「おっしゃあぁ!!!筆記の分はがっちり取りかえすでぇ!!」

「はっ、無理無理」

「なんやと、惣流!!」

「二人ともやめなさいよ。説明が始まるわ」

「ごめんね、ヒカリ。この馬鹿が暴れ出すかと思ったから」

「・・・・・・・・こ、この・・・・・」

「鈴原」

「・・・・・・わかっとります」



教壇に、ミサトが立つ



「今日は、期末試験の最終日。実技試験を行います。
各自のペースで地下迷宮を探索して欲しいと思いますが、
目標到達階層はターミナルドグマ:第18階層のチェックポイントです。
各自の健闘を期待します」





君に吹く風


7月11日:1学期期末考査・実技









「いよいよだね」

「班の組み合わせは自由なのよね。
マナ達はどのくらいまで行ってるの?」

「ん〜。それが実は、ムサシとケイタと組んで、まだセントラルドグマの第13階層なの」

「・・・・・どうする?」

「よっし。メンバーチェンジよ。
シンジとレイが熱血馬鹿(ムサシ)。
あたしとヒカリがマナ。
眼鏡ヲタク(ケンスケ)とジャージ馬鹿(トウジ)がケイタ。
最終到達階層13階層から突っ走ればなんとかなるでしょ」

