ここは第壱中のとある教室。そこには六個の机と椅子が円形に並べられている。そのうちの五つには男が五人座っており、男たちは皆そろいもそろって目の部分だけくりぬいた黒いビニール袋のようなものを頭からかぶっている。そのため顔が見えず、全員が同じように見える。しかし彼らにも違いがある。それは胸にオレンジの油性マジックで一人ずつに乱雑な文字で書かれた01から05までの数字である。また、上座に座っている者はなぜか水泳ゴーグルを着けている。男達は互いに言葉を交わさず、ただただじっと座っている。一つだけあいている椅子に座る何物かを待っているようだ。

き〜〜〜〜んこ〜〜〜〜んか〜〜〜〜んこ〜〜〜〜ん  き〜〜〜〜んこ〜〜〜〜んか〜〜〜〜んこ〜〜〜〜ん

学校の授業もすでに終わっている午後五時。今学校に残っているのはほとんど部活動の生徒だけだ。運動場を見てみるとサッカー部や陸上部などが練習をしている。それにまじってちらほらと談笑をしている女生徒たちも見かける。また校門にも誰かを待っている生徒が二、三人いるのがわかる。

教室にいる怪しい五人組みはいったい何物だろうか?

果たして彼らは何かの部活をやっている生徒なのだろうか?

残った椅子に座る者とは誰だろうか?

その答えはもうすぐ明らかにされる。

 

祝!20000HIT記念投稿!!

碇シンジ天誅委員会(前編)

 

 

 

カラカラカラッ

突然教室のドアが開く。男達は一斉にドアのほうを向く。

「申し訳ございません。遅れてしまいました」

眼鏡をかけた少年がビデオを持って入ってくる。後ろには黒いジャージを着た少年がいる。

「相田君、遅かったではないか」

「君が今日の会議の重要さを知らぬわけは無いであろう」

「左様、時は待ってはくれんのだよ」

「今後このようなことがあった場合、わかっておろうな?」

男達が初めて口を開く。中にはまだ幼さが残っている声もある。

「はっ、重々承知しております」

相田と呼ばれた少年が椅子に座りながら答える。もう一人の少年は教室をものめずらしそうに見まわしながら、相田と呼ばれた少年の斜め後ろに立つ。

「フン、その言葉どこまで信用できるものやら」

男04が嫌味を十二分にこめて言う。

「なんやねんケンスケ、こいつら?嫌味ったらしゅうてかなわんわ。今日は委員ちょとかいもんに行くのお前も知っとるやろ?ちゃっちゃっと終わらせてくれや」

黒いジャージを着た少年が頭を掻きながら面倒くさそうに話に加わる。

「き、君、鈴原トウジといったかね。その話、事実かね?」

男02が語気を強めて尋ねる。

「・・・・・」

男達は騒然としている。そんな中でケンスケは両手を口の前で組んでいる格好で沈黙を保っている。

「せや。せやけどな、デ、デートやないでただ一緒に買い物にいって、その後喫茶店なんかでメシを食うたりするだけや」

トウジが顔を赤くしながら答える。世間一般ではそういうものをまさしくデートというのだが、ここは鈴原トウジの名誉にかけて秘密にしておこう。もっとも顔を赤くしている時点でバレバレなのだが。

「君!何を言っているのだ!!」

「この場でそのような発言、つつしみたまえ!!」

「相田君!君の副官は無能かね!?」

男達も顔を赤くしながら叫ぶ。もっとも顔を赤くした理由はトウジとは違うようだが。

「なんやねん、お前ら!ぶちぶちぶちぶち文句ばっかり言いよってからに。あんまりぶちぶちいっとるとパチキかましたるで!!」

人前でデートという単語を言ってしまった恥ずかしさも手伝ってかトウジも男達の二、三倍の声で叫ぶ。同時に足も男たちに向かって一歩踏み出す。男達はトウジの迫力に押されて、しんと静まり返る。

