校庭のあちこちに戦いの爪痕が残っている

花壇は踏みつぶされ、植木は切り倒され、

校舎も窓ガラスが割れていたり、壁面にひびが入っていたり、

迷宮昇降口に至っては全壊という有様である

次学期までに復興できるだろうか?



結局、3月1日卒業考査はなくなった

しばらく地下迷宮は閉鎖だ

しかし、あの状況で戦い抜いた生徒達は、十分卒業するに足る力を持っている

それだけは、確かなことだ



そして本日は、ジオフロント立ネルフ学園、卒業式の日




君に吹く風


3月2日:卒業式




















<教室>



「・・・・・・今日で、卒業かぁ」

「波乱に満ちた一年間だったと思うけど?」

「えぇ、平穏が欲しくなるくらいだったわ」



外をぼ〜っと眺めながら、シンジとアスカとレイは話していた

その様子を見ていたヒカリが話しかける



「ねぇ。みんなは卒業したら、どうするの?」

「三人で綾波の故郷を探しながら世界中を旅するって、決めてるんだよ。
委員長は?」

「私は、ネルフに残るつもりよ。
あの、綾波さんの故郷って?」

「あぁ、綾波には・・・・・・・」

「私は、自分の産まれた土地を知らないから」

「えっ?」

「詳しくは話すと長くなるんだけど、綾波は産まれ故郷を知らないんだ。
だから、そこを探しに行こうって、三人で約束したんだ」

「そうなの・・・・・・・
でも、もし綾波さんは故郷が見つかったらどうするの?」

「・・・・・・・・わからないわ。ただ、知りたいだけなのかもしれない」

「へぇ・・・・・・頑張ってね」

「ありがとう。洞木さん」



握手を交わす、レイとヒカリ

アスカが、ぽつりと呟いた



「そうよ、ね・・・・・・・」

「アスカ?」

「あ、別に何でもないわよ!!」



首を傾げるシンジとレイ

念のため言っておくが、2日前の決戦の所為で、三年生は全員傷だらけである

それでも、一人も欠けることなく出席しているというのは流石というか何というか



「アスカ、何かあるんじゃないの?」

「べ、別に何でもないって言ってるでしょ!!」

「そう・・・・・・なら、良いんだけど・・・・・・・」



何となく、アスカの様子はおかしい

その様子に首を傾げるシンジとレイ

そうしていると、トウジとケンスケが教室にやってきた



「おっはようさん」

「おーっす」

「おはよ」



シンジは二人と挨拶を交わす



「今日で卒業だな」

「うん、ケンスケは、卒業後どうするつもり?」

「へっへー、実はアメリカの海軍への配属が決まってるんだ」

「すごいじゃないか!おめでとう!」

「へへ、サンキュー」

「トウジはどうなの?卒業後」

「ワシか?ワシはネルフに残るねん。
まぁ、格闘家なんぞ軍隊には向かんし、遺跡調査隊っちゅうのは性に合わん。
ベルセルクも心配やし、やり慣れたところが一番や。それに、妹もおるしな」

「トウジもネルフに残るんだ。委員長と同じだね」

「な!?委員長もネルフに残るんか!!?」

「そうだよ」



がくっ、と肩を落とすトウジ

その顔には、嬉しいのやら悲しいのやら、微妙な表情が張り付いている

結構怖い



「ま、まぁ、頑張ってね」

「やっほー。シンジ」



廊下で手を振っているのは、マナ達三人組とマユミ

シンジは廊下に歩いて出る



「今日で、卒業だね」

「うん」

「まぁ、十分暴れ足りたよな」

「ムサシは暴れすぎだよ・・・・・・・」

「うるせぃ」

「あ、おはようございます。碇君」

「おはよ、山岸さん」



ばらばらな挨拶を交わす

シンジはマナに聞いてみた



「マナ達は、卒業後はどうするの?」

「えっへっへー、よくぞ聞いてくれました!!」



得意げに胸を反らしてマナは言う

対照的に、ムサシとケイタは溜息をつく

マユミはいつもと変わらない・・・・・・・・僅かに微笑を浮かべているか?



