AAA OTHER STORY

 

 

1   ミサト依存症

 

 

 

 

「どう?家出した気分は・・・」

「・・・・・」

「2日間もほっつき歩いて少しは気は晴れたかしら?」

「・・・・・・・・」

シンジは何も答えない。

頭を俯けて地面の一点を見つめつづけている。

血が出そうなほどに唇をかみ締めて。 

だがよく見てみると、体が少し震えているのがわかる。

ミサトがそれに気づくことはなかったが。

ミサトはやれやれといった感じでひとこと「ふぅ」とため息をつく。

「もしもここにいてエヴァに乗ることがいやなら・・・」

そこで少し区切りをつけてからこう言った。

「前いた場所、三鷹に帰ることもできるわ」

(シンジくんがいじめにあっていたことを知っているのに・・・最低ね、私って。・・・さてシンジくんはどうするかしら)

その言葉を聞いたとたんシンジは体をビクッと振るわせ、泣きながらミサトの腰に抱きついた。

「ちょ、ちょっと、シンジくんどうしたの!?」

ミサトはシンジのいきなりの行動に驚きの声をあげる。

「ミサトさん!僕はここにいちゃ駄目ですか?駄目なんですか!?」

「ちょっとシンジくん落ち着いて!」

「あっちにいくのはいやなんです!いきたくないいんです!

僕はここにいちゃ駄目ですか?何でもしますから・・・・ミサトさん・・・ウッ・・グズ・・グズ・・・・ヒック・・ヒック」

「シンジくん。まずはおちつきなさい。ね?」

ミサトがゆっくりと優しく声をかける。

そして涙でぐしゃぐしゃになった顔を今朝、奇跡的に持ってきたハンカチで拭いてやる。

「は、はい・・・ヒック・・・・わかり・・ウッ・・・ました」

ミサトに顔を拭いてもらいながら、だんだんと落ち着いていくシンジ。

「シンジくん。ここにいてもいいから、・・・それに私もいて欲しいと思ってるし」

「本当・・・ですか?」

シンジが俯けていた顔を始めて上げる。涙もだんだんと止まってゆく。

「ええ、もちろん!シンジくんがいやなら別だけど・・」

「そんなことはありません!僕もミサトさんと一緒にいたいです」

シンジは強い口調で断定する。涙はもうほとんど止まっている。

「そう、ありがとう。シンジくん」

そういって優しく微笑む。

「そ、そんな・・ありがとうだなんて・・・僕の方こそ・・・」

シンジは少し困惑しながらも嬉しそうに言う。

頬が少々桜色に染まって見えるのは気の所為だろうか。

(これなら話を聞いても大丈夫かしらね)

「いいのよシンジくん。ところで・・・それならどうして家出なんてしたの?」

「そ、それは・・・」

シンジは口篭もり、また顔を俯ける。

「それは?」

「それは・・・・家を掃除していたら・・・グスッ・・・監督日誌っていうものがでてきて」

シンジは小さな声でぼそぼそと喋りだす。

止まりかけていた涙もだんだんと眼に溢れてきた。

(あっちゃぁ〜〜〜これじゃあ保護者失格ね)

