AAA OTHER STORY

 

 

2   友達ってなんですか?(A−part)

 

 

 

(家族・・・

 僕とミサトさんは家族・・・

 ずっと・・・

 僕とミサトさんは家族なんだ・・・

 そう言ってくれたんだ・・・

 ここは僕がいてもいいんだ・・・

 ミサトさんはそう言ってくれたんだ・・・

 ありがとう・・・

 ミサトさん・・・

 ・・・ありがとうなんて言ったら怒るかな?

 でも・・・ありがとうミサトさん・・・

 その気持ちは本当だから・・・)

ちゅんちゅん ちゅん

 ちゅん ちゅんちゅん

小鳥の囀りが窓の外から聞こえてくる。少しあけた窓からの風でカーテンが揺らめく。

そしてカーテンの奥からのびてくる光がシンジに当たる。シンジはもぞもぞと動き出す。

朝日が昇り始める午前五時三十分。

(そろそろ起きなきゃ・・・

 朝ご飯作らないと・・・

 ミサトさんと食べる朝ご飯・・・

 おいしいものを作ろう・・・

 喜んでくれるよね・・・

 ミサトさん)

かくして碇シンジの一日は始まった。

 

 

「ぷっはぁ〜〜〜!!!きく〜〜!

やっぱ一日はこれが無いと始まんないわよね〜。ってなわけでシンちゃんもう一本ちょ〜だ〜い」

朝っぱらからビールを飲んでいる葛城ミサト。花も逃げ出す29歳だ。

その目の前にはすでにえびちゅ三缶が転がっている。これで太らないのは神の奇跡か悪魔の呪いか。

「はいミサトさん」

そういってシンジは業務用冷蔵庫の中からもう一本えびちゅを取り出す。

業務用冷蔵庫の中身はすべてビールだ。当然のことながら。

「ありがとね〜」

プシュ

 

プルタブの蓋をあける。

 

ごきゅごきゅごきゅごきゅごきゅごきゅ

 

「ぷっはぁ〜〜〜!!もう最高〜〜〜〜!!!」

これで4本目。

 

(ミサトさんが喜んでくれてる・・・。業務用冷蔵庫、買ったかいがあったなぁ)

シンジはニコニコとしながらミサトを見ている。

朝からミサトがビールを飲んでいることを止める気は微塵もないようだ。

「はい、ミサトさん朝ご飯できましたよ」

 シンジが台所から料理を運んでくる。

今日の朝食はアジの開き、ほうれん草のおひたし、卵焼き、それに豆腐とワカメの入った味噌汁だ。

ペンペンのために生のアジも持ってきている。

「おぉっ。おいしそうね〜」

料理がテーブルの上に並べられていく。

ミサトは舌なめずりしながら箸を持つ。シンジはペンペンに餌をやっている。

「んじゃ、いただきま〜す♪」

「いただきます」

葛城ミサトの朝はこうして始まる。

 

 

ジャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜  キュッキュッキュッ

朝食も食べ終わりシンジは台所で食器を洗っている。

ミサトはあぐらをかいて椅子に座ったままニュースを見ている。

「そういえばさあ、レイってば学校ではどんな感じ〜?」

ニュースを見ているままの格好で尋ねる。シンジは洗い物をしている手をちょっと休めてから答える。

「わかりません・・・ずっと一人でいるから・・・」

「ふ〜ん、友達とかいないの〜?」

(学校でもあんな感じじゃ当然か・・・)

「・・・多分」

シンジは最後の食器をふきながら答える。

「じゃあシンちゃん、友達になってあげれば〜」

「・・・はい、わかりました」

「あっ!別に無理してなってくれっていってるんじゃないのよ」

ミサトはシンジの方を振り向いて慌てて付け加える。

「いえ!別に無理していってるんじゃありません。

僕も綾波さんとはパイロット同士で仲良くなりたいと思ってましたし・・・」

シンジは食器洗いも終わり、エプロンを脱ぎながら言う。

エプロンの下には女子用の学生服を着ている。きちんとアイロンがかけてあり皺一つ無い。

ブラジャーとショーツも着用済みだ。ブラジャーの中には当然パッドが入っている。

「そう、ならいいんだけど」

ミサトは呟くように言う。シンジは台所から二つの弁当箱を持ってくる。

「はい、お弁当です」

「悪いわね〜。毎日作ってもらっちゃって」

「いえ、好きでやってることだから気にしないで下さい」

ミサトに弁当を渡し、壁に立てかけてあった鞄にもう一方の弁当を入れる。

そして鞄を右手に持つ。左手にはごみ袋を持っている。

「それじゃあ学校に行ってきます。ごみは途中で出しておきますから」

「ん、わかったわ。いってらっしゃ〜い」

ミサトがシンジに笑顔で手を振る。シンジは玄関に行き、靴をはく。

そしてごみ袋を床においてドアを開ける。

カチャ

「はい、いってきます。何かして欲しいことがあったら言ってくださいね、何でもしますから」

ミサトの方に振り向いて言う。その顔には晴れ晴れとした笑顔がある。

バタン

ドアが閉まり、ミサトも手を振るのをやめる。その顔には先ほどまでの笑顔は無い。

「何でもしますから・・・か」

短縮ダイヤルを押して受話器を取る。

「今。家を出たわ。後よろしく」

 