「ねぇ、助けてくれるのはありがたいんだけど、みんなの成績も下がるんじゃないの?」

「その可能性もあるわね」

「ま、こまい事は気にすんなや。
ようは18階層が無理でも、行けるとこまで行きゃええねん」

「そうだよ。気にすることなんか無いよ」

「・・・・・・・すまない」



かく言うシンジ達も、羽化拠点騒ぎでそんなに進んでいるわけでもなかった













<迷宮昇降口>



「・・・・・・いよいよだね」

「そうね」

「あぁ」

「二人とも、緊張とかしないの?」

「えぇ」

「そんなことはないけどな」

「・・・・・・・・・・・・・・」



平然としている二人

シンジだけがソワソワしている

三人のカードをデコーダーに通し、ムサシの最終到達階層である13階層からスタートする










<セントラルドグマ:第13階層>



「正面!敵性反応!!」

「突っ切ろう!!僕が先頭、ムサシは後ろ!綾波は真ん中!!」

「OK!!任せろ!!後ろからちょっかい掛けてくるような不埒な連中にゃぁ、
シンジの大事な綾波さんには指一本触れさせないぜ!!」

「な、なんだよそれ!!!?」



三人は一列で通路を走る

広間に入ると、そこには見慣れた下級使徒がたくさんいた



「綾波!!」

「マジックプログラム:ファンクション。フィールドレベル:5。
ホワイト・ミスト:ドライブ」



レイの手にしている杖の先から、真っ白な霧が吹き出す

霧は広間を覆い隠し、使徒の視覚と嗅覚をも奪い取った

その間にシンジ達は広間を走り抜ける

足音を聞きつけた使徒が振り返った時、ムサシの「魔法」



「スラッシュプログラム:ファンクション!!フィールドレベル:2!!
エクスプロージョン:ドライブ!!」



ムサシの大剣が宙を叩いた

剣に宿っていたATフィールドの球が広間の中心へ飛んでゆく

爆発

熱風を背に浴びながら、三人は下層を目指す











<セントラルドグマ:第14階層>



「・・・・・イスラフェルを含む、使徒の群、か」

「ここで時間を喰うわけにはいかないわ。
マナはディスポを撃ち込んで。ヒカリはあたしの援護。
マナの射撃が終わったらあたしが突撃するわ。
一気に行くわよ!!」

「OK!派手に行くわ!!」



マナがディスポを装填し、曲がり角から飛び出す

最近使えるようになったばかりの呪文の詠唱



「シューティングプログラム:ファンクション!!フィールドレベル:リミット!!
エクスプルーシブ・ファイアボール:ドライブ!!!」



銃口から、火球が飛び出す

凄まじい勢いで宙を走り、使徒に接触した瞬間、爆裂した

火炎の中に、アスカは身を躍らせる



「ったぁぁぁあああああ!!!!」

「マジックプログラム:ファンクション。フィールドレベル:5!
オート・シールド:ドライブ!!」



アスカの背後に、ATフィールドの紅い楯が現れる

背後から、死角からの攻撃のことごとくを受け止める



「そこぉっ!!!」



アスカの長剣が唸り、下級使徒は為す術も無く切り伏せられてゆく










<ターミナルドグマ:第15階層>



「ケンスケ!!残り時間は!!?」

「まだ大丈夫だ!!でもここからは急がないときついぜ!!」

「おっと、扉や」

「あ、待って!調べるよ」

「手早く頼むぜ」



ケイタは、子細に扉を調べる

どうやら罠は無し。しかし、鍵が開かない



「どうしよう?鍵が開かない!!」

「どいとけ、ケイタ。この扉は、“ぶっ壊す”!!!!」

「ケイタ、下がれ!!!」



対衝撃、防弾、防熱処理の施された頑丈な扉の前で、トウジは「魔法」を使う



「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!!!
コンボプログラム:ファンクション!!!フィールドレベル:7!!!
連撃拳・疾風烈破:ドライブ!!!!」



ドゴォン

凄まじい音がした

トウジが繰り出す拳の一撃一撃に、扉は形を歪める

ついに扉は部屋の奥へぶっ飛んだ

入れ替わりで、使徒がどっと溢れ出すように出てくる



「んなぁ!?」

「トウジっ!!」

「危ない!!」



後ろの二人が銃を、弩を構え、撃つ

下級使徒の二体が倒れた

その間に、トウジも体勢を整える



「強行突破や!!ケンスケは制圧、ケイタはワシの援護!!!
行くでぇ!!」

「「りょーかい!!」」










<ターミナルドグマ:第16階層>



「うわあぁぁっ!!!」

「碇君!」

「シンジっ!!!」



蜘蛛のような使徒、マトリエルの脚の先に付いている爪がシンジの左肩を貫き、壁に縫い止めた

痛みの衝撃で、意識が吹っ飛びそうになる

ムサシの大剣が、その脚を切り払った

かさかさ、と素早くマトリエルはそこらを這い回る

動きを止めた



「!?」

「よし!!チャンスだ!!」



ムサシは突っ込んだ

しかし、レイはあることを思い出していた

マトリエルの特殊能力・・・・・・強力な溶解液

テキストに書いてあった

動きを止め、溶解液を発射する

王水なみの溶解作用がある

射程距離は10〜15m

発射までの所要時間は平均3秒



「谷口君、危ない!」

「えっ?ぐわっ!!!」



レイが打ち出したATフィールドのボールが、ムサシの脇腹に突き刺さるような衝撃を与える

体が大きく横にぶれた

ほんの2秒前に自分の頭があったところを、オレンジ色の液体が迸る



「な、なんだぁ!!?」

「くうっ!!!」



溶解液が地面に落ちた

白煙を上げて地面が溶ける

レイも身を捩ってかわそうとしたが、ATフィールドを打ち出したのが仇になった

かわしきれず、戦闘用学生服の袖や襟に飛沫を浴びてしまった

制服が溶け、レイの肌を焼く



「あ、や、波ぃぃ!!!」



左肩を貫通し、壁まで貫いていたマトリエルの脚を引き抜き、シンジは突進した

マトリエルは脚を繰り出そうとするが、ムサシがその脚を切り裂いた



「エッジプログラム:ファンクション!!フィールドレベル:7!!
飛燕一閃:ドライブ!!!」



キンッ!



