「・・・・・・・ぁ・・・ぁあ・・・・・・・・」
からん
シンジの手から、御霊鎮が滑り落ちた
目の前には、血の池の中に蹲るカヲルの姿
「・・・・・・・・・やはり、君は強くなったな・・・・・・・・」
「どうして・・・・・・・どうして!!?避けれないはずがないのに!!!」
「・・・・・・・・・・・・・まさか・・・・・・・君には、勝てないと言うことさ」
カヲルは、ふらつきながらも身を起こした
そして、レイが横たわっている祭壇に歩み寄る
「ぐっ・・・・・はぁ、はぁ・・・・・・・」
そして、そこに首に下げていたロケットと荒御霊を置く
「これが・・・・・・最後の仕事だ・・・・・・・・・・
済まない、サヲリ・・・・・・・・・共に生きることはできないようだ」
ATフィールドを振り絞り、紅い神殺しの槍をアダム目掛けて投げつけた
君に吹く風
2月28日:大切な人・後編
アダムが吼えた
凄まじい絶叫のようだった
槍に貫かれた胸が盛り上がり、何かが出てくる
「・・・・・・・さぁ、サヲリ・・・・・・・・」
それは、サヲリだった
肉体を持ったサヲリが、アダムの中から出てきた
カヲルは落ちてくるサヲリの身体を受け止めると、白い裸体をコートで包む
「・・・・・・・シンジ君・・・・・・」
「カヲルさん!!!」
「・・・・・・・・・・聞いてくれ・・・・・・・・・
・・・・・・彼女は無事だ。それよりも、早く脱出しなければならない・・・・・・・
アダムの覚醒は阻止できたが・・・・・・・・・アダムが死ぬ間際に大量の使徒を産むだろう。
・・・・・・・・・彼女を連れて、逃げるんだ・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・そして、サヲリを・・・・・・・・・・」
「そんな!!!勝手な事言わないでくださいよ!!!
サヲリさんと一緒に生きるんじゃなかったんですか!!!?
今すぐ、手当を受ければ助かります!!だから・・・・・・・・・・」
シンジの言葉を無視して、カヲルは話し続けた
「本当のことを言うと・・・・・・・・・君に、止めて欲しかったんだ。
狂気の果てに得た生の中で、サヲリと安息を得ることは・・・・・・・・・できなかったと思う。
・・・・・・・・だから、ありがとう。止めてくれて・・・・・・・・」
「そんなことより、今は早く治療を!!!」
「一度、再生不可能なダメージを受けてしまうと、僕の肉体は崩壊に向かってしまう」
「!!!!」
シンジが掴んでいた肩から、感触が消えた
次の瞬間、肩の肉が千切れ、腕が床に落ちた
血は流れない
肉が崩れてゆくだけ
「・・・・・・・・そんな・・・・・・・まさか、カヲルさんも・・・・・・・・」
「そう・・・・・・・改造人間なのさ。僕も、サヲリも・・・・・・・・
でも・・・・・・・・・・・・君のこと、好きだったよ」
「・・・・・・カヲルさん・・・・・・」
「一つ・・・・・・頼みたい事がある・・・・・・・・・・」
虚ろな瞳でシンジを見上げ、カヲルは呟いた
「・・・・忘れないでいてくれ、僕のことを・・・・・・・
・・・・・・・・君は、僕にとって、最初で最後の友人だった・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・君と過ごせた時間は、楽しかったよ・・・・・・・」
「忘れない!!!!
絶対に忘れたりしないよ!!!!!」
カヲルの緋色の瞳から、一筋
涙が流れ落ちた
「・・・・・・・・・・・君に会えて嬉しかった・・・・・・・・」
「カヲルさん!!!!」
「さよなら・・・・・・・・サヲリを、頼むよ・・・・・・・・・・・」
その言葉を最後に、カヲルという存在はこの世から消えた
唯一、彼の消え去った肉体から、真紅のコアが残った
「う、う、う、うああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
<第4迷宮昇降口>
「!!アダムの波動が消えました!」
「シンジが、勝ったのか!?」
「恐らく・・・・・・でも、アダムがそう簡単に終わるとは思えませんし・・・・・・・」
「油断はできない状況だな・・・・・・・・・・・」
<最下層>
「・・・・・・・・シンジ・・・・・・・・」
「・・・・・・・くっ・・・・うぅっ・・・・・・・」
シンジは、泣いていた
憧れていた人を、自分が殺してしまった
そうすることは、恐れていないはずだったのに
「脱出しましょう。いつまでもここにいるのは危険だわ」
「・・・・・・・・・・うん」
「シンジはレイをお願い。私はその子を運ぶから」
シンジは、祭壇に寝ているレイに近寄った
軽く頬を叩いて、肩を揺さぶる
「・・・・・綾波・・・・・・綾波!!!!」