 

ドサッ

(ふぅ、ゴミだし完了っと)

シンジがマンションの近くにあるゴミ収集場にごみ袋を置く。

手をパンパンとはたいてから鞄を持ち直す。そして学校へと歩き始める。

(綾波さんと友達になる・・・か

 ミサトさんの前ではああ言ったけど、どうやって友達になるんだろう・・・

 友達・・・

 子供のころはいたような気がするけど・・・あんまり覚えてないや

 どうやって友達を作ったんだろう・・・)

頭を俯けてとぼとぼと歩くシンジ。まわりにはどんよりとした空気がまとわりついている。

その理由はレイとどうやったら友達になれるかがわからないからだけではない。

(学校へ行ったらまたいじめられるのかな・・・

 この間殴られちゃったしな・・・

 また人形のようにするのかな・・・

 いや、もうそれは無理だろうな・・・

 ミサトさんが家族だって言ってくれたから

 ミサトさんが優しくしてくれたから

 もう人形になるなんてできないよ・・・

 もう自分に嘘はつけないよ・・・)

 

 

き〜〜〜〜んこ〜〜〜〜んか〜〜〜〜んこ〜〜〜〜ん  

き〜〜〜〜んこ〜〜〜〜んか〜〜〜〜んこ〜〜〜〜ん

シンジが校門に入ると、学校の始まりを告げるチャイムが鳴った。

チャイムの五分前には着く予定だった。だが学校に入ったと同時にチャイムが鳴った。

遅刻ギリギリ、それが現実だ。シンジはまだ何かぶつぶつと口を動かしながら、とぼとぼと歩いている。

チャイムが鳴ったのにも気づいていないようだ。

まわりにはどんよりとした空気からレベルアップして暗黒オーラがたちこめている。

半径5m以内に入ったら、もれなく精神汚染をプレゼントされそうな雰囲気だ。

シンジはようやく自分の下駄箱の前まできた。

ガチャ バサバサバサバサバサッ!

下駄箱の中から何十枚もの手紙があふれ出てきた。中にもまだ落ちたものの二、三倍は手紙がある。

どうしてそんなに入れれたかは君と僕との秘密だ。いつもは全部鞄の中に入れるシンジ。

だが今日はそんなものには目もくれず、ただ自分の上履きを探す。

落ちた手紙にいたっては靴の裏で踏まれて、ぐしゃぐしゃになっている。

このことで目覚めた生徒が、後にアスカの下僕志願者となるのはちょっと未来のお話。

ごそごそごそごそ・・・ごそっ!

シンジはやっと上履きを見つける。上履きと何日かぶりの感動の再会だ。

だがシンジは泣いたりなどしない。何かもごもごと口を動かしているだけだ。

上履きをはくと教室に向かって歩き出す。そして教室の前のドアに着く。シンジの足はそこで止まる。

(逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ)

シンジは一つ大きく深呼吸する。

すう〜〜      

 

はぁ〜〜〜

 

「よしっ!」

 

ガラッ!

 

「すまんかった!!

          ワイを殴れ!!!」

 

(逃げちゃ・・・駄目だ・・・よね?)

 

ぱたっ

 

「すまないなぁ碇。コイツこういう恥ずかしい・・・って気絶しちまってるぞ!トウジ!!」

 

(続く)

 


 

後書き

ふ〜#2完了しました。でも#3と話がつながっているので早く書かねばまいりませんが。

少しづつギャグをいれていこうというもくろみは成功しているでしょうか?

まだ壊れたキャラが出てきておりませんのでいささか大変なのです。

台詞でギャグを取れないので。

あっ!ペンネームですがアレはふざけてますので嘘です。本気にしていた方ごめんなさいm(_ _)m

ただし猫の名前は本当です。あんなふざけた名前をつけています。いまでははもう全然気になりませんが(^^;)

では次の作品でお会いしましょう。武丼でした。

 


あとがき

武井さんから投稿をしていただきました

私の作品ではマナとユイに壊れキャラを任せていますが・・・

武井さんはいったい誰を壊れキャラにするのでしょう、楽しみですね♪

この作品に対する感想と著作権は武丼さんにあります。