その音が聞こえたときには、シンジの身体はマトリエルを通り抜けていた

マトリエルの胴体が、斜めにスライドされる

肩で息をしながら、シンジはその場に膝を突いた

レイは、溶解液を浴びた腕、首に包帯を巻き付け応急処置をしながら言った



「もう、時間が余り無いわ」

「くそっ、手当をしてる時間もないのか!」

「・・・・僕は大丈夫。先を急ごう!」

「でも、碇君・・・・・」

「大丈夫・・・・・・大丈夫だから・・・・綾波こそ、大丈夫?」」

「問題ないわ」



レイは、血が溢れ出すシンジの左肩の上にきつく布を巻き付ける



「・・・・・ありがとう」

「行きましょう。時間がないわ」

「ここまで来たんだ。シンジ達の気持ちを無にするわけにはいかないぜ!
俺が先頭に行く。シンジは後ろ。綾波さんは敵の探知だけに集中してくれ」

「わかったわ」

「頼りにしてるよ。ムサシ」

「おっし、行くぜ!」










<ターミナルドグマ:第17階層>



「アスカ!!もうほとんど時間がないわ!!!」

「くそっ!!ここまで来て!!!」

「何とかならないのぉ!!!?」



三人は、苦戦していた

使徒、ラミエルのATフィールドはあまりにも強固で、奴の荷粒子砲はあらゆる物を貫く

ラミエルは固定砲台のように、通路に鎮座していた

三人は通路の曲がり角に避難している

角からラミエルまでの距離は、およそ10m



「ちぃっ!!電池切れ覚悟でいくしかないわね・・・・・」



アスカは、長剣をゆっくりしたに下ろす

角から身を乗り出して拳銃を撃っていたマナが怪訝そうな顔をする



「ちょ、ちょっとアスカ!?18階層で戦闘がないとは限らないのよ!!」

「18階層に辿り着けば何とでもなるわよ!!
ヒカリ!!奴の攻撃を一度でも止めることができる!!?」

「やって、みせるわ。でも、無茶はしないで!