「あたし達四人は、フリーの遺跡探索隊として人跡未踏の遺跡にチャレンジします!!」

「へぇ、そうなんだ!四人で?」

「そぉ!
オフェンスはムサシがいるし、
バックアップはあたし、
スカウトはケイタがいるでしょ、
魔法は山岸さん。
最強のバランスでしょ?」

「そうだね」

「やっぱり、戦自なんかとっとと見切りを付けてこっちに脱走した甲斐があったわ。
戦自の士官学校なんて卒業してもなんの感動もないもんね」

「そうなの?」

「あのな、シンジ。士官学校卒業したら軍隊に即編入されるに決まってるだろ?」

「結局、戦自からは抜けられないんだよ」

「そうだったんだ・・・・・・・山岸さんも付いて行くんだね」

「はい。夢魔の制御もかなりできるようになりましたし、
ネルフに残ろうかとも考えていたのですが、誘ってくださったので」

「そうそう。特にケイタの奴が熱心に・・・・・・」

「ム、ムサシ!!!」

「ケイタってかなり奥手だと思ってたのにねぇ・・・・・・意外」

「マナまで!!」

「あはは。
あ、ミサト先生だ」

「え?」



廊下の向こうからミサトが歩いてくる

珍しく遅刻していない

HRの時間通りだ



「じゃ、式の時にな!」

「後でね」

「では」

「うん、また後でね」



ムサシとケイタとマユミは自分のクラスに帰っていった

入れ替わるようにミサトが教室に入る



「はいはい、みんな席について!HR始めるわよ」



シンジ達は慌てて席に着く

教壇に立つミサト

普段はここでハイテンションな一言をかますのだが、今日はない

かわりに、静かに話し出した



「・・・・・・・・今日で、みんなも卒業ですね。
3年C組、39名。一人も欠けることなく、今日で、卒業です」



みんな、その言葉を静かに聞いていた



「今日という日を、待ち侘びていました。
その一方で、今日という日が永遠に来なければ良いとも思っていました。
貴方達は、私が受け持った生徒の中でも、とびっきり最高の生徒達でした。
みんなの、今後の活躍に期待します」



ミサトは、そう言って敬礼した

全員が立ち上がって、ミサトに答礼する



きっちり10秒間、そうして向かい合っていた



腕を下ろす



「9時から、卒業式です。
みんな、遅れないで、ちゃんと、せいれ、整列、しておきなさい、い、いいです、ね?」



返事も待たずに、ミサトは教室を飛び出していった



「・・・・・・・・ミサト先生。泣いてたね」

「・・・・・・そうね・・・・・・」

「・・・・・・・・・・私も、今は少し泣きたい気分だわ」










<体育館:卒業式>



そして、卒業式が始まった

どこの学校でもあるような、ごく普通の、在り来たりな卒業式だったと言っても良い

感極まって泣き出す生徒もいた

教員の中にも、泣いている者がいた

今年一年間は、ジオフロント立ネルフ学園にとって激動の一年間だったと言っても良い

教員にとって

生徒にとって

お互い、教師と生徒という立場を越えた関係



戦友だった



壇上で、ゲンドウが卒業証書を渡している

ミサトが言った言葉の意味が、わかるような気がした



“今日という日を、待ち侘びていました。

その一方で、今日という日が永遠に来なければ良いとも思っていました”



別れは、辛い

それでも、いつかはやってくるものなのだ



静かに、卒業式は進んでゆく

碇ゲンドウ学園長は、いつも通り口数が少なかった

冬月コウゾウ理事長も、珍しく短い話だった

第三新東京市市長や、戦略自衛隊総司令は来ていない

第三新東京市は、冬月の禁呪のせいで、天井都市に大穴が空いているし、

戦略自衛隊には、わざわざ卒業式に顔を出すような義理はない

生徒達はそれぞれ、泣く者もいれば、唇を真一文字に結んで我慢する者もいる



短い、卒業式だった

短い、別れの儀式だった










<教室>



「式、終わったわね」

「うん」



シンジとアスカは二人で話していた



「アスカ。いつ出発する?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「最初に行くのは、何処が良いかなぁ?」