「・・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・ぃ・・・・・碇君?」
「良かった・・・・・・・無事だったんだ・・・・・・・・・」
「碇君!!!!!」
レイは、シンジに抱き付いた
泣きながら、震えながら、シンジの名を呼んでいる
「・・・・・・怖かった・・・・・・・怖かった・・・・・・・・」
「もう、大丈夫・・・・・・・・・大丈夫だよ。綾波」
その姿を見て、アスカは複雑な表情だった
声を掛けるのは躊躇われたが、ぐずぐずしているわけにもいかない
「シンジ!!急いで!!!」
「わかった!!!」
シンジはレイを抱きかかえ、カヲルのコアとロケットと荒御霊を掴むと、来た道を走り始めた
アスカと並んで、一目散に階段を目指す
遠くから、轟音が聞こえた
「き、来た!!!!」
「くっ!!早いわ!!!」
「碇君、アスカ!!一体、何が起こってるの!!?」
「あたし達にもわかんないわよ!!でも、今は逃げなきゃいけないって言うのは確かね!!!」
階段目指して、二人は走る
しかし・・・・・・・・・・・・
「階段が、崩れてる!?」
「シンジ!!エレベーターを捜すわよ!!!」
「わかった!!!」
エレベーターが動いている可能性は少ない
それでも、諦めていては何もできないのだ
二人は、また走り出した
徐々に、轟音が近づいてくるような気がする
「あそこよ!!!」
アスカがエレベーターを見つけたとき
使徒の群は二人の背後、百数十mの所まで迫っていた
「何とか、動くようね。シンジ!!早く乗って!!」
「わかった!!!」
シンジは、エレベーターに乗り込んだ
そして、アスカの方に手を伸ばす
「この子を!!!」
「アスカ!!?」
サヲリを、シンジの腕目掛けてアスカは投げた
そして、エレベーターのドアに背を向け、剣を抜く
「アスカ!!!早く!!!」
「・・・・・・・・・ごめん、シンジ。あたしは、行けない」
「な、何言ってるんだよ!!?」
アスカは、振り返らなかった
迫る使徒を睨み付け、そのまま独白する
「・・・・・・・レイ!!」
「・・・・・・・・・アスカ・・・・・・」
「あたしさ、あんたのこと、見捨てようとしたの」
「そんなことは、どうだって良いの!!!アスカ、急いで!!!!」
「良くないわよ!!!」
レイの叫びを、アスカは打ち消した
泣いていることに、シンジ達が気付くことはなかった
アスカは、振り返らない
「・・・・・・・あたしにとって、これはけじめだから。
シンジも、レイも、あたしにとって、すごく大切な存在だから。
だから、護り通してみせる!」
「やめるんだ!!!アスカ!!!!」
「・・・・・・・ごめん、シンジ。
あたしは、護られてばかりの女の子でいたくないから、
自分で大切な人を護ることができるくらい、強くなりたいから・・・・・・・・」
エレベーターの中に身体を入れると、シンジに押しつけるようなキスをした
そして、スイッチを押す
「じゃぁ、後でね。シンジ、レイ」
締まり掛けるドアをシンジは戻そうとした
しかし、アスカがドアの隙間に放ったATフィールドが、シンジの指を弾き飛ばした
エレベーターが閉まる
閉まったドアを、アスカはそのまま見つめていた
そして、涙を拭って振り返る
「さぁて、ここからが正念場なんだから!!!」
迫ってくるのは、いずれも上級使徒ばかりだ
アスカはシルファングに組み込まれているプログレッシブ・エッジの電源を入れる
淡い光に包まれた刀身が、易々と使徒の首を刎ねる
「もう、あたしは逃げたりしない!!!!」
孤独な死闘の幕が開いた
されど、死は望まない
生きるために、彼女は戦う
最凶の敵
自分自身との、最後の戦い
<発令所>
「学園長!!最下層に、羽化反応!!」
(こちら学園長、状況は!?)
「最下層に、羽化反応を確認しました。
総個体数、001〜823までを確認!!!」
(MAGIの予想では何分後に地上に出る!!?)
「そ、それが・・・・・・・最下層で止まっています・・・・・・誰かが、戦っている?」
(何だと!!!?)
ゲンドウは、それをシンジ達だと思った
その時、非常回線から声が聞こえた
「こちら発令所!!」
(こちら、碇シンジ!!緊急です!!迷宮昇降口に救護班の手配を!!)
「発令所、了解!!第4迷宮昇降口に行きなさい!!!
学園長とユイさんが居るから、そこが一番手薄なはずよ!!!」
(了解!!)
<第4迷宮昇降口>
「ぬ?新手か?」
「あなた・・・・・・・アレは、シンジですよ!」
迷宮昇降口から這い出てきたのは、シンジだった
レイに杖代わりの御霊鎮を手渡し、腕にはサヲリを抱えている
「シンジ!!」
「父さん、状況は!?」
「校内、及びジオフロントのそこら中で交戦中だ。その娘は?」
「・・・・・ごめん、詳しい話は後でするから。僕は、もう一度最下層へ行きます!」
「待て、シンジ!!