「Danke!
でもね、こういう時はやらなきゃいけないじゃない。
・・・・・・・・・援護、頼むわよ」



アスカは、通路に躍り出た

狙い違わずアスカ目掛けて荷粒子砲の光線が伸びる



「ヒカリ!!!」

「・・・・くぅぅっ!!!」



ヒカリが全力で展開したATフィールドは、かろうじて荷粒子砲の軌道を反らせた

アスカは身を沈ませてかわす

マナの銃弾がATフィールドを使わせる

アスカは、大上段から長剣を振り下ろし・・・・・・



「・・・・・くぅぁぁぁああああああああぁぁぁ!!!!!」



ラミエルの第二射は、予想以上に早かった

アスカの脇腹を焼き、鮮血が迸る

それでも、アスカは体勢を崩さなかった

大上段に振りかぶった長剣で、ラミエルをATフィールドごと叩ッ斬る



「ああああああああああああぁぁぁっ!!!!!!」



爆発










<ターミナルドグマ:第18階層>



「どありゃあぁ!!!」

「トウジ!もう時間がない!!!」

「折角、18階層まで来たのに、こんなところで!!」

「だぁっしゃああぁぁぁ!!!!!」



使徒、サキエルは強い

光の槍と光線、鉤爪の一撃

どれを喰らっても致命傷になりかねない破壊力を備えている

トウジは素早く拳を撃ち込み、斬撃のような蹴りを放つ

サキエルの身体から青い体液が吹き出す

それでも、奴は動きを止めない



「トウジ!!下がれ!!!」

「アホなことぬかすな!!ここまで来て逃げれるかぁ!!!」



一瞬の隙があった

サキエルはその隙を見逃してくれるほど甘くはない

サキエルの左掌から放たれる光の槍が、トウジの右腿を貫いた



「・・・・っぐ、おぉっ・・・・・」

「トウジ!!」



苦痛に顔が歪む

トウジの顔に、サキエルの右腕、3本指が迫った

鉤爪で頭を握りつぶそうというのか

それとも光の槍で頭を刺し貫こうというのか



「どっちも・・・・・御免や!!!」



トウジは、何とか身体を捻る

ケンスケがフルオートで放った弾丸が、サキエルを小刻みに震わせる



「エイミングプログラム:ファンクション!フィールドレベル:3!
アロー・レイン:ドライブ!!」



ケイタが天井に撃ち込んだ矢から、無数のATフィールドの矢が降り注ぐ

サキエルを射抜き、壁に貼り付ける



「とどめやぁ!!!」



トウジが、渾身の力を込めてコアを殴りつけた

サキエルはびくりと痙攣し、コアは光を失った



「ぜぇ、ぜぇ、すまんのぉ、ケイタ」

「そんなことはどうでもいいじゃないか鈴原君!怪我は!?」

「・・・・・おぉ、ぎりぎりやけど、まだ動けるわ。
それと、トウジって呼んでくれ」

「相田君は大丈夫?」

「ケンスケだぜ。ケイタ」

「・・・・・ケンスケは?」

「無事。でも、時間がもう3分もない」

「なにぃ!!?チェックポイントは何処やぁ!!!?」










<・・・・・その頃のシンジ達>



「くそっ!ここじゃない!!」

「急がなきゃ!!急がなきゃ!!!」

「あと、2分!!」










<・・・・・その頃のアスカ達>



「こん畜生!!通路の分際であたしを馬鹿にするんじゃないわよ!!」

「アスカ!!八つ当たりするくらいなら走って!!」

「あと1分!」










<発令所>



「さて、残り時間は?」

「残り、46秒です」



加持の問いに教員補佐の一人、日向マコトが答える



「・・・・・・へぇ、シンジ君やアスカ達はぎりぎりか。結構余裕があったと思ってたけどな」



モニターを見ながら、加持がぼやく

ミサトがそれに相槌を打った



「多分、霧島さん達を引っ張ったからじゃないの?」

「なるほど」



リツコは、マヤに尋ねた



「マヤ。山岸さんの状況は?」

「はい。単独で探索を開始して、28分前にチェックを完了。すでに帰還しています。
・・・・・・・・あの子は、何者なんですか?」

「・・・・・ただの人間よ。
傷つきやすい、どこにでもいるお年頃の女の子」

「残り時間、20秒」










目の前に扉がある

ここのはずだ

ここでなければ、諦めるしかない

残り、13秒

11秒

9秒

8秒

7秒

6秒



ばんっ!!!×3



扉を蹴破るように開く

思わず、笑いが込み上げそうになった

9人そろって自分のカードをスリットに通す



ピー



無機質な音

チェックが完了したことを意味している





チャイムの音



放送



「現時刻を以て、期末考査・実技試験を終了しました。
迷宮内の生徒は、帰還しなさい。繰り返します。
現時刻を以て、期末考査・実技試験は終了しました。
迷宮内の生徒は、帰還しなさい」