シンジの問いかけに、アスカは応えない

俯いて、何も言わない



「アスカ?」



その時だった

放送が掛かり、シンジの名前が呼び出された



『碇シンジ君、碇シンジ君、聞こえていたら至急保健室に来てください』



「あ、ごめん。呼ばれてるみたいだから、また後でね」

「あ・・・・・・・・シンジ!」



アスカがそう言ったときには、シンジは既に教室から姿を消していた

伸ばし掛けた手が、落ちる

アスカは俯いて呟いた



「・・・・・・・・ごめん」



アスカは、絞り出すように言った

その言葉は



「ごめん、シンジ。あたしは、一緒に行けない・・・・・・・・・・・」










<保健室>



「来たわね、シンジ君」

「何ですか?先生」



そこにいたのは、リツコだった



「あの子の意識が戻ったわ。でも、一言も話さないから・・・・・・」

「わかりました。少し、良いですか?」

「どうぞ」



リツコは席を外す

シンジは、ベッドの方に歩いた

そこに、サヲリはいた



「・・・・・・・・・・・・・サヲリさん」



陽の光を浴びて輝く豊かな銀髪

カヲルの緋色の瞳とは違う、深い色を湛えた碧眼

紙のように白い肌

その面影は、風のように儚げだ

触れただけで崩れてしまいそうな氷の美貌

それが、サヲリだった



「あ、シンジ様・・・・・・・・」



シンジの顔を見て、サヲリは呟いた

笑えるくらい焦るシンジ



「シ、シンジ様!!!?」

「え、変でしょうか?」

「う、うん・・・・・・・ちょっと、ね」

「申し訳有りません。
兄様と話していた時は、ずっとシンジ様と呼ばせていただいておりましたので」

「あ、うん。そうなんだ・・・・・・・・・」



兄様

カヲルのことだ



「サヲリさん。カヲルさんと、君のことなんだけど・・・・・・・」

「はい。全てお話ししましょう」










兄様と私は、アダムの改造人間です

改造人間とは、普通の人間にコアと使徒の遺伝子情報を埋め込んで作った人間のことなのです

セカンドインパクトの時、私達の創造主、マスターはアダムの細胞を手に入れたのでしょう

私達は、本当の兄妹ではなかったのかもしれません

私達に過去の記憶は一切消去されているのです

改造人間としての兄様のコードネームは、“最強の”タブリス

私のコードネームは、“悲風の”リーゼンと名付けられました

カヲルとサヲリという名前は、ラヴェルという、私達の父様の様な方に授かったのです



「まさかとは思っていたけど、タブリスってカヲルさんのことだったんだ・・・・・・」

「何か、あったのですか?」

「カヲルさんの命を狙っていた改造人間がいたんだ。その時、聞いたよ。
あ、そのラヴェルっていう人も、改造人間だった?」

「はい。“冷厳なる”ラヴェル。
ゼルエルの改造人間で、兄様に次ぐ実力の持ち主でした。
しかし、マスターの逆鱗に触れ、処理されたそうです」



そして、私達は失敗作でした

兄様は、ほぼ成功に近かったのですが、何処か致命的な部分が失敗だったと言います

私達は、成長が止まってしまったのです

シンジ様には18才だと言っていましたが、私達の肉体的な年齢はシンジ様と同じ15才です

そして私は、実体を失ってしまいました

あの時、私の身体がどのような状態であったかはわかりません

言うなれば、私は幽霊になったのです



「じゃあ、この学校にカヲルさんが来たときから居たんだ」

「はい」

「それで、僕のことも知っているんだね」



そして、12年ほど前

私達のいた研究所が襲撃されました

襲撃を受けたどさくさに紛れて、兄様は私を連れて研究所から逃げ出したのです

兄様は私を助けるために、世界中を彷徨いました



「襲撃された・・・・・・・?」

「はい、何者かが研究所を襲撃したのです。
その時、兄様と私は脱走しました。兄様の刀、“荒御霊”もその時拾ったのです」

「ちょっと待って!!
本来、“御霊鎮”と“荒御霊”は一対の刀だって、父さんに教えられたけど・・・・・・・」

「では、研究所を襲撃したのは、シンジ様のお父様!?」

「・・・・・・・・・まぁ、その話は置いておこう」

「はい」



兄様と、世界中を巡りました

そして、現在に至るのです

この学園の地下迷宮にアダムがいることを突き止めました

そして、封印されているアダムを覚醒させるには、知恵の実が必要だと言うことを



「それが、レイだった」

「はい」

「・・・・・・・・・・・どうして、レイだったんだろうか?」

「それは、私にもわかりません」



そして、レイ様を生贄に、アダムを覚醒させ、私の肉体を作ろうとしたのです



「でも・・・・・・・・カヲルさんは僕が殺してしまった・・・・・・・・・」

「それは、兄様も望んだことです。シンジ様が気になさることではありません」

「・・・・・・・・でも、カヲルさんのことは忘れないよ。約束だから」



私は、アダムの中で自分の肉体を作りました

私もまた、アダムの一部でしたから

でも、兄様があの槍

ロンギヌスの槍でアダムを刺していなかったら、私はアダムに吸収されていたかもしれません










「そして、現在に至る。
アダムは滅ぼしたが、改造人間を作り出す研究所は健在。
サヲリさんは今も命を狙われている」

「はい」

「これから、どうするの?」

「兄様を、助けます」

「そんなことができるの!!?」

「はい」



サヲリは、しっかり頷いた



「兄様のコアが、まだ残っています。
私達にとって、コアは脳よりも重要な器官ですから、
新しい肉体にコアを入れれば、兄様は蘇ります」

「でも、新しい肉体って・・・・・・・」

「研究所を襲撃します。おそらく、兄様の肉体をクローニングした身体があるはずです。
そして、マスターを殺し、過去と決別しなければなりません」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



真っ直ぐの瞳だった



「兄様は、命懸けで私を救ってくれました。
今度は私が、兄様を救います」

「・・・・・・・・・・・サヲリさん」

「動けるようになれば、すぐにでも旅立つつもりです。場所は判っていますから」

「じゃ、じゃぁ、僕にも手伝わせてよ!」

「しかし、これ以上のご迷惑は・・・・・・・・・」

「大丈夫だよ!きっと!」



そして、シンジは保健室を駆け出す

教室に戻って、事の次第をアスカとレイに相談するために










<教室>



「アスカ!綾波!!」

「・・・・・・・・・何?碇君」

「あれ?アスカは?」

「わからない。さっき、教室から出ていったような気がしたわ」

「そうなんだ・・・・・・・・あの、綾波。
三人で旅に出ようって言う約束、ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど」