「トウジ、そこらへんでいいだろ。後はそこで立っててくれればいいから」

ようやくケンスケが沈黙を破る。両手を口の前で組んでいるポーズはそのままだが。

「ん、あ、ああわかったわ。すまんな、大声出して」

トウジは足を一歩下げて元の立っていた位置に戻る。

「では、始めましょうか。議長」

ケンスケが男達を促す。

「あ、ああ。わかった」

議長と呼ばれた水泳ゴーグルをかけた男が答える。

「碇シンジに天誅を!」

「「「「「碇シンジに天誅を!」」」」」

 

(何いっとんのやこいつら?まぁええか、立っとるだけでケンスケから金貰えるんやし)

 

「では相田・・・」

「はっ」

ケンスケが立ちあがり教室の片隅にあったテレビに向かう。そして持ってきたビデオとテレビをつなぎ、テレビの電源をつける。ビデオの再生ボタンを押して、席につく。

「本日の議題は、今までの事実の検証である」

テレビには碇シンジの姿が映し出されていた・・・

 

第二の転校生

 

碇シンジ、転入

「碇シンジです」

 

最初は

影の薄い転校生

 

しかし数日後

エヴァンゲリオンパイロットであることが発覚

碇君がロボットのパイロットって噂、本当?Y/N

YES

 「「「「「え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」」」」」

 

学校のヒーローになる

「碇君あのロボットのパイロットなんですって!」

「本当!?学校のヒーローって感じよね〜」

 

同日

碇シンジ親衛隊結成される

「シンジくんを護るのよ!」

「「「「「お〜〜〜!」」」」」

 

俺の彼女の名前は「長月 ミオ」っていったんだ。

付き合って一ヶ月半、キスまで後少しという場面もあった。

俺は彼女に心の底から惚れていた。

二人は客観的に見てもかなりの熱愛ぶりだったと思う。

だがそんなある日、俺達の間に不幸の使者がやってきた。

碇め〜〜〜〜〜〜!!!!

親衛隊なんてつくりやがって!ミオまで入っちまったじゃねえかよ!!

それが原因で俺達は破局だ!破局!!

許せん!お前だけは許せんぞ〜〜!!

男05の心の叫びより抜粋 

 

第一の転校生

 

綾波レイ、復学

「綾波、怪我大丈夫?」

「・・・問題ないわ」

 

綾波レイもまた

エヴァンゲリオンパイロットであることが発覚

「おいシンジ、どうして綾波を知ってるんだ?」

「綾波もエヴァのパイロットだから」

 

碇シンジ

綾波レイの家に侵入した

との報あり

 

「事実かね?相田君」

おそらくは」

「おそらくでは困るのだよ!」

「落ち着きたまえ。ここで声をあげても事態に変化はない」

「左様、碇シンジに付け入る隙を与えるだけだ」

「・・・申し訳ございません」

 

碇シンジ

綾波レイに話しかけられる

「じゃあ後で碇くん。私・・先に行くから」・

 

この日を境に二人の中は

急速に接近

「綾波、昼ご飯食べない?」

「持ってきてないから・・・」

「ぼ、僕、綾波の分も作ってきたんだけど・・・」

「・・・・・」

「だめかな?やっぱり」

「もらうわ・・・ありがとう・・・」

 

数日後

碇シンジ天誅委員会の

旧組織である

第壱中美少女保護連盟設立

 

綾波レイ・・・君が転校してきたとき私の心はどうなっていただろう。

あのときのことを考えると今でも体が震えるよ。

美の化身と出会えたのだからね・・・私の心は一瞬で君の虜になったよ。

しかしあの日、私の永遠の敵、碇シンジがやってきた。

レイさんになれなれしくしやがってぇ〜〜〜!!同じエヴァのパイロットだからって近づくな!!

お前は十分もてているだろう!!レイさんに近づく必要がどこにある!?

それ以上レイさんに近づいたらなぁ。

私のパンチで月まで連れてってやるよ!!

Fly to the moon!!!

男02の絶対秘密日記153ページより抜粋

 

第三の転校生

惣流・アスカ・ラングレー

空母オーバーザレインボーにて

碇シンジと対面

「紹介するわ。エヴァンゲリオン弐号機の専属パイロット、

セカンドチルドレン。惣流・アスカ・ラングレーよ」

 

スカートがめくれる

パンッ!!パンッ!!! パンッ!!!!