このままの状況が続けば、第三新東京市に空爆が始まる!!」
「・・・・・・・・それでも、行きます」
確固たる意志の強さがそこにはあった
サヲリをゲンドウの腕に預けると、シンジは迷宮昇降口へ向かう
「・・・・・・・・・・・・・アスカを、迎えに行かなきゃ」
「碇君、私も行くわ」
「綾波・・・・・・生きて帰れないかもしれないんだよ?」
「それでもいい」
「わかった。一緒に行こう」
シンジは、御霊鎮を荒御霊を持つと、再び迷宮に消えた
レイも杖を片手に後を追う
「っ!!馬鹿が!!!」
<セントラルドグマ:第1階層>
「エレベーターが・・・・・・動かなくなってる」
「階段で行くしかないわね」
「・・・・・・・40階層を一気に突破か・・・・・・・新記録だろうね」
「行きましょう!」
「うん!!」
二人は、走り出す
「たあああぁぁっ!!!」
使徒など、シンジが振るう御霊鎮と荒御霊の二刀流の前には全くの無力だった
レイもそれに続く
アスカと同じ、心に小さな棘を感じながら
<第1迷宮昇降口>
ばったり
トウジとムサシが倒れた
既に二人ともずたぼろだ
トウジの雷怨は完全に砕けている
ムサシのアークロイヤルも半ばあたりでへし折られていた
他の生徒も同じ様な有様だ
後衛の面々もその場にへたり込んだ
弾薬もそろそろ打ち止めなのだ
ヒカリのコアはとうの昔に電池切れ
「・・・・・・・・お、終わったんかのう・・・・・・・・」
「さぁな・・・・・・・出てこないんなら、終わったんじゃないのか」
ぼやく二人
空の使徒を始末し終えたマユミが、降りてきた
しかし、それは降下ではなくほとんど墜落だった
地面に倒れ伏したまま、ぐったりと動かない
「・・・・・・山岸・・・・・さん」
「・・・・・はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・思ったより、負担が大きかったです」
「でも、良かった・・・・・・生きてて・・・・・・」
ふらふらと、ヒカリが救急道具を抱えてトウジに歩み寄った
「鈴原・・・・・・・」
「おぅ、委員長」
「・・・・・・酷い怪我・・・・・・」
「あぁ・・・・・・えろう、きつかったからなぁ」
「手当、するね・・・・・・」
傷だらけの手で、ヒカリはトウジの手当を始めた
ふと、重要なことを思い出して、ヒカリは聞いた
「鈴原!!ベルセルクはどうなの!?」
「ベルセルク・・・・・・・・?
あぁ、そういやそんなんもあったのう」
「だから、どうなのよ!!!」
「何ともあれへんで」
「じゃあ・・・・・・・・直ったんだ・・・・・・・」
「さぁ、な。ま、仲良うやっとるんやろ」
トウジは、自分の胸に手を当てて、にやっと笑った
そんな様子を、ムサシはぶすっとした顔で眺めていた
面白くない
どうして、マナは来てくれないんだ
「む〜さ〜し〜」
遠くから、自分の名前を呼ばれた
間違いなく、マナだ
「ちょっと、助け起こしに来たりしてくれないの〜・・・・・・・・
こっちはもう、ずたぼろなんだから〜・・・・・・・・」
「こっちだって、相当ずたぼろだぜ・・・・・・・・」
ムサシはふらふらを起きあがると、マナの隣に座ろうとして
「きゃあああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「ぐっはあああああぁぁぁっ!!!!!!!!」
足がもつれて、よりによってマナの上に倒れてしまった
当然、マナの肘が急所に叩き込まれる
のたうち回るムサシ
本気で死ぬかと思った
「・・・・・・ば、ば、馬鹿ヤロォ・・・・・本気で死んだらどうするつもりだよ・・・・・・」
「ば、馬鹿!!あんたがいきなりあんなことするから・・・・・・・」
「あんなことってどんなことだよ?」
「馬鹿!!もう良いわよ!!!」
ムサシは気付いていない
微かに、掠めるようにだが、唇が触れ合ったことに
「よっし、それじゃ最後の一仕事を終わらせに行こうぜ」
「へ?何だよ?それ」
「決まってるだろ?」
ニヤリと笑って、ケンスケは言った
「シンジ達を迎えに行くんだよ」
<セントラルドグマ:第10階層>
「やっと、10階層か・・・・・くそっ!!!」
「碇君。焦らないで。冷静な判断力を失ってはいけないわ」
「わかってる・・・・・・けど、一刻も早く行かないと、アスカが!!」
「大丈夫、きっとアスカは大丈夫よ」
その言葉を保証する物は何もない
<最下層>
「だぁぁぁぁっ!!!!!」
アスカは、戦っていた
あれから既に1時間は戦い続けている
それでも、使徒は幾らでも出てきた
「こん畜生ぉぉぉぉぉ!!!」
新しい電池を柄頭に突き刺し、プログレッシブ・エッジの電源を入れる
光の刃が振り回されるたび、使徒が斬り裂かれてゆく
ぼろぼろの装具と、全身に降りかかる返り血が、その戦いの壮絶さを現していた
「くっ、あんた達なんかにっ!!!!」
目の前に出てきたゼルエルの攻撃をかわし、アスカは呪文を詠唱する
「スラッシュプログラム・ファンクション!!フィールドレベル:13!!!
ドレッドノート・アヴェンジャー:ドライブ!!!!」
アスカに放てる、最強の魔法だった
「負けてらんないのよ!!!!あたしは生きて帰る!!!!
