目の前に本人がいるのだが・・・

困った顔をして


「わからないわ・・・でもユイさんが・・シンジ君が・・・願ったから

私はここにいることができるの、シンジ君はつらいと思う・・・心でないていたも
の」


キョウコは本当は知っていた・・・シンジはアスカの側にいたかった

しかし、アスカに嫌われている自分より・・・アスカの大切な人の方が

彼女の助けになる・・・そうシンジは思ったのだ


「・・・シンジ、あなたを失ってから気づいちゃった

あなたがどんなに大切な存在であったのかを」


「・・・自分に自信をもって、プライドで身を守らなくても

生きてゆけるでしょう・・・私の大事な・・・アスカ」


「ママ・・・ありがとぅ・・・シンジ、私、助けてあげるね・・・

また、2人で生きていこうね・・・・」