チェックポイントの端末の電源が落ちる

試験は終わった

そう、試験は終わった



9人は、ゆっくりとその感触を噛みしめる

間に合ったのだ



傷口が痛むことも忘れて、飛び上がって喜んだ

肩を寄せ合って、帰還する

傷だらけで、埃まみれだが、表情は晴れ晴れとしていた



「さぁて!凱旋するわよ!」



馬鹿らしいことに、全員が



「おぉぉ〜!」



と言った

しかし、凱旋と言ってもみんな怪我をしている

まずは保健室に直行










<保健室>



「・・・・・まったく、無茶をするわね」



リツコは、全員の手当をしながらぼやいた

シンジ達以外に大怪我をしている生徒はいない

マヤも手伝いに来ていた



「はい、次の人」



奥でアスカの脇腹に包帯を巻いていたマヤが言った

レイが入ってくる



「・・・・・火傷をしました。マトリエルの溶解液で・・・・・」

「まぁ!中和剤は・・・・・」



棚を捜すマヤ

やはり彼女は熱心な教師である



「でーっ!!!ってってって!!!!痛い痛い!!!」

「・・・・・・うるさいわね。はい、終わり」

「も、もうちょっと優しくしてくださいよ!」

「我慢なさい。男の子でしょ。はい、次は?」

「はい。お願いします」

「箇所は・・・・・・右肩が重傷ね。上着を脱いで」



上着を脱いだシンジの肩に膏薬を塗り、ガーゼを当て、包帯を巻く

擦り傷や切り傷にも、同様の処置を施す



「まったく、こんな怪我して帰ってくるのはあなた達くらいね」

「ちょっと、無茶をしましたから」

「13階層から18階層まで、一気に5階層も降りたんでしょ?
そんな無茶をしたのはあなた達くらいだわ」

「あ、あははは・・・・・・」



渇いた笑いが保健室に響く



「はい、終わり。これでみんな終わった?」

「「「「「「「「「はい。ありがとうございました」」」」」」」」」

「じゃ、早く帰って休みなさい」



ぞろぞろと保健室を後にする

賑やかに話しながら



「やっぱり、ターミナルドグマまで来ると苦戦したよなぁ」

「僕らはマトリエルに遭遇しちゃって、あの時が一番辛かった」

「あたし達はラミエル!!洒落にならなかったわよ!!」

「ワシらはサキエルや。本気で死ぬかと思うた!」

「まぁ、みんな無事だったんだし・・・・・」

「「「あんまり無事じゃない」」」

「ねぇねぇ、試験も終わったんだし」

「明日何処か遊びに行こうって言うんだろ?
試験明けくらいゆっくり休もうぜ。明後日か明々後日あたりで良いんじゃないのか?」

「・・・・そうだよ」

「何よ!!?別にあんたは来なくて良いじゃん!!」

「へっ!!頼まれたって行くもんかよ!!」

「・・・・・でも、明日は休んだ方が良いと思うわ」

「どうして?」

「みんな、頑張ったから」

「やっぱ綾波さんは良い事言うなぁ。マナとは人間としての位が違う!!」

「・・・・・・・・そこまで言うことないんじゃないかな?」

「でも、あたしも明日はパス。のんびりしたいわ」

「ぶ〜。じゃ、他のみんなは?」

「・・・・・僕は、遠慮するよ」

「ワシも」

「俺も、勘弁してくれ」

「・・・・・・・ごめんなさい」

「わ、私で良ければ付き合おうか?」

「・・・・・いーよいーよ。ありがと洞木さん。気持ちだけは受けとっとくわ。
夏休みもあるんだし」

「夏休みは補習があるよ。夏休みの半分くらいかな?」

「・・・・・嘘」

「参加は自由だけど、補習に出なかった生徒は大抵卒業できないって言われてるみたいだし」

「この時期に補習に出なくてなんとかなる奴なんて、正真正銘“勇者”よね。
多分、世界が救えるわよ」

「・・・・・・・そんなぁ」



笑い合いながら、寮の前で別れた

シンジはくたくたになった身体を引きずって、自室に倒れ込む

倒れた拍子に、傷口が死ぬほど痛んだ

何とか着替えて、食堂へ向かう

食堂からは早くもトウジとムサシの大声が聞こえてくる

相変わらず、素早いと言うか何と言うか・・・・・・

そんな日常に苦笑しつつ、シンジは食堂へ足を運んだ

歓声が聞こえてくる

今日のトウジとムサシの勝負は何なのだろうか?

丼飯の大食い・早食いから始まり

牛乳1リットル一気飲み勝負とか

生卵ジョッキ一杯早飲み勝負(最高記録:13個)とか

色々勝負のネタは尽きないらしい

これも、この学園生活の醍醐味(?)かもしれない



「賑やかだね。今日は何やってるの?」

「お、シンジか。遅かったな、もう始まってるぜ」

「今日は何をやってるの?」

「“鼻からスパゲティー、何本食えるか”勝負」

「ぶっ!!」



ケンスケの言葉に、シンジは盛大に吹いた

人垣の向こうでは、トウジとムサシが馬鹿らしい勝負を繰り広げているのだろう



「・・・・・よくやるよね」

「そうだね」

「あれであいつら仲良いんだから不思議なんだよなぁ」

「喧嘩するほど仲が良いなんて言うのとはちょっと違うような気がするけど」

「ま、いいじゃん」



そう、いいじゃないか

残りの学園生活は半年と少々なのだ

今日は大きな壁を乗り越えた

息抜きをしたって、誰も文句を言やしない

ゴング代わりに茶碗を箸で叩く音が聞こえてきた

トウジが吼えている

どうやらトウジの勝利に終わったようだ



「よくやるよ」



ホントにな





つづく





後書き

期末試験のくだりでした
う〜ん、壮絶な試験ですね

それにしても鼻からスパゲティ・・・・・・
考えただけで、鼻の奥が痛くなりそうです・・・・・・