約束したんだから!!!!」
フェンリルの爪の一閃に、ネックレスが千切れ飛んだ
思わずそれを追ったアスカの腕に、牙が突き立てられる
絶叫
<ターミナルドグマ:第20階層>
「綾波!!今何階層!!?」
「20!!!あと半分!!」
「わかった!!急ぐよ!!!!」
<第4迷宮昇降口>
「・・・・・・・あなた、この子も・・・・・・」
「わかっている。改造人間だ」
「始末しますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「この波動、アダムと同じ物ですよ」
「アダムの改造人間か・・・・・・・・・・・・」
ゲンドウは、黙って気絶しているサヲリに背を向けた
ユイは驚いて声を掛ける
「あなた!どうするんですか!?」
「シンジは、手当をしてくれと言ったのだ。何故、殺さねばならん?」
「はぁ」
ユイは溜息をついた
「あなたは、優しいのか、それとも甘いのか、ホント区別が付きません」
「両方だろうな」
ゲンドウは、歩き出した
「あなた。何処へ?」
「シンジを助けに行く。それに、アダムの状況を確認に行かねばならん」
「・・・・・・・・・・親ばかですね」
「なんとでも言ってくれ」
「現場指揮はどうするんですか?」
「冬月に任せる。
怪我をしているそうだが、大したことはないだろう」
一方的に決めつけて、ゲンドウは歩く
「そういうところ、可愛いですよ」
二人で、地下迷宮に向かった
「・・・・・・・・・・兄・・・・様・・・・・・・・・」
<ヘヴン:第30階層>
「後10階層!!!」
「どけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!」
眼前の使徒の群を屠るは、御霊鎮と荒御霊の一閃
「早く、急がないと!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
どうして、そこまで必死になれるんだろう
レイの心の中で、刺さった棘は大きくなってゆく
<第2迷宮昇降口>
「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・・・も、駄目」
「・・・・・・・俺もだ・・・・・・・あぁ〜、疲れたぁ・・・・・・・・」
大の字になってばたりと倒れ込むのはミサトと加持
リツコはまだ周囲を警戒している
シンボリックな白衣は、既に返り血と埃で白さを失っている
「・・・・・もう、終わったかしら・・・・・・・・」
「さぁね」
「・・・・・・・・・・いえ、終わったみたいよ」
周囲に敵性反応はない
リツコも安心して、その場にへたり込んだ
発令所と連絡を取る
「発令所、こちら赤木。状況は?」
(先輩!!無事ですか!!?)
「私は何とかね。マヤ、状況はどうなってるの?」
(ジオフロント内の使徒の殲滅は、ほぼ完了しています。ただ・・・・・)
「何かあったの?」
言い淀むマヤに、リツコは問いつめる
マヤは、呟いた
(地下迷宮に、まだ生徒が・・・・・・・)
「誰が!!?」
(ここで特定することはできません)
「迷宮内のエレベーターは生きてる?」
(全滅しています。配電系統を修理すれば、何とか生き返るかもしれませんが・・・・)
「わかったわ。ありがとう」
通信を切った
リツコは杖を握りしめると、ミサトと加持に言った
「二人とも起きなさい!!地下迷宮に行くわよ!!!」
「う、嘘でしょ?」
「一体、何があるんだ?」
「生徒が数名、地下迷宮の中にいるわ」
「「何だって!!!?」」
「今すぐエレベーターの配電系統を修理するから手伝って!!!」
三人も、地下迷宮に入る
<エレベーター前>
「あ、ミサトセンセに赤木センセ。加持センセも」
「今頃来てくれたんですか?」
「何をしているの?あなた達」
「エレベーターの修理だよ」
そこに居たのは、
トウジ
ケンスケ
ヒカリ
マナ
ムサシ
ケイタ
マユミ
ユイ
そして、エレベーターの天井から、ゲンドウが逆さまに顔を出した
その顔は埃で真っ黒に煤けている
「大人数なのでな、一機では足りない」
「まさか・・・・・・・・・あなた達全員・・・・・・・」
「もっちろん!」
「学園長に状況は聞きました。最下層に行ってシンジ達を助ける。それだけですよ」
「まったく・・・・・・・・」
呆れた
その感情を全身から発散させて、リツコは言う
「学園長。代わりますよ」
「しかし・・・・・・・・・・」
「専門家に任せてください。加持君はそっちのエレベーターを」
「OK!」
「あの、俺達は何をすれば・・・・・・・」
「装備の交換を急ぐ!!!修理なんて30分程度で終わるわ!!!」
「「「「「「「「「「りょ、了解!!!」」」」」」」」」」
突っ立っていた生徒達と、何故かミサトとゲンドウとユイまで復唱し、
一同は慌てて購買に走った
「やれやれ・・・・・・・・」
「リッちゃん。ホントに30分程度で終わるのか?これ」
「終わらせてみせるのが、専門家の意地よ」
「・・・・・・・・・・俺、専門家じゃないんだけど」
「嘘を仰い。日本政府内務省調査部所属加持リョウジ。
春のセントラルドグマ停電も、あなたの仕業でしょ?