ミサトは内心で自嘲の笑みをうかべた。

もっともそれを表に出すことはしなかったが。

「それで・・・ウッ・・・ミサトさんは私を家族としてみてくないんじゃないかっておもって・・・ヒック・・・それで・・・」

シンジの頬の涙が一筋流れる。体が震えだす。

そのときミサトが突然シンジを抱きしめた。

「ど、どうしたんですか?ミサトさん」

驚いたシンジが顔をあげる。

「シンジくん、ごめんね。監督日誌は私の仕事。それとシンジくんの管理も私の仕事。

だけどね、シンジくん。シンジくんと暮らそうと思ったのは仕事じゃない。

それにシンジくんのこと私は家族だと思ってるから」

「本当・・・ですか?」

「本当よ。シンジくんは私の家族よ」

「ずっとですか?」

シンジが確認するといった感じで尋ねる。

「ええ、ずっと」

「ずっと家族なんですね。ずっとなんですね」

シンジが強い口調でミサトに聞く。シンジの両手がミサトの服の襟をつかむ。

「そうよ。信じてくれなくてもいいけど私はそう思ってるわ」

「ミサトさん・・・ありがとう・・・ございます」

シンジはとぎれとぎれに感謝の言葉をつむぎ、頭を下げる。

「そんな〜ありがとうだなんていいわよ。照れるじゃない」

ミサトが茶化すように言う。

「・・・・・・」

「ん?どうしたの」

突然押し黙ったシンジにミサトが尋ねる。

「・・・ミサトさん、聞いてもらいたいことがあるんです」

シンジが小さな声で、だが決意した声で言う。そんなシンジの声を聞いてミサとは顔を引き締める。

もっとも戦闘のときとは違い引き締めた顔の奥には優しさを残していたが。

「・・・話、長くなる?」

「・・・はい、多分」

「じゃあ座ろっか」

そういってミサトは壁にもたれかかって座る。そして幼子を抱きかかえる母親のようにシンジを抱きしめる。

するとシンジの頭がちょうどミサトの胸にくるようになった。

シンジは最初そのことにためらいを感じていたが、ミサトが少し強く抱きしめてやるとそのまま頭をうずくめた。

「ミサトさん。話を・・・してもいいですか?」

「いつでもいいわよ」

ミサトの答えを聞くと、シンジの手が震え出した。ミサトはそんなシンジの手をにぎってやる。

そしてシンジの独白が始まった・・・・

シンジはいろいろな話をミサトに喋った。

昔父親に捨てられたこと

三鷹でいじめられたこと

殺人者の息子だといわれつづけていたこと

そこでは人としてみてもらえなかったこと

ここなら変われるかもしれないと思ってやってきたこと

だけど誰も私を愛してくれないと思ったこと

そしてベッドで泣いたこと

そんなときミサトさんがやってきて凄く嬉しかったこと、などなど

いままで誰にも言わなかったこと言えなかったこと

だけど本当は聞いて欲しくて慰めて欲しかったこと

ミサトさんには体の傷跡も見せた。

そしたらミサトさんはひどくつらそうな顔をした。

シンジの独白は何十分と続いた。

「これで・・・おわりです」

そういってシンジは話をやめた。

「シンジくんつらかったのね」

「・・・・・・」

「寂しかったのね」

「・・・・・・・・」

シンジは何も答えない。ミサトの胸に顔をうずくめたままだ。だがミサトは気にせずに喋りつづける。

「これからは私がいるから。私がそばにいるからね。寂しくならないように。

つらいことからすべて守ってあげることはできないけど、つらいことに立ち向かうときはそばにいるから」

「ミサトさん・・・どうしてそんなことしてくれるんですか?」

顔をうずくめたままミサトに聞く。

「シンちゃんと私は家族でしょ。そんなこと当然よ」

「家族だから・・・当然・・・」

シンジはその言葉をかみしめるようにつぶやく。

「そう、家族。母親と子供でも、姉と弟でもない。ついこの間まで他人同士だったけれどそれでも家族よ。

シンちゃんもさっき言ってたじゃない。ずっと家族だって」

「そう、そうですね・・・僕とミサトさんは家族なんですよね」

「そうよ。家族よ」

ミサトもまたその言葉をかみしめるように言う。そして腕時計をちらりと見る。

「あ〜結構時間たっちゃたわね」

「す、すいません」

「いいわよ、謝らなくても。さてとそれじゃあ私たちの家に帰りましょうか」

ミサトがシンジを抱いていた腕を伸ばしながら言う。

「はい!」

シンジが元気よく答える。ミサトはシンジのこんな底から明るい声を初めて聞いた。

今までのシンジは明るくしていてもどこか無理をしているようなところがあったからだ。

そして二人は部屋を後にした。

その日のミサトの運転はいつもよりずっと安全だった。なんてったて80キロ以上出さなかったのだから!

 

(続く)

 


作者のあとがき

はじめまして。武丼です。小説を書くのはこれが初めてなので、

変だと感じたところはどしどし意見してください。お待ちしております。

この小説は、AAAシリーズが「僕」のシンジだけだったらどうなっていくのだろう。

結構面白くならないかな。と思いNaNaさんへの感想メールに少し話を載せたのがきっかけです。

場面は「雨、逃げ出した後」です。

感想メールを出したときは、投稿扱いさせていただくことになるとは思いもしなっかたので びっくりしました。

おっ!「期間限定のお部屋」が更新されてるじゃん。

なにが新しくなってるのかな〜って僕の名前があるじゃん!!しまった〜〜〜〜!!!

ペンネーム考えておくんだった〜〜〜!!!(最初に思うことがそれかよ)ってな感じで。

もう絶叫しました。あのときの心の叫びは今でも耳に残っています。

他にも、もっと推敲しておくんだった〜〜!!終わり方がしょぼすぎるぜ!!

なんかシンジとミサトの人格が変!!!洗濯物が雨で濡れちゃった!

などなど後悔が山ほどあります。そこで急いで区切りをつけることにしました。

これで少しはみれるものになったんじゃあないかと思います。

早く区切りをつけることを目標にしたので、推敲はまだ全然していません。

ですので一刻も早くVer.1.2を書きます。夏休み中にはできると思います。

それと(続か・・・ない?)だったのが(続く)になりました。一応JAまでは考えてみました。

だんだんギャグがはいると思います。そして登場人物の性格も変えていきます。

AAA本編の性格もまだまだわかっていませんが、こちらと同じ性格になることはまずないと思います。

いや、ミサトは同じになるかな?シンジもちょっと強くします。

以上、駆け足であとがきを書きました。

あ、そうそうペンネームですが、仮の姿として私の飼い猫の名前で「イソベ」としておきます。

早く本当のペンネーム考えよ〜っと。今のところ第一候補は「ポスペニョ〜ル犬用」です。

あと題名もかんがえなくっちゃ。では次回!


あとがき

よく感想をくださる武井さんから投稿をいただきました

しかも、トリプルエイシリーズのサイドストリーとも言うべきものです。

感動ですぅーー、こんなコメントしかできないNaNaに投稿してくださった

武丼さんにぜひぜひ感想を送ってあげてください。