「何を?」

「あの、サヲリさん、あの、2日前に最下層から連れて帰ったあの人の、お兄さんを助けるんだ」

「あの、黒いコートを着ていた人を?」



レイの表情が険しくなる

無理もない

彼女は、カヲルにさらわれたあげく、生贄にされそうになったのだ



「カヲルさんは、ホントはすごく良い人なんだよ。
ただ、サヲリさんを助けるために他の者が何も見えなくなってたのかもしれないけど、その」

「わかったわ。碇君が良いのなら、それで良い」



唐突に、レイがそう言った



「ホントに?」

「その人が、碇君にとって大切な存在なら、碇君を見捨てるわけにはいかないから」

「・・・・・・・ありがとう、綾波。
後は、アスカの了解を取るだけだし、アスカが何処に行ったか知らない?」

「・・・・・・・・・・・多分、屋上じゃないかしら」

「ありがと」



シンジは屋上目指して走った










<屋上>



重いドアを開ける

少し暖かい春風が吹いていた

視線を巡らせる



アスカがいた



金網のフェンスに寄り掛かって、何か考えているようだ



「アスカ!」

「あ・・・・・・・シンジ」

「あの、頼みたいことがあるんだ。
実は、あの、三人で旅に出ようって言ったよね。それで」

「駄目。あたしは行けない」



シンジは何も言えなかった

その言葉の意味を飲み込むことができない

アスカが何を言ったのか、判らなかった





「・・・・・・・・今、何て、アスカ?」

「あたしは・・・・・・・行けないわ」

「ど、どうして!!?」

「・・・・・・・・・・・あたし、新たに発足する国連軍の対使徒攻撃部隊への配属通知が来たの」

「だからって!!そんなの・・・・・・」

「無視したりはできないのよ。
ネルフとしての面子もあるみたいだし、それに、ママが推薦したのよ。
知らない間に」

「そんな!!約束したじゃないか!!
アスカと綾波と僕と、三人で旅をしようって!!」

「・・・・・・・・・ごめん、約束、守れそうもない」

「・・・・・・・・・・そんな・・・・・・そんなのって無いよ・・・・・・・・」



シンジは、泣いていた

アスカは、悲しいくらい無表情だった

無理矢理感情を押し殺している顔だ



「・・・・・・アスカ・・・・・・」

「じゃ、さよなら」



そう言って、踵を返す

紅い髪の毛が風に揺られてふわりと広がる

その背中は、あらゆる言葉を遮る壁となった

シンジは何も言うことができなかった











<翌日、3月3日:学園長室>



ゲンドウと冬月とユイの前に、シンジとレイとサヲリが並んでいた



「なるほど、事情は良くわかった」

「では・・・・・・・」

「『特務機関ネルフ』として、超法規的な行動を許可する。
ただし、権利の濫用は厳禁とする」

「「了解!」」

「しかし・・・・・・・・計画書によると、ここは・・・・・・・・」

「研究所の所在地です」



冬月の疑問に、サヲリが即答する



「そこに、改造人間を造り出す研究所があるのです」

「キール議長か」



ゲンドウのその一言に、サヲリは狼狽した



「何故!?何故マスターを知っているのですか!!?」

「・・・・・・・・・議長には、昔から縁があってな。腐れ縁だが」

「あ、じゃあ、12年前研究所を襲撃したのって・・・・・」

「何故、シンジがそれを知っている?」

「あ、いや。サヲリさんに聞いたんだけど・・・・・・・ホントに、父さんなの?」