数年前からこの学校に勤務する振りをして、日本政府に情報を流していた。
嫌気が差していた仕事だけど、無視するわけにもいかないので仕方なく停電させた。
復旧ルートを辿って地下迷宮の構造を探ろうとしていた。
そんなところでしょ?」
加持が溜息をつく声が聞こえてきた
「バレバレか。リッちゃんに隠し事はできないな。葛城も、知っているのか?」
「いいえ。今のところ気が付いているのは私だけよ」
「司令でさえも気が付かなかった真実に、良く気が付いたね。流石、としか言いようがない」
喋りながらも、二人は作業を続ける
「ま、この学校に勤務し始めたのは、確かにそういう仕事だったからな。
葛城がいてくれたお陰で、怪しまれずに済んだよ」
「・・・・・・・ミサトを、利用する気持ちしかなかったの?」
「そんなことは無いぜ。
ま、さっきリッちゃんが言ったように、この仕事にもいい加減嫌気が差していてね。
まぁ、この学校に骨を埋めるのも悪くないかと思ってる」
「勝手に死んだら、ミサトが許さないわよ」
「おいおい、死人にどうやって?」
「自分も死んで、地獄の底まで追いかけて行くでしょうね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その言葉に、加持のこめかみに冷や汗が伝う
「・・・・・・・・・・葛城なら、やりかねないな」
「まぁ、今は口よりも手を動かすことが先決よ」
「OKOK。帰ってくるまでに済ませるさ」
二人は、作業を進める
リツコが、ふと加持に聞いた
「ねぇ、加持君」
「どうした?」
「ミサトを幸せにしなかったら、許さないわよ」
「了解。最優先任務として遂行します!!」
最後の最後まで、加持は戯けていた
<最下層>
「アスカぁぁーっ!!!!!!!!!」
シンジの叫びが木霊した
最下層は、使徒の亡骸で足の踏み場もないような状況だ
返事は返ってこない
「アスカ!!何処に居るんだよ!!!?返事、してよ!!!」
帰ってくるのは、木霊ばかり
シンジは、走った
そこら中を隈無く捜索した
しかし、アスカの姿はない
残るは・・・・・・・・・・・・・
「この奥・・・・・しかない」
アダムが封印されていた巨大な扉
アスカと共にここに来たときのように、閉められている
でも、もしこの向こうにいなかったら・・・・・・・・・・・
「碇君・・・・・・もしかしたら、アスカは・・・・・・」
「そんなこと無いよ・・・・・・・そんな事言うなよ!!」
「・・・・・・・ごめんなさい」
レイの心の中で、棘はどんどん大きくなってゆく
シンジは、扉の横のコンソールを操作しようとして・・・・・・
「そんな・・・・・・・・」
コンソールには、何も表示されていなかった
キーを叩いても、何の反応もない
電源が断たれているのだ
「ここまで来たのに・・・・・・・・どうしようもないなんて・・・・・・・・」
「・・・・・・・・碇君・・・・・・・・」
「うわあああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ガキッ!!!!
御霊鎮を扉に叩きつける
荒御霊もだ
「エッジプログラム:ファンクション!!フィールドレベル:13!!!
天破・風塵閃:ドライブ!!!!!」
御霊鎮と荒御霊が生み出す圧倒的なエネルギーを叩きつけても
全ての希望を断つように漆黒の門扉はびくともしなかった
「・・・・・・・・どうして・・・・・・・・畜生畜生畜生畜生畜生!!!!!!」
何度も、何度も、シンジは扉を斬りつける
レイは、何もできなかった
心の棘は、どんどん大きくなってゆく
それどころか、
(このまま、諦めればいいのに)
とさえ、考えている
とうとう諦めたのか、シンジは扉の前で刀を取り落とした
座り込んで、扉に拳を叩きつける
「約束したのに・・・・・・・・卒業したら、三人で旅に出ようって、約束したのに・・・・・・」
そう、いつかそんな約束をした
ね、私達、卒業したらさ。三人でレイの故郷を探しに行かない?
ついでに未発掘の遺跡を探索したりしながら世界中を旅してみない?
・・・・・・・・でも・・・・・・
夢は大きい方が良いじゃない。シンジだって、勿論手伝ってくれるわよね
うん、そうだね
よぉっし!!じゃ、卒業したら、三人で世界中を旅するわよ!!約束だからね!!