 

「相田君、君も見たのかね?」

「はい、ですが不可抗力です」

「不可抗力といっても見たものは見たのだろう!」

「左様!うらやましすぎるぞ!!」

「その通りだ!」

「しかもその後、顔を叩かれおって。うらやましいぞ!!」

「・・・・・」

全員にじと目で見られる男04。

「さ、先を続けてくれ・・・」

 

惣流・アスカ・ラングレーと

碇シンジ

エヴァンゲリオンに二人乗り

「いつまで乗ってんのよ、エッチっ!」

「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!なんとか離れないと・・・」

 

「この事件により碇シンジは、惣流・アスカ・ラングレーのプラグスーツを着ました」

「その程度で済んだのは幸運だよ」

「左様、プラグスーツは君の趣味だろう」

 

惣流・アスカ・ラングレー、転入

「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしく」

 

惣流・アスカ・ラングレー

碇シンジと同居

「惣流さんのお見舞い。あなた達こそ、どうしてここに?」

「碇君のお見舞い」

「「「なんでここで止まるの(んだよ)(んや)?」」」

 

修学旅行中

碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーの仲

急速に接近したと思われる

詳細は不明

「シンジ!買い物に行くから付き合いなさい!!」

「なんでだよ〜」

「下僕として当然でしょっ!」

 

アスカ様アスカ様アスカ様アスカ様アスカ様アスカ様アスカ様アスカ様

あなたは気高く美しい。私めはアスカ様に囚われた恋の奴隷でございます。

アスカ様アスカ様アスカ様アスカ様アスカ様アスカ様アスカ様アスカ様

なのに、なのになのに碇め〜〜!!どうしてアスカ様と同居してやがるんだ!?

しかもアスカ様公認下僕第壱号だと!?

お前は綾波といちゃついているだけじゃ気が済まないのか!

殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるぅ〜〜!!

男04のアスカ様へのラブレター97通目より抜粋

 

相田ケンスケ

宴会と称して

葛城家内部の侵入に成功

「そう!企画立案はこの相田ケンスケ、相田ケンスケです!」

 

同時に

写真の撮影にも成功

「これは売れるぞ〜〜!」

 

だが、

ネガはいまだ提出されず

 

「ケンスケ・・・そないなことやっとったんか・・・」

「カメラマンとしてのさがさ」

 

第四の転校生

霧島マナ、転入

「霧島マナです、よろしくお願いします」

 

 碇シンジと接触を開始

「本日、私、霧島マナは、シンジ君のために、午前六時に起きてこの制服を着てまいりました!

どう?、似合うかしら?」

 

碇シンジ、霧島マナより

ペンダントを入手

「この、ペンダントは?」

「あたしがシンジ君に付けてあげるの、くすぐったいけど我慢してね?」

 

碇シンジと霧島マナ

芦ノ湖でデート

「シンジくんおはよう、まったぁ?」

「あ、ううん。今きたところ」

「じゃ、行きましょか?」

 

このデートで

碇シンジと霧島マナ

キスをしたとの報あり

 

「こ、これは事実かね?相田君」

「はい事実です。確認しました」

「うおおおおお!!!!碇許せん!!!」

突然、男03が立ちあがる。

「あの男を止めたまえ」

「トウジ、頼むよ」

「てい」

 

バキッ

 

崩れ落ちる男03。

「これでええんか?」

「すまないな、鈴原君」

「いや、ただたっとるだけっちゅうもんも疲れとったところやったしな。

ところでケンスケ、お前どないやって確認したんや?」

「・・・黙秘権を主張する」

「・・・のぞいとったんやな・・・」

 

霧島マナ

いつのまにやら転校

 

マナさん・・・君は俺の心に咲く向日葵だの花だ。

その明るく美しい笑顔は俺の心を満たしてくれる。

しかし、しかし碇ぃ!!

お前どこまでもてれば満足するんだ!?

美少女には全員声かけやがって!!!

それにお前惣流と同居してるだろ!!!

マナさんと仲良くするな!!!