「ホントよ。私とゲンちゃんで強襲したの♪」



ユイの気楽な一言

がっくりと力が抜ける

シンジがぼやくような口調で言った



「あの、何が目的で・・・・・・?」

「うふ、嫌がらせ♪」



水が抜けるように、全身から力が抜けてゆく

溜息×4



「ごほむ・・・・・・・・とにかく、出撃は許可する。
第三新東京市国際空港にてトラベラー13便に便乗したまえ。
目的地の最寄りの空港までは運んでくれるだろう。
出発は5時間後だ」

「わかりました。
5時間後に第三新東京市国際空港のトラベラー13便に便乗します」



三人は退室した





「・・・・・・・・・・・・碇、教えなくても良かったのか?
ユイ君まで、あんな事を言ってとぼけなくとも・・・・・・・・・・」

「あそこに行く以上、自分でそれを知るかもしれません」

「しかし・・・・・・・・・・・」

「今のあの子には重すぎます・・・・・・・・真実は・・・・・・」










<5時間後:第三新東京市国際空港>



「もう、行くんか?」

「うん」

「頑張れよ」

「ありがと」

「フレーフレー、シ・ン・ジ!!」

「マ、マナ、ちょっと、声が大きいよ」

「馬鹿、無茶苦茶目立ってるじゃねぇか!」

「馬鹿とは何よ馬鹿とは!!?」

「あ、あの、みんな、アスカは?」

「惣流?来ていないみたいだけど・・・・・どうかしたのか?
惣流も一緒に行くんじゃなかったのかよ?」

「それが・・・・・・・・・・一緒には、行けなくなったんだ」

「さよか・・・・・・・」

「ほらほら、あなた達。もう搭乗しなさいよ」



ミサトだ

三人は、見送りに来てくれた全員に敬礼すると、飛行機に乗り込もうとした











「シンジ!!!」





誰かが、呼んだ

聞き慣れた声

待ち望んでいた声





「アスカ・・・・・・・・」





アスカだった

走ってきたのだろう

息を切らせて、髪も乱れている





「絶対、いつか、絶対会いに行くから!!約束、今度は絶対守るから!!!」

「・・・・・・・・アスカ・・・・・・・」

「だから、絶対、あたしのこと、忘れたりしないで!!」





その時、彼女は泣いていたのかもしれない





「・・・・・・・・アスカ・・・・・・・約束するよ!!
僕はアスカを絶対忘れたりしない!!!」

























その言葉が、別れの言葉になった








































その後、彼らがどうなったか

彼と彼女はどのような再会を見せたのか



それはまた、別の物語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



いつかまた吹き付ける、風のような物語





今は、一時の





FIN





後書き

何か、中途半端な終わり方でしょうか?
取りあえず、今回で「君風」シリーズは完結です
今後、第2部の連載が始まるかどうかは・・・・・・・未定ですね(おいおい)
番外編とか書くつもりなので、きっと2部も始めるでしょう
最後の最後まで、結局書かなかった部分とか、謎にしたままの部分とかの解決もしますし、
あんまり、期待しないで気長に待っていてください

では、今まで感想メールを送って下さった皆様と、
このページの管理者であるnanaさんに感謝しつつ、
とりあえずさようなら

多分、すぐ会えるでしょう