「・・・・・・・・アスカ・・・・・・・・」
レイが呟く
何故だろう
心の棘が抜けた
レイは素早く辺りを見回す
そして、視線の先に目的の物を見つけた
切断された、青白い光を撒き散らしているケーブル
レイは、覚悟を決めた
「碇君」
「・・・・・・・・・」
「碇君!!」
「・・・・・・・・・何?」
「コンソールの前に行って」
「・・・・・・何をするの?」
「アスカを、助けるの」
「・・・・・・どうやって?」
「電源を入れるわ。短い間だから、焦らないで正確な入力を」
そう言って、レイはいきなりケーブルの切れ目を“掴んだ”
高圧電流がレイの掌から流れ込む
その予想以上のショックに、レイはすぐに手を離してしまった
しかし、一瞬だけ電源が入った
間違いなく、このケーブルだ
「綾波!!何をしてるんだよ!!!」
「碇君は動かないで!これは、私の覚悟・・・・・・・」
衝撃で痺れた掌を擦り合わせ、レイは荒い息をつきながら独白する
「私も、アスカを見捨てようとしたから。
アスカは、私達を命懸けで助けてくれたのに、私は、アスカを見捨てようとしていた・・・・・・・
でも、今度は、私がアスカを救ってみせるわ」
「だからって、無茶だ!!!やめろ!!!綾波!!!」
「碇君、後、お願い」
レイは、意を決してもう一度ケーブルを掴んだ
高圧電流が身体を貫き、悲鳴が迸る
そして蘇るコンソールの表示
GOD’S IN HIS HEAVEN
そして、「LOCK」の表示
シンジは震える指でキーを叩く
一回でも間違えるたび、指の震えはどんどん大きくなっていく
「落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け!!!!」
自分に何度もそう言い聞かせる
次のキーが何処にあるのか、分からなくなるたびに叫びそうになる
それでも、シンジは打ち込む
扉を開けるパスワード
アスカを救う希望の呪文
ALL’S RIGHT WITH THE WORLD
ピー
その音と共に、「LOCK」が「UNLOCK」に変わる
ゆっくりと、扉が開いてゆく
「ぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」
「くそぉっ!!早く、開けよ!!!」
シンジは、何とか開き掛けの扉に身体をねじ込ませた
人一人通るには十分な隙間ができた
「綾波!!!もう良いよ!!!扉は開いた!!!!」
シンジの涙声に、レイはケーブルから手を離す
そのまま、後ろに倒れ伏した
その姿を見たシンジは、レイに駆け寄る
「綾波!!!」
「・・・・・・・・・碇君・・・・・・・・アスカを・・・・・・・・・」
「でも、綾波は・・・・・・・・」
「私のことは良いから・・・・・・・・早く・・・・・・・・・・・・・」
シンジは、扉の隙間に身体を滑り込ませた
そして、真っ暗な広間で見つけた
「・・・・・・・・アスカ?」
アスカは、そこにいた
跪き
剣に寄り掛かったような姿勢で
俯いて
動かない
「アスカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
シンジは、動かないアスカの身体を、思いっきり抱きしめた
アスカの身体は、冷たい
「ごめん・・・・・ホントに、助けられなくて・・・・・・・・・アスカぁ・・・・・・・・」
シンジの嗚咽が、広間に響いてゆく
「・・・・・・・・・・・ぃ・・・・・・・」
何かが、聞こえた
しかし、アスカの身体をしっかり抱きしめて泣いているシンジは気付かない
「・・・・・っ・・・・・・・・・ぃ・・・・・・・・!」
びくっ
アスカの身体が微かに動いた
それでも、シンジは気付かない
「とっとと離れろって言ってるのよ!!!!!!この馬鹿シンジ!!!!!!!!!!!!!!!」
目が点
シンジは、腰を抜かしていた
「ア、アスカの死体が動いた・・・・・・・・」
「勝手に殺すなぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!」
げしっ
顔に蹴りが入る
しかし、その動作はあまりにも弱々しい
「・・・・・・・・・・そんな・・・・・・・あんなに冷たかったのに・・・・・・・・」
「何か、冷気吐く奴がいてさ、浴びちゃったからじゃないの?」
「・・・・・・・・生きてるんだ・・・・・・・」
「死んでるように見える?」
「アスカ!!!!!!」
シンジは、再び抱き付いた
途端、アスカが悲鳴を上げる
「〜!!!!!!痛い痛い痛い!!!!!
あんた、それが満身創痍の女の子に対する接し方!!!?」
突き飛ばされた
「それに全身筋肉痛で、痛くって痛くって・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・そうだったんだ・・・・・・ごめん」
「馬鹿・・・・・・・・振り解けないくらいしっかり抱き締めてくれればいいのよ」
その言葉は、シンジの耳には届かなかった
そして、扉の隙間からレイが入ってくる
「レイ!!無事だったのね!?」
「アスカも・・・・・・・良かった・・・・・・」
レイが、泣いていた
初めて涙を流した
「・・・・・・・ありがとう、アスカ。助けてくれて」
「あたしこそ、レイに助けてもらったわ。ありがと」
そう言って笑い合う二人
シンジには、理解できないやりとりだった
「じゃあ、帰ろうか」
「そうね」
「やっと、終わったのね・・・・・・・・・」
シンジは、祭壇の方を見た
そこには、カヲルの服が残っている
「カヲルさん・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・碇君。あの人は・・・・・・・?」
「僕が、斬った。カヲルさんも、それを望んでいたから」
「そぅ」
レイは、それ以上何も言わなかった
アスカは、シンジの腕の中に収まると途端に気を失った
狭い扉の隙間を通って、帰ろうとする
扉から出て、数歩歩いたところで
いきなり扉が閉まった
非常用電源でも入ったのだろうか
コンソールの表示も生き返っている
そして、その表示は
EMERGENCY
ここまで来て、何かが待ち受けていようとは
考えてもいなかった
<発令所>
突然の警報に、職員達は大慌てだった
冬月が叫ぶ
「何だ!!?状況を報告せよ!!!」
「ヘ、ヘヴン最下層に、強力な羽化反応が・・・・・・・」
「最下層にだと!?数は!!?」
「一つです!!」
「まさか・・・・・・・・・・」
冬月の顔から、血の気が引いてゆく
杖、ヴェイン・デザイアを握り締めると、発令所を飛び出した
「碇!!やはり、私も行くべきではないか!!!」
傷が痛むが、襲い来る恐怖は傷の痛みなど吹き飛ばした
「アダムが、蘇る!!!」
<最下層>
「何?まさか、使徒!!?」
「あぁぁぁ・・・・・・・・・」
「どうしたの!?綾波!!」
「違う・・・・・・・使徒なんかじゃない・・・・・・・次元が違いすぎる・・・・・・・」
「綾波!?何言ってるんだよ!!!?」
「・・・・・・・・これが、アダム・・・・・・・・」
ドゴォォン!!!!!!