しかも今度でぇとをするだとぉ!?

殺す!もっと殺す!!

男03の危険な妄想より抜粋

 

第五の転校生

黒髪の美しい山岸マユミ、転入

「山岸マユミです」

 

碇シンジ

山岸さんにまでも接近する

「これだけの本一人で読むの?」

「本が好きなんです、だって…」

 

許せん!!

 

「相田君、事実の確認に主観が混じっているようだが」

「誤報です」

「気をつけて喋りたまえ?この席での偽証は死に値するぞ」

「ビデオの内容は全て事実です。確認して頂いてかまいません」

「その事実とは君にとっての真実であろう?」

「・・・まあ、よい。今回の君の罪と責任には言及しない。だが、君が新たな事実を作る必要はない」

「わかっております・・・。全ては委員会のシナリオ通りに・・・・・」

 

(こいつら、わけがわからんで・・・もうたっとるだけにしとこ。

ヒカリ待っとってくれとるやろか?早くいかんとまずいのう。

せやけどケンスケから金を貰わんとプレゼントの金が足りんくなるしのう。

もうちょっとだけ待っとってくれや・・・

それにしても暇や・・・ん?あそこにおるのはシンジやないか。

それと惣流に綾波、霧島と山岸・・・カヲルまでおるわ。

こっちに気がついたみたいやな、手でもふっとこか・・・)

 

「トウジどうしたんだ?」

「ん?ああ、たいしたことじゃないわ」

「そうか・・・では続けます」

 

地球防衛バンドふたたび

山岸さんも加入!!

「うん……無理にとは言わないけど……」

「恥ずかしいですけど……私でよければ……」

 

山岸さん歌う

♪僕らは天使じゃないから

生きることの痛みの中で

自分の弱さを見つめるとき

初めて優しさの意味に気付くよ♪

 

天使の歌声!!

ビューティフル!

スペクタフル!!

ワンダフル!!!

 

しかし使徒襲来により

文化発表祭中止

「結局、文化発表祭も中止か……」

「……ちくしょう」

 

使徒、殺す!!

 

山岸さん転校してしまう

「そういや、あの転校生どないしたんや?」

「また、転校したそうだよ。こんな街、長くいないほうがいいしね」

 

碇シンジ

見送りに行きやがる!!!

「また、会えるといいですね」

「会えるよ。生きていれば」

 

絶対に許さん!!!

 

「ケンスケ、お前山岸のこと…」

「聞かないでくれ……」

 

シンジ、初めに謝っておこう。

すまない、俺はお前の友達である前に一人の人間なんだ。

お前は今までずいぶんもててるよな。

まぁ、それはいいんだ。

顔はなかなかの美形だし、なにより学校のヒーローだしな。

だがな、だがなシンジ!!

山岸さんにだけは手を出すんじゃあなかった!!!

相田ケンスケ 恨み辛み手帳序文より抜粋

 

数日後

碇シンジ天誅委員会

結成

 

「この後、われらは全員疎開した」

「その通りだ。よって我々の記録には欠落部分がある」

「このことは我々の計画を頓挫せしめるものではないかね?」

「ご心配には及びません。全て修正可能な範囲での出来事です」

「ならばよいが、くれぐれも足元をすくわれぬようにな?」

「わかっております。計画には2パーセントの遅れもありません」

 

そして現在

 

 

(後編に続く) 

 


 

20000HITおめでとうございます!!記念に投稿作品を書かせていただきました。

最初は一回で終わらせる予定だったのに前後編になってしまいました(^^;)

後編は30000HITか40000HITの時に投稿したいと思っております。

それではでは。

 


あとがき

20000ヒット記念に武井さんから小説を貰いました。

楽しみです、いったい「碇シンジ天誅委員会」の計画とは!?

そして、「男04のアスカ様へのラブレター97通目より抜粋」が気になりました

もし、あんなこと書いていて・・・読まれていたらアスカに殲滅されたことでしょうね。

文字の配置や大きさの有効利用、いつか私もしようかな♪

ヒット記念小説を投稿して下さった武丼さんに感想メールを出しましょう。