「うわぁぁぁっ!!!!!!」
漆黒の扉が、打ち砕かれた
飛んでくる破片をATフィールドで防御したシンジ
そして、目の前に現れる
白い巨体
目が合った
「・・・・・・・アダム・・・・・・・」
そいつが、笑った
「くっ!!!」
シンジは、レイにアスカを預けると、両手に刀を構えた
そして、後ろのレイに向かって叫ぶ
「綾波は逃げるんだ!!!この状況を早く父さんに!!!」
「でも、それじゃ、碇君が・・・・・・・」
「僕のことは良いから!!早く!!!」
「今度は、あなたが私とアスカを見捨てるの!!!?」
レイは、動かない
アダムが巨大な拳を振り上げる
振り下ろす
その動作は緩慢だ
回避するのは簡単である
「たぁっ!!」
シンジが、斬りつけた
しかし、アダムの白い身体に御霊鎮と荒御霊の斬撃は、効果があるのだろうか
その巨大な体躯からすれば、シンジの付けた傷などちょっとした切り傷に等しい
「こ、こいつ!!!」
アダムの腕が代わる
三本指の鉤爪
サキエルの腕だ
光の槍をシンジ目掛けて撃ち込んできた
「う、うわあああぁっ!!!」
シンジは逃げる
普通のサキエルとは、スケールが段違いなのだ
数十倍のスケールの違い
砂ガギエルでさえ、これほど巨大ではなかった
しかも、光の槍の連射速度は速い
ドゴン、ドゴン、ドゴン、ドゴン
なんて、悠長なペースではない
ズドドドドドドドドドドドドドドド!!
という感じの速度だ
シンジに、為す術はない
「碇君!!」
「綾波!!逃げろ!!!」
アダムが、レイの方に振り向いた
そして、掌を向け・・・・・・・・・・
「綾波ぃぃぃ!!!!」
手を伸ばすシンジ
しかし、彼女の身体を引き寄せることは、決して敵わない
「碇君!!」
光の奔流がアダムの掌を押し流した
「ワォ、流石にすごいわ」
「派手な威力・・・・・・」
「技術開発部は優秀なのよ」
「そのようだな・・・・・・・・・予算について一考の価値がある」
呑気な会話が、通路にいるレイの後ろから聞こえてきた
アダムが吼える
その顔面に連射される銃弾が、強烈なパンチとなって襲いかかる
レイを押しのけて、ヘビーマシンガンを担いだ加持が姿を現した
「・・・・・・・よぉ、シンジ君。生きてるか?」
「加持先生!!?」
「はーい、私もいるわよ」
「どうやら、まだ足はあるようね」
「ミサト先生!?リツコ先生も!!」
「おっしゃぁ、ムサシ!!行っくでぇ!!!!」
「おうよ!!派手に行くぜ!!!」
「だから、そのセリフ、あたしのパクリ・・・・・・」
「トウジ!!ムサシ!!マナ!!」
「お待たせ、シンジ」
「ちょっと遅かったかもしれないけど、助けに来たぜ!」
「鈴原!!猪突猛進は避けなさい!!!」
「洞木さんも苦労が絶えませんね」
「ケイタ!!ケンスケ!!委員長!!山岸さん!!」
「アダム、元凶にして忌むべき存在め・・・・・・・・・」
「今度こそ、滅してあげましょう」
「父さん!!母さん!!」
猛攻だった
トウジとムサシとマユミが突っ込み
加持とミサトとマナとケンスケとケイタが射撃で援護する
リツコとヒカリは魔法で援護しつつ攻撃
ゲンドウとユイは、今は指示を出している
「みんな・・・・・・・」
「何、ボサッとしてるんだよ!!!」
「ボケとる暇があるんやったら、攻撃に参加せんかい!!」
「うん、わかった!!」
シンジも攻撃に参加する
敵はアダムのみとは言っても、流石セカンドインパクトの元凶となった使徒である
これだけの集団に襲いかかられても、びくともしない
「くそっ!!圧倒的に出力不足だよ!!」
「重火器とか、その類でなければ歯が立ちません」
「柔らかいのにな、くそっ!!」
「魔法なんぞ・・・・・・使う暇は与えてくれんし・・・・・・おりゃあ!!!」
「・・・・・・・禁呪ぐらいの力が有れば・・・・・・」
シンジがぼやいたときだった
通路の方から、冬月の声が聞こえてくるような気がする
いや、聞こえてくる
しかも、詠唱だ
「「「に、逃げろー!!!」」」
慌てて逃げるシンジとトウジとムサシ
マユミは慌てず騒がず、翼を使っていち早く退避した
「我、招くは奈落の炎帝。
ここに焦熱の儀式をもって其方を召喚せん。
其方が巻き起こすは奈落の底より燃え上がる紅蓮の火柱。
数多の命を淘汰せし滅びの業火よ。
汝、その普く厄より逃れること能わず!」
冬月が確かにそこにいた
アダム目掛けて杖を構えている
「イフリート・キャノン!!!」
紅蓮の火球がアダムを直撃する
「やった!?」
「いや、この程度で終わる相手ではない」
通路の奥では、レイとアスカが立ち上がろうとしていた
「アスカ・・・・・・大丈夫?」
「・・・・・・大丈夫よ。あたしも出るわ」
「わかったわ・・・・・・無理はしないで」
「えへへ、ありがと」
アスカは、エレベーター内に大量に積み込まれている武器の中から剣を一振り取ると、
前線に躍り出た
レイも援護に回る
そして、ゲンドウが指示を出す
「前衛は鈴原、谷口、惣流、山岸、奴の動きを引きつけろ!!」
「「「「了解!!」」」」
「中衛は加持、葛城、霧島、相田、河本、そのまま援護射撃に集中!!」
「「「「「了解!!」」」」」
「後衛、赤木、洞木、綾波は、シンジへ援護魔法を掛けろ!!」
「「「了解!!」」」
「シンジ!!
私とユイで奴の動きを止める!!
その刀なら、御霊鎮と荒御霊なら奴のコアを砕くことができる!!
一撃で決めろ!!」
「了解!!!」
「碇、私は・・・・・・・・」
「冬月、無理をするな。その傷ではさっきの一撃が全力だったのだろう」
「・・・・・・・・・・・」
「寿命が縮まるぞ。おとなしくしていろ。
そして新しい力は、この程度の障害に動じはしない!
状況開始!!
前衛、突撃!!!」
「「「「了解!!!」」」」
指示通り、前衛がアダム目掛けて突っ込んでゆく
未知の敵に対する恐怖心はない
トウジの拳が唸り
ムサシは剣を振るう
アスカも負けじと剣を繰り出し
マユミは夢魔を纏って鉤爪で切り裂く
「中衛!!」
「「「「「了解!!!」」」」」
加持のヘビーマシンガンが唸りを上げ
ケイタはほとんど攻城兵器のような弩を構える
ミサトとマナとケンスケは、三人揃ってポジトロンスナイパーライフル
「魔法!!」
「マジックプログラム:ファンクション!フィールドレベル:17!!
グレートヘイスト:ドライブ!!」
「マジックプログラム:ファンクション!フィールドレベル:13!!
フィールド・レインフォース:ドライブ!!」
「マジックプログラム:ファンクション!フィールドレベル:13!!
エッジ・シャープネス:ドライブ!!」
リツコとヒカリとレイの魔法が、シンジに掛かった
そして、ゲンドウとユイがシンジの前に立つ
「・・・・・・・シンジ・・・・・・頼むぞ」
「父さん・・・・・・・・」
「そんなに堅くならないの!
ゲンちゃんってば、緊張しちゃってるのよ」
「母さんは、もう少し緊張した方が・・・・・・・・」
「行くぞ!!ユイ!!!」
「えぇ!!!」
ゲンドウとユイが駆け出した
「共鳴はしない。一手で決める」
「了解・・・・・・できるの?」
「やるんだ」
「はいはい」
二人は飛んだ
そして、呪文の詠唱を始める
「「スペルコード:エントリー!!タイプ:ユニゾン・ダンス!!
エッジプログラム:ファンクション!!フィールドレベル:リミット!!!」」
「リミットだと!!馬鹿な!!何という無茶を!!」
「普通の武器で、しかも、あれほどの高純度のコアをリミットで解放するなんて!!!」
「父さん!!!!母さーん!!!!!!」
その叫びは、聞こえただろうか
それとも聞こえなかっただろうか
ゲンドウとユイは、強力すぎるエネルギーを蓄えた武器を振り下ろす
その、呪文と共に
「「夢想斬命・百花繚乱:ドライブ!!!!!!!」」
光の洪水だった
溢れ出す奔流はアダムだけに止まらず、そこら中を襲っている
「今だ!!シンジ!!!」
ゲンドウの声
圧倒的なエネルギーの奔流に、術者自身も巻き込まれている
そしてアダムを見ると、その胸が斬り裂かれていた
そこには巨大なコアがある
シンジは、御霊鎮と荒御霊を握り締める
「カヲルさん・・・・・・・・力を!!!」
シンジは飛んだ
自分の鼓動を感じながら
リツコの援護魔法のお陰で、全ての時間がゆっくりと流れているかのようだ
その中で、自分だけが素早く動くことができる世界
ヒカリによって強化されたATフィールドを展開し、アダムのコアを護るATフィールドを中和
レイが掛けてくれた魔法は、御霊鎮と荒御霊を数倍鋭くしている
シンジは、意識を集中した
アダムのコアの「力の流れ」を見切る
アダムだろうがレリエルだろうが、どんな存在にも「力の流れ」は存在する
一瞬で、シンジはそれを見きった
万感の想いを込めて、シンジは御霊鎮と荒御霊をコアに突き立てる
静寂
つづく
後書き
最終決戦、ラストです
今更のように思うのですが、
結局、このシリーズはLASとしては不十分だったかもしれません
次回は、とうとう卒業式です
だからといって、簡単には終わらないでしょうけど・